ウィルコムのWindows Mobile 6搭載スマートフォン「Advanced/W-ZERO3[es]」の魅力の1つが、タッチパネルに対応する3インチのワイドVGA(640×800ピクセル)液晶ディスプレイだ。高精細で大きなタッチパネルディスプレイで使ってみたいソフトといえば、地図ソフトが挙げられるだろう。
ウィルコムでは、従来から地図関連公式コンテンツとして経路検索サービスの「NAVITIME」と、位置情報から無線LANスポットなどを探す「ちず丸 for WILLCOM」を提供している。NAVITIMEはAdvanced/W-ZERO3[es]にプリインストールされており、今回「モバイルGoogleマップ」も公式にW-ZERO3用コンテンツに加えられた。果たしてGoogleマップの使い勝手はどうだろうか? NAVITIMEとも比較しながら検証してみよう。
PCではWebサービスとして提供されるGoogleマップだが、モバイル機器用にはWindows Mobile版やJava版などの専用アプリが用意されている。W-ZERO3シリーズの場合、W-ZERO3公式サイトにダウンロード用のリンクがあるので、ここから入手すればいい。
地図が表示されるまで若干待たされる印象はあるが、Advanced/W-ZERO3[es]の通信速度は、PHS網を使った場合は最大で204kbps。3G携帯電話の最大384kbps、HSDPA対応端末の最大3.6Mbpsと比べると劣るが、レスポンスはそれほど悪くない。無論、無線LAN環境下なら、より高速に使うことができる。
またモバイルGoogleマップ最大の特徴である自由自在なスクロールも、タッチパネルを利用して行え、画面上の地図を直感的に操作できる。この点は音声端末向けのJava版アプリと比べて、大きなアドバンテージと言えるだろう。
なおモバイルGoogleマップは、経路検索などのサービスと連携していないものの、日本語による住所や施設名の検索に対応し、周辺施設の検索も行える。
モバイルGoogleマップにはGPSを利用して現在地を検出するメニューもあるが、Advanced/W-ZERO3[es]にはGPSが内蔵されていないため、その機能を利用できない。しかしW-SIMから位置情報を取得しモバイルGoogleマップ上に地図を表示させる「gmm_navi Auto」というヘルプウェアを利用することで、Googleマップに現在地の周辺地図を表示することが可能だ。
筆者はモバイルGoogleマップとgmm_naviの組み合わせを利用し、初めて訪れた駅や土地で、目的地やコンビニを探すのに活用している。Advanced/W-ZERO3[es]でモバイルGoogleマップを活用するなら、よく使うアプリケーションとしてデスクトップランチャーなどにgmm_navi Autoを割り当てておくと便利だ。
前述のように、Advanced/W-ZERO3[es]には経路検索ソフトのNAVITIMEがプリインストールされている。全機能を使うには月額315円の利用料が必要だが、地図検索や電車・終電ナビなどの乗換検索は無料で利用できる。
NAVITIMEは基地局情報からおおよその現在位置を取得できるほか、GPSを使った位置取得も可能(別売りのUSB GPSレシーバーを接続時)。さて、地図アプリの基本機能である周辺施設検索の使い勝手は、Googleマップと比べてどうだろうか?
全画面に地図を表示するだけのモバイルGoogleマップに比べ、検索結果の表示レイアウトや細かい使い勝手など、NAVITIMEの方がユーザーフレンドリーな印象で、かつ直感的で分かりやすい。携帯電話向けコンテンツとして培ってきたノウハウがあること、有料コンテンツとして提供されていることなどが違いに現れているのだろう。
しかし、現在地・周辺検索しか使用しないユーザーにとっては、無料で使用できるモバイルGoogleマップも大きな魅力だ。レスポンスも軽く、ヘルプウェアを組み合わせた現在地検索に要する時間はNAVITIMEよりも短い。gmm_navi Autoのような有志によるヘルプウェアの開発も進んでおり、これからより便利なアプリが登場すると予想される。また今後は、PC向けGoogleマップのように、地図を使った情報共有機能を持つ可能性もある。
今回、Advanced/W-ZERO3[es]向けに提供されている2つの代表的な地図アプリを使ってみた。NAVITIMEはauのキャリアサービスに採用されるなど、携帯ユーザーにはおなじみのサービスで、Googleマップも携帯向けにサービスを始めるなどPC同様に存在感を増している。
こうした地図ソフトがAdvanced/W-ZERO3[es]に標準搭載されたことで、ウィルコムが目指す「新しいユーザー層を広げる」という観点からも携帯電話ユーザーにアピールできていると言えるだろう。今後は、タッチパネルや大画面液晶、QWERTYキーボードに代表されるようなスマートフォンならではの操作性やハードウェアを生かし、携帯電話でもPCでも実現出来ていない付加価値を実現してほしい。そうすることで、既存の携帯電話ユーザーにもスマートフォンに対する希求力が上がってくるだろう。
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