インタビュー
» 2007年07月03日 22時47分 UPDATE

開発者に聞く「W52CA」:女性にも防水ケータイを──カシオのカジュアル防水「W52CA」が生まれた理由 (1/2)

6月26日から販売が始まったカシオ計算機製のWIN端末「W52CA」は、防水性能を持ちながらボディはごつくなく、女性にも使いやすい端末を目指して開発された防水ワンセグ端末だ。この新端末に込めた思いを開発者に聞いた。

[園部修,ITmedia]

 カシオ計算機といえば、初代G'zOneこと「C303CA」から、ずっとタフな防水ケータイを開発してきたメーカーとして知られる。2006年のau夏モデルでは、G'zOneシリーズ初のWIN端末「G'zOne W42CA」をリリースしたことも記憶に新しい。

 そんな同社が2007年夏モデルとして手がけた防水ワンセグケータイ「W52CA」は、“防水は万人に必要な当たり前の機能”との考えに基づき開発された。ワンセグを搭載し、さらにIPX7/IPX5相当の防水性能を実現しながら、外形寸法は防水性能を持たないワンセグ端末「W51CA」よりも小さくなっているのには驚かされる。

PhotoPhoto コンパクトなボディに防水機能とワンセグを詰め込んだ「W52CA」

 この“普通の防水ワンセグ端末”W52CAの開発に携わったカシオ日立モバイルコミュニケーションズ 企画グループ 戦略企画チームの甫足博信氏と開発設計本部 機構設計グループ チームリーダーの加藤茂氏、カシオ計算機 開発本部デザインセンター 第四デザイン室 室長の井戸透記氏、そして同じく第四デザイン室の杉岡忍氏に、製品のコンセプトや開発の裏話を聞いた。

女性にも持ってもらえる防水携帯を作りたい

Photo カシオ日立モバイルコミュニケーションズ 企画グループ 戦略企画チームの甫足博信氏

 W52CAを企画するに当たって最初に考えたのは、「女性ユーザーにも持ってもらえる防水携帯を作る」ことだったと商品企画を担当した甫足氏は話す。カシオ計算機は、もともとG'zOneシリーズという防水性能と耐衝撃性能を合わせ持った端末を開発してきたが、タフネスを追求した端末は“ごつく”なりがちで、防水性能を持たない端末と比べて大柄になってしまうのが常だった。そのためユーザーは男性が非常に多く、利用シーンもアウトドアをイメージされることが多い。

 しかし、防水性能は何もアウトドア派の男性ユーザーだけが必要としているものではないことは、カシオ計算機としても認識していた。そこで新しいチャレンジとして、女性にも使いやすい防水性能を持たせた端末を開発することになった。

 「さまざまなユーザーニーズを調査し、女性が携帯に防水性能を必要とする利用シーンを考えたとき、お風呂というキーワードが出てきました。また、女性がお風呂で使いたい機能のナンバー1はワンセグで、さらにメールや音楽といった機能にもニーズがあることが分かりました。そこで、お風呂でリラックスした時間を過ごすときに使えるようなワンセグ携帯にしようということになりました」(甫足氏)

 お風呂に限らず、キッチンや洗面所の水回りなど、ちょっとしたことで水がかかったり、ぬれた手で携帯を触ってしまうシチュエーションは案外多い。そんな時でも安心して使える端末にするべく、防水性能はあらゆる方向からのノズルによる噴流水(内径6.3ミリのノズルで約3メートルの距離から約12.5リットル/分の水を3分以上注水)を浴びても電話機としての性能を保つIPX5と、常温の水道水(静水)なら水深1メートルに約30分間放置しても内部に浸水しないIPX7を確保している。

 また“お風呂でワンセグ”という利用シーンを想定し、甫足氏が特にこだわったのがワンセグを見るときのスタイルだ。ワンセグの視聴は、やはり画面を横にし、全画面表示で楽しめる方がいい。そのため、回転2軸ボディを採用した。回転2軸の防水端末は国内では初めて、おそらく世界でも例のないものだという。

PhotoPhotoPhoto 女性がお風呂でワンセグを楽しめるようにと開発されたW52CAは、ワンセグ視聴時のスタイルにこだわり、回転2軸ボディで防水を実現した。ヒンジ部には水が入る構造で、ケーブルを防水仕様にしている
PhotoPhoto ヒンジ部の強度はCAE解析を用いて形状や固定方法のシミュレーションを行ったという
Photo カシオ日立モバイルコミュニケーションズ 開発設計本部 機構設計グループ チームリーダーの加藤茂氏

 「W52CAの“キモ”だったのは、このビュースタイルを実現する回転2軸ヒンジの防水構造だと思います。ヒンジの部分は、『G'zOne TYPE-R』と同様、内部に水が入ってもいい構造にしてあり、その代わり内部のケーブルを防水仕様にしてあります」(加藤氏)

 ちなみにカシオでは、以前から「XFER」シリーズなどの防水テレビを製品化していることもあって、防水テレビの開発チームにもアドバイスを受け、そのノウハウも端末開発に生かした。

目指したのはW41CAのボディサイズ

Photo カシオ計算機 開発本部デザインセンター 第四デザイン室 室長の井戸透記氏

 W52CAは、メインターゲットを女性層に定めたため、ボディの持ちやすさにもとてもこだわったと井戸氏は言う。そのこだわりの一端がボディの幅に現れている。W52CAのボディは幅が49ミリに抑えられており、比較的手の小さめな女性でも握りやすい。

 「実際の握りやすさは、幅だけでなく断面形状も重要なので、一概に幅が49ミリならいいというわけではありません。ただ多くの女性には、50ミリより49ミリの方が持ちやすいことは検証の結果でも分かっていました。幅50ミリと幅49ミリのモックアップを作って社内の女性たちに触ってもらい、持ちやすい方を選んでもらった結果、圧倒的に49ミリの方が人気だったのです」(井戸氏)

PhotoPhoto 幅49ミリと幅50ミリのモックアップを作り、どちらが握りやすいか、女性スタッフなどに試してもらったという。ちなみに手前が幅50ミリのモデルになるが、見た目ではほとんど違いが分からない

 たった1ミリの違いとはいえ、50ミリと49ミリには大きな違いがあるようだ。デザインチームからしてみれば、ボディの幅は大きい方が設計に余裕があり、角を丸くするなど、ボディを薄く見せるような加工ができるというメリットがあった。しかし、左右でそれぞれ0.5ミリずつ増えてもデザイン的に大きく変えられるわけではない。それなら幅が狭い方がいいという判断で、49ミリに収めることに決めた。

 またボディの幅だけでなく、高さや厚さにも大きな目標があった。「開発当初から、W51CAのサイズはかなり意識していました。スタッフの間でW51CAのサイズで防水ができたらいいねと話していたんです。さらにいえば、可能な限りW41CAのサイズに近づけたいと考えていました」と甫足氏は言う。

 W51CAの本体サイズは50(幅)×105(高さ)×22(厚さ)ミリで、W41CAは49×103×22ミリ。これに対してW52CAは49×104×21ミリとなっている。高さこそ1ミリ大きいものの、十分な小ささを実現しているといえるだろう。防水かつこれだけのコンパクト化を実現しながら、「フレンドリーデザイン」認定を受けているのもポイントだ。

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