目標は国内シェアナンバー1を獲得すること──NEC 小島立氏ワイヤレスジャパン2007 キーパーソンインタビュー(2/2 ページ)

» 2007年07月16日 23時50分 公開
[神尾寿,ITmedia]
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家電量販店を意識したモノ作りへ

ITmedia 現在の市場環境を見ていますと、番号ポータビリティの開始前後から、販売チャネルで家電量販店や一般併売店のプレゼンスが高くなってきたことが挙げられます。携帯電話の“売れる場所”が変わってきたわけですが、それによる影響はあるのでしょうか。

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小島 我々としても、販売環境の変化はひしひしと感じています。例えば、家電量販店ではお客様が来ると、そのお客様が最初に手にした端末を勧めます。できるだけ1人のお客様にかかる接客時間を短くして、できるだけ販売数を伸ばすという売り方なので、一見してお客様が手にとってくれるような端末でないと(家電量販店では)売れない。

ITmedia ドコモショップなど専売店では対話重視の接客ですから、お客様が最初に興味を持った端末だけでなく、会話の中で最適なモデルを選べるような売り方をしています。しかし、家電量販店ではわかりやすい商品の訴求力がいかに打ち出せるかが重要です。こういった家電的なモノ作りやマーケティングの手腕は、やはり家電メーカーが強い部分ですね。

小島 はい。ですから我々も、これまで力を入れてきた専売店チャンネルだけでなく、家電量販店でも負けないNEC作りに力を入れていかなければなりません。そういった取り組みはN904iでも行っていますし、今後も重要なポイントだと考えています。

ITmedia 店頭での訴求力勝負になった場合、NECが訴求する要素はどこになるのでしょうか。

小島 現時点では「速さ」ですね。これはHSDPA採用による通信速度の速さだけでなく、端末のレスポンスも含めた速さです。これを前面に押し出していきたいと思います。もう1つが「デザイン」ですね。これを今後も続けていって認知していただかなければなりません。

 またデバイスの面では、我々はiモード登場初期に「液晶の大きさ」で評価していただいていました。その後、シャープさんは「AQUOSケータイ」を打ち出されました。あちらは液晶テレビのブランド力が強いので非常に強力なブランドです。とはいえNECとしても今後「液晶」の部分は力を入れていきたいと思っています。画素数や大きさで、(シャープに)負けないようにしていくきたいですね。

ITmedia シャープのAQUOSケータイが代表的ですけれど、家電量販店では“家電ブランド”も大きな訴求力になっていますよね。特に店員がアピールしやすい、という効果が大きいと思います。この点はNECにとって不利なポイントではありませんか。

小島 そこは非常に大きな課題です。家電を持っていないNECが、携帯電話をどうブランディングするか。我々が家電量販店に持つ棚というと、PCなんですね。(NECの)携帯電話とPCの機能的・ブランド的な連携については、現在PCの事業部といろいろ話し合いをしているところです。

 PCとの連携については、今まさに取り組んでいる最中で、まだこれによって「どのようにして他社に勝つか」を話せる段階ではありませんが、遠からず具体化したいと考えています。

「インターネットならNEC」でシェア奪還を目指す

ITmedia 2007年も後半戦が始まりますが、NECにおける今後の重要項目を教えてください。

小島 「スピード」「スタミナ」「スリム」です。これら3つのポイントは携帯電話のベースになる基本性能ですので、特にこだわっていきます。実際、N904iは全体的にサクサクとした小気味よい速さが実現できましたし、N704iμは「スリム」で使いやすい端末になりました。その上で、どちらもバッテリー持続時間を延ばす「スタミナ」への配慮も行っています。

ITmedia N904iのスピードは確かに実感しますね。ほかのモデルより明らかに速いです。

小島 我々は、スピードはお客様が求める基本的な性能であると同時に、使いやすさの1つであるとも考えています。サクサク感がないと、どうしても苛立ちますよね。目的とする機能やサービスが、レスポンスよく快適に使える。これも使いやすさであり、この(全体的な)スピードでは今後も他社製の端末に負けないようにします。

ITmedia 2007年前半の話題はもっぱら「ワンセグ」でしたが、こちらはいかがでしょうか。

小島 我々はまだワンセグ端末を出してませんからね(苦笑) ただ、一昔前のカメラと同じように、ワンセグは搭載されていてあたりまえの機能にはなると考えています。一方で、ある程度のワンセグ機能が実装されていれば、端末全体の競争力は別の要素になると思っています。

 NECとしてはむしろ、テレビではなく(通信を重視した)「インターネット」を強みにしていきたいですね。我々はHSDPAなど高速通信技術や無線LAN(Wi-Fi)機能の実装で先行していますし、この部分では負けない自信があります。動画サービスも含めて、NECはインターネットの世界に進んでいきたい。そのためには通信機能はもちろん、セキュリティ関連の技術も重要だと考えています。

 また、UIも、今あるニューロポインターはもちろん、今後はタッチパネルなどインターネットのサービスと親和性のあるものにチャレンジしていきたいです。

ITmedia 2007年の抱負をお聞かせください。

小島 我々の目標は、まず「国内でナンバーワンのシェアを獲得する」ところにあります。そこへ向けて、改善が目に見える形で進めていく。N904iを筆頭に、最近投入した端末ではお客様の反応に手応えを感じました。今後は、“インターネットならNEC”とお客様に言っていただけるようにしていきたいと思っています。

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