904iシリーズ唯一の“Bluetoothケータイ”は、最強音楽ケータイか──「P904i」「P904i」レビュー(3/3 ページ)

» 2007年09月19日 22時53分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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大幅に進化したBluetoothでのワイヤレス音楽再生

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 直前にBluetoothレシーバーを使用した場合、音楽再生の具体的な最短手順は以下のようになる。

  • Bluetoothレシーバーの電源を入れる
  • [プッシュトーク]キーを長押し(ミュージックプレーヤーが起動)
  • [プッシュトーク」キーを短押し(直前に停止した楽曲を再生)

 基本的には閉じたまま、[プッシュトーク]キーを操作するだけでOKだ。長押し→短押しで前回の再生停止位置から再生。起動中は[プッシュトーク]キーの長押しでミュージックプレーヤーが終了する。プレーヤー終了後にBluetoothレシーバーの電源も切るという手順になるだろう。終了手順は逆でもよいが、先に本体を停止しておく方が、きちんと終了したことを手探り操作でも確認できて確実だと思われる。

 さてBluetoothの音楽再生中は、AVRCP対応Bluetoothレシーバー側の操作でも、もちろん再生の一時停止/再開、曲間移動の操作が可能で、音量調整は基本的にBluetoothレシーバー側の機能となる。曲間移動用キーを押しっぱなしにすると曲の冒頭を1〜2秒ずつ再生しながら曲が変わっていく。そのため、数曲分前後に移動したい場合もけっこう便利だ。また、1つ前の曲へ移動する場合は曲頭への移動が何回も続いてしまうなど少し操作しにくい端末もあるが、本機では、曲の先頭に移ってからの3秒間は1回押すだけで前曲へきちんと移動してくれるので、慌てなくてもほぼ確実に操作できる。このあたりの操作性はなかなかよかった。また、音質モードやサラウンド設定はBluetoothレシーバーによる再生でも有効となる。

 このように本機はP903iまでの機種と比べると、Bluetoothによるワイヤレス音楽再生の使い勝手がかなり向上した。もっとも今までがややお粗末だったというか、常時Bluetoothで音楽再生を行うことを想定していなかったとしか思えない仕様だったわけなのだが。

 それでもauやソフトバンクモバイルのBluetooth対応音楽ケータイと比較すると、やはりBluetoothレシーバー側の操作だけで再生開始/終了全般をコントロールできない不満は残り、まだ完璧とはいえない。せっかくのワイヤレスなのだから、ケータイはカバンに入れたまま、より手軽な音楽再生を実現するためにも今後とも改良を続けてほしいと思う。

「ハンズフリー」「音楽再生」「電話帳送信」に絞り込まれたままのBluetooth機能

photo サポートするプロファイルだけを見ればほかのBluetooth音楽ケータイに遜色ないが、OPPの利用が限定されるデメリットはまだ残っている

 ではBluetooth機能全般はどうだろうか。Bluetoothの規格はバージョン1.2であり、P903iと同じ。従来から不満の多かったデータ交換系機能の進化はなく、電話帳をOPPで送信するのみ。例えば、静止画を送受信したり、Bluetooth対応プリンタで印刷するといった使い方には対応しない。ほかのBluetooth対応携帯ではもはや当たり前に装わる機能だけに、こちらはそろそろ改善してほしい。

 ハンズフリー機能は「HSP」と「HFP」に対応。ペアリング済みであれば、本機側を接続待機状態にしておくことでBluetoothハンズフリー機器の電源を入れると同時に自動接続される。着信音は本体がマナーモード/非マナーモードに関わらず、設定した着メロや着うたなどの着信音がハンズフリー機器に流れる仕様だ。また「HSP」でペアリングし、これを“優先機器”に設定しておくと、音声着信時に接続していなくとも本機側からBluetoothハンズフリー機器と接続してくれるようにもなっている。

