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» 2007年10月19日 12時27分 公開

Symbian Smartphone Show 2007:グローバル端末の開発も容易に――ドコモのプラットフォーム「MOAP」の未来

ドコモで端末開発を担当する三木氏が、英Symbianの年次イベントでドコモのプラットフォーム戦略に言及。一般機能を共通のミドルウェアプラットフォームとしてSymbian OSにマイグレートすることで、国内外向けの端末を開発しやすくするという方向性を示した。

[末岡洋子,ITmedia]
Photo スーパー3Gへの取り組みや統合プラットフォーム「MOAP」を軸とした端末の開発戦略について説明する、NTTドコモ 研究開発本部移動機開発部部長の三木俊雄氏

 英Symbianの「Symbian Smartphone Show 2007」の初日、NTTドコモ 研究開発本部移動機開発部部長の三木俊雄氏が基調講演を行い、スーパー3Gへの取り組みや統合プラットフォーム「MOAP」を軸とした端末の開発戦略に言及。同氏は「プラットフォーム戦略上、Symbianは重要なパートナー」だとし、Symbian OSへのコミットを強調した。

 三木氏は、ドコモの各種サービスや端末を紹介するとともに、今後の無線ネットワークのロードマップについて説明。最大100Mbpsのデータ転送速度を実現するスーパー3G(LTE)は2010年までに開始するという。データ伝送速度1Gbpsを実現するといわれる4Gは、これまでの3G/HSDPAなどとはまったく違うものとなるが、「スーパー3Gは4Gと同じ機能を既存の3G周波数帯で利用できるもの」とし、スーパー3Gは、4G時代でも競争力のある機能を提供することになると述べた。

Photo 3G、スーパー3G、4Gの位置づけと、無線ネットワークの今後のロードマップ

 ネットワークの拡張が進むと、そのメリットを最大限に享受できる端末が必要になる。端末開発において最初に考慮することは「ソフトウェアとメモリのサイズ」だと三木氏。端末開発にかかる時間とコストは増加する一方で、ドコモにとってはこれを緩和するプラットフォームが不可欠となる。そのため同社では、2004年に統合プラットフォームの開発に乗り出した。

 ドコモのプラットフォーム戦略は、チップセット側とソフトウェアプラットフォーム側の2つで構成される。ソフトウェアプラットフォームでは、これまでのリアルタイムOSに変わり、汎用OSのSymbianとLinuxの2つを採用。この上にミドルウェアを乗せた「MOAP」(Mobile Oriented Application Platform)で開発コストや期間の効率化を図り、ドコモ端末独自の機能を実現している。

 このようなプラットフォーム戦略を進めるドコモにとって、Symbianは重要なパートナーだ。FOMAの総出荷台数に占めるSymbian OS搭載機の比率は増加傾向にあり、2007年前半には50%以上に達したという。また、Symbianのライセンスボリュームに占めるFOMAの比率も増えている。

 今後のMOAPについて三木氏は、さらに共通化を進める意向を示した。OSにSymbianを採用したMOAPは「MOAP(S)」と呼ばれ、土台となるSymbian OSの上に一般機能や共通部分、独自部分のミドルウェアが乗る形で構成されている。

 今後はさらに共通化を進め、一般機能の部分を共通のミドルウェアプラットフォームとしてSymbian OSに統合する方向だと三木氏。また、共通部分は他のオペレータらと協調し、「単一のプラットフォームに向かう」と述べた。

FOMA独自の部分は、APIを定義することで対応する。他のオペレータも、APIを用意すれば独自機能を入れられるため、基本部分はグローバルで利用できるというわけだ。プラットフォームの共通化を進めることで、FOMA端末の開発が容易になり、コストを抑えられる。また端末メーカーにとっては、グローバル対応の端末を開発しやすいというメリットも生まれる。

 日本の端末メーカーの競争力低下が問題視される中、今回ドコモが示したMOAPの進化の方向性は、その解決策の一端をかいま見せるものといえそうだ。

Photo FOMA端末に占めるSymbian端末のシェア(左)とドコモのプラットフォーム戦略(中)。右は現状のプラットフォーム構造と、今後MOAPが目指すプラットフォームの構造

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