SKT、世界初のSIMカードによるクレジットサービスを開始

» 2007年06月13日 20時06分 公開
[佐々木朋美,ITmedia]
photo SKTの携帯電話を専用リーダーにかざすだけで、クレジット決済が可能に

 日本では携帯電話を用いた非接触決済方法として、FeliCaチップを使った「おサイフケータイ」が普及している。「モバイルSuica」や「Edy」などのプリペイドタイプに加え、「iD」(DCMX)や「QUICPay」などクレジットによるポストペイタイプも少しづつ増えている。一方韓国では、ほとんどの3G携帯が内蔵するSIMカードに、クレジット機能を持たせるというサービスが始まった。

 韓SK Telecom(以下、SKT)はLGカードと提携し、W-CDMA携帯に内蔵するSIMカードにクレジットカード機能を持たせ、携帯電話でクレジット決済などを行うサービスを発表した。SIMカードでクレジットカード機能を提供するのは「世界で初めてのこと」(SKT)という。同サービスに対応している端末は、LG電子製(CYONブランド)の「LG-SH110」と「LG-SH130」のみ。

 このサービスは、SIMカードに「OTA(Over The Air)」技術を適用することで実現した。SKTは2月に韓国スマートカードと提携し、ソウルとその郊外で利用できる交通カード「T-Money」の機能をSIMカードに搭載させ、携帯電話を交通カードとして利用できるサービスを開始している。ここでもSIMカードにOTAの技術を適用することで、携帯電話を専用端末にかざして地下鉄やバスなど交通費の決済を行えるようにした。

 今回SKTがLGカードと提携したことによって、SIMカードには、既存の交通カードやメンバーシップカード機能のほか、クレジット機能も追加されたことになる。

photophoto 対応端末は「LG-SH110」(左)と「LG-SH130」(右)の2機種。LG-SH110は、北欧のアカペラグループ「The Real Group」の楽曲を、着信メロディや効果音として利用できる。Windowsのエクスプローラーのような「コンテンツ探索機」で、内蔵・外部メモリのファイル検索が可能。

LG-SH130は夜間モードや会話の録画機能があるカメラを搭載。テレビ電話や多者通話も可能だ

 このサービスを利用するには、カード会社に発給申請を行う必要がある。その後、携帯電話に同サービス用のアプリをダウンロードし、本人確認ができればサービスが利用可能となる。あとはクレジット決済をする際に、店頭の非接触式リーダーに携帯電話をかざすのみだ。なお、まだサービス開始段階ということもあり、リーダーが普及するまでは磁気式のプラスチックカードと一緒に発給されるという。

 現在、専用リーダーは、コンビニやスーパーマーケット、デパートなど全国に約8万台が設置されている。SKTではこれを、年末までに15万台に増やしたいと述べている。

 またLGカードでは、同サービス用のカードとして「LG Style Tカード」を新たに発行する。端末で利用履歴や利用限度額を確認したり、カードローンやキャッシングサービスなどの各種金融サービスも受けられるという。毎月の取引金額により、通信料金が割引されるサービスも用意した。利用額が100万ウォン(約13万円)以上で1万500ウォン(約2000円)、50万ウォン(約6万5000円)以上で7000ウォン(約900円)、30万ウォン(約4万円)以上で5000ウォン(約650円)、10万ウォン(約1万3000円)以上で3000ウォン(約400円)が割引される。

 SKTは2月に、VISA Internationalと、モバイル金融サービスに関する提携を行った。これには、SIMカードにOTA技術を適用し、VISAカードを発行するといった内容も含まれている。現時点では韓国内のみに限定されている同サービスだが、今後はVISAのネットワークを利用し、世界に拡大していくという。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年