 純正オプションのBluetoothレシーバー「Wireless P01」のように、“A2DP”と“HFP”(もしくは“HSP”)など、複数のプロファイルをサポートするBluetooth機器の場合は、同時に双方のプロファイルで接続できる。“A2DP”によるワイヤレス音楽再生中に音声着信があると、“HFP”(もしくは“HSP”)に自動的に切り替わり、通話が完了すると再び“A2DP”のワイヤレス音楽再生が再開される。なお“A2DP”と“HFP”(または“HSP”)の複数接続は単一のBluetoothレシーバーに限られており、別々の機器では同時に接続できない。もっともこの点はほかのBluetooth携帯でもほぼ同じだ。

photophoto ソニー製Bluetoothヘッドセット「DR-BT21G」で、“A2DP”と“HFP”の2つのプロファイルを同時に接続。ワイヤレス音楽再生とハンズフリー通話をシームレスに切り替えて利用できる(左)。今回接続を確認したBluetooth機器の一覧。ハンズフリー機器としてプリンストンの「PTM-BEM03」、プラントロニクスの「Discovery 640」と「Explorer 320」、ヘッドフォン+ハンズフリーの複合機器として純正オプションの「Wireless P01」、ソニーの「DR-BT21G」が問題なく利用できた(右)

 そのほか、本機をワイヤレスモデムとして利用する“DUN”プロファイルを利用したPCデータ通信も可能。受信最大384kbpsのパケット通信などにてインターネット接続できる。“DUN”は上記の通り、ハンズフリー機器との同時利用も可能で、ハンズフリー通話をしながらワイヤレスモデムとして同時に利用できる。ただ、PCデータ通信用の“DUN”とワイヤレス音楽再生用の“A2DP”は排他であり、ワイヤレス音楽再生中は“DUN”を待受状態にできず、逆に“DUN”の待受中はワイヤレスで音楽は再生できない。これはBluetoothの帯域限界によるもので、これらが同時利用できないのは仕方ないが、一応把握しておかないと「あれ?」と思ってしまいがちな部分。Bluetoothをフルに活用したいと思っている人は注意が必要だろう。

はがゆい部分はまだある──しかし、確実に進化した“ワイヤレスミュージックケータイ”

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 P904iは、単に対応音楽フォーマットが拡大されただけでなく、プレーヤーを1つに統合し、フォーマットをほぼ気にせずシームレスに再生できる点が特に進化した。MP3やm4a(iTunesで作成されるaacフォーマット)は直接再生はできないものの、MP3はWindows Media PlayerあるいはSD JukeBox V6経由で、m4aファイルもSD JukeBox V6経由で自動変換しながらインポートできる。結果として、PCでよく利用される音楽ファイルの多くのフォーマットを携帯でも楽しめるということであり、本機にインポートできしまえば元のフォーマットを気にする必要もないわけだ。携帯で音楽を楽しみたいユーザーにとって、この点だけでもなかなか魅力的なのではないだろうか。

 Bluetooth機能そのものはまだ中途半端ではがゆい思いをする部分はあるが、再生までの手順が非常に楽になったのは大変評価できる。前機種のP902iやP903iと比べると、ぐっと使う気になろうものだ。実際、携帯のBluetooth機能はワイヤレスの音楽再生だけ利用するユーザーも多いだろうから、筆者がはがゆく思う部分は些細な問題かもしれない。

 というわけで“ほぼすべて”の音楽フォーマットに対応し、ミュージックプレーヤー機能が強化されたことを考慮すると、P904iは“最強”とは言いにくいものの、“ほぼ全部入りのワイヤレスミュージックケータイ”といっても過言ではない進化を遂げていた。

そして、約1カ月使ってみると……

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 P904iの裏面は、320万画素のAF付きカメラやスピーカーが収まる“出っ張り”がある。(予想はしていたものの)この角の塗装が早くも……ハげてきてしまった。そのほか、底面にある異なる素材の通信端子カバーだけが……無惨な色にケガれてしまった。かなり悲しいものである。


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