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» 2007年10月30日 13時52分 UPDATE

「携帯端末向けマルチメディア放送サービス等の在り方に関する懇談会」第3回会合:携帯端末に適したマルチメディア放送とは──ハイブリッドラジオ、ISDB-Tmm陣営がプレゼン

総務省は10月29日、「携帯端末向けマルチメディア放送サービス等の在り方に関する懇談会」の第3回会合を開催。デジタル放送研究会がハイブリッドラジオ放送、マルチメディア放送企画がISDB-Tmmについてプレゼンテーションを行った。

[石川温,ITmedia]
Photo 携帯端末向けマルチメディア放送サービス等の在り方に関する懇談会

 総務省が主催する「携帯端末向けマルチメディア放送サービス等の在り方に関する懇談会」の第3回会合が、10月29日に開催された。

 同懇談会は、2011年に停波となる地上波アナログテレビ放送の空き周波数帯の活用、ビジネスモデルや社会的役割、それをふまえた制度的、技術的課題を検討していくものだ。MediaFLOやデジタルラジオ、ISDB-Tmmなどが対象になっていくと見られている。構成員には東京理科大学や東京工業大学、東京大学、駒澤大学、法政大学、甲南大学の教授や准教授、「モバイルビジネス研究会」にも名を連ねた野村総合研究所上級コンサルタントの北俊一氏なども入っている。

 第3回会合では、デジタル放送研究会と、マルチメディア放送企画LLC合同会社にプレゼンテーションの機会が与えられた(ちなみに第2回会合ではデジタルラジオ推進協会、メディアフロージャパン企画、モバイルメディア企画がプレゼンテーションを行った)。

ハイブリッドラジオ放送の実現へ──デジタル放送研究会

 まず登壇したのはデジタル放送研究会だ。同研究会は2001年1月に発足した独立系FMラジオ局によるデジタル放送の勉強会組織である。J-WAVEの楠田修司社長が座長を務め、エフエム・ノースウェーブ、エフエムナックファイブ、エフエムインターウェーブ、FM802、ZIP-FMなど14社が構成員となっている。

 同研究会からは「アナログラジオのデジタルへの移行」についての意見が発表された。「テレビのように、アナログラジオを短期間でデジタルに移行するには、放送局も消費者もコスト的にとても困難である」という観点から「現行のFM放送の周波数帯域幅200kHzを400kHzに拡大して、アナログFM放送にデジタルの信号を加えて放送する『ハイブリッドラジオ放送』の導入が理想」という意見が表明された。

 このような放送方式は、国際的にはIBOC(In Band On Channel)と称され、すでにアメリカでは「HDラジオ(High Definition Radio)として実用化が進められているという。

 日本でこのハイブリッドラジオ放送を導入するには、前述のとおり400kHzに周波数帯域幅を広げなくてはいけない。それにはVHFローバンドと呼ばれる、90M〜108MHzの帯域を使用することが不可欠。VHFローバンドは、現在アナログテレビの1〜3チャンネルが使用している周波数帯で、アナログテレビ放送が停波した際には、VHFローバンドの一部を、ハイブリッドラジオ放送を導入するために確保したいと同研究会では主張した。

周波数を割り当てる方式は1つにすべき──マルチメディア放送企画

 次にプレゼンテーションを行ったのがマルチメディア放送企画だ。同社はアナログテレビ跡地に、現行のワンセグ放送方式(ISDB-T)を応用したサーバ型放送サービス(ISDB-Tmm)の提供を模索するために設立された企画会社(LLC合同会社)だ。フジテレビジョン、伊藤忠商事、NTTドコモ、スカイパーフェクト・コミュニケーションズ、ニッポン放送が業務執行社員を務めている。

 マルチメディア放送企画が事務局を担当してる「ISDB-Tマルチメディアフォーラム」は、ISDB-Tmm方式を用いたモバイルマルチメディア放送の有用性をプロモーションするために組織されており、2007年10月1日現在で74社が参加している。

 マルチメディア放送企画では、マルチメディア放送のサービス内容について、(1)オンスケジュール(時間軸)に則したリアルタイム型視聴サービスと(2)「プッシュキャスト」と呼ばれる、時間軸の概念を切り離したダウンロードによる蓄積型視聴サービスの2つを定義する。

 スポーツ中継やニュースなどのリアルタイム視聴番組を配信しつつ、プッシュキャストではビデオや音楽、電子書籍、電子雑誌などのコンテンツを自動的に端末に配信するサービスをイメージしているという。

 現在、地上波アナログテレビ放送停波後の空き周波数帯には、このISDB-Tmmのほかに、MediaFLOやデジタルラジオといった複数の規格が参入を狙っている。そのため、マルチメディア放送企画からは「規格が複数の場合、市場が分断してしまい、マーケットが拡大しない」「2つの規格を同時に受信する端末は、開発・製造コストが上がってしまう」「2つの規格が存在すると、ユーザーの混乱を招き、普及を阻害する。仮に一方のサービスが消滅すると、ユーザーは買い換えを迫られ不利益を被る」など、規格は1つにすべきであるという主張がされた。

 その上で、「ISDB-Tmmは、ワンセグやデジタルラジオと共通の技術基盤を使っており、共用端末を作りやすい」「14.5MHzの割り当てが予定されているが、ISDB-Tmmは429kHz単位でサービスを行えるので、周波数帯域を有効活用できる。(MediaFLOのような)広帯域システムは6MHz単位であるために、14.5MHzのなかに2つしか入らず、2.5MHz分余ってしまう」といったISDB-Tmmの技術的な優位点をアピールした。

 また、免許制度のあり方については「送信ネットワーク、チャンネルパッケージ、マーケティングなどの機能を分離、分散させず、同一事業者に一体免許として付与すべきである」という考え方も明らかにした。

 マルチメディア放送企画からは免許割り当てに関して、技術面や法制度のあり方、帯域などかなり突っ込んだ意見が飛んだ。

第4回会合は11月12日

 その後、総務省から諸外国でのマルチメディア放送の動向が説明され、さらにデジタルラジオなどを使い、マルチメディア放送がどんなものであるかのデモンストレーションが実施され、閉会となった。

 次回の懇談会は11月12日18時から開催される。クアルコム、パナソニックモバイルコミュニケーションズなどから意見を聴く予定だ。

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