「“最強中の最強”、VIERAケータイでシェアトップを奪還する」──パナソニック モバイルの脇社長

» 2007年11月06日 02時55分 公開
[岩城俊介,ITmedia]
photo 「P905iは“最強中の最強”に仕上げた。国内携帯トップシェア奪還を狙う」(パナソニック モバイル代表取締役社長の脇治氏)

 「VIERAケータイは“最強中の最強”。携帯シェアのナンバーワンを奪還する」──。パナソニック モバイルコミュニケーションズは11月5日、都内で携帯新製品説明会を開催。会見したパナソニック モバイル代表取締役社長の脇治氏はこう声高に宣言した。

 11月1日に行った新機種発表会でNTTドコモは、主力の冬商戦向け「905iシリーズ」を10機種、2007年度中に投入する「705iシリーズ」13機種の計23機種を発表。パナソニック モバイルはこのうち、905iシリーズ2機種(P905iP905iTV)、705iシリーズ3機種(P705iP705iμPROSOLID μ)の計5機種も用意する。

 今回の同社製端末のポイントは、ワンセグ端末を3機種用意し、そのうち2機種にパナソニックの薄型テレビブランド名を冠した“VIERAケータイ”として投入するところにある。

 “VIERAケータイ”とする条件として同社は、1)VIERAの高画質化技術を搭載、2)ワンセグ視聴に最適なスタイルを採用、3)VIERAとの連携を課した。

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 過去に同社は、「P901iTV」(2006年2月発売)と「P903iTV」(2007年2月発売)の2機種のワンセグ携帯を開発し、今回の一連のワンセグ端末は3世代目。2世代目のP903iTVは、VIERAシリーズに採用する高画質化回路 PEAKSプロセッサーをモバイル用にチューニングした「モバイルPEAKSプロセッサー」を搭載するとともに、VIERAテレビ開発チームの協力のもと“テレビ”の絵づくりを追求した“半”VIERAケータイと呼びうるものだったが、“VIERA”の名そのものは与えられなかった。VIERAブランドが欲求するレベルは、それほど高いものなのかと感じさせられた。

 脇社長は今回の“VIERAケータイ”投入にあたり、「松下電器本体から“VIERA”ブランドを冠することに関して何か条件があったわけではなく、グループとして“VIERA”を名乗るに恥じないよう、ハードルを自ら高く設定した」と述べる。上記条件のうち、さまざまな視聴スタイルを提案できる“視聴に最適なスタイルを採用する”ことを特に重要なポイントに設定したという(そのため、ワンセグを搭載するものの、プレーンな折りたたみスタイルである「P705i」は“VIERAケータイ”ではない)。そもそも同社自身で開発当初から高いハードルを課したこともあるが、松下電器の最重要ブランドの1つを冠するために相当の努力もあったであろうことは伺える。

 P905iは、同社製端末伝統のワンプッシュオープンボタンを継承しながらディスプレイが横にも開く“Wオープンスタイル”を新たに採用。ワンセグ視聴はもちろん、動画視聴やゲーム、PCサイト閲覧なども“手に持って”あるいは“机に置いて”といったように、横向きのまま各種コンテンツを楽しめる。P905iTVは、ワンセグ携帯最大級の3.5インチディスプレイと独自のフレーム補間機能を搭載。さらにステレオスピーカー付きの卓上ホルダを用意し、“ミニシアター”としても活用できる。家では「VIERA」、外では「VIERAケータイ」という「いつでも“VIERA”のある生活」を想定する。

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 VIERAとの連携は、同社グループが推進するSDカードを軸にした「携帯カメラで撮影した写真をVIERAでスライドショー再生する」といった活用例や、携帯ゲーム画面をテレビに出力して大画面で楽しむといった利用シーンを提案。そのほか、Bluetoothを活用することでSDオーディオコンポ「D-dock」や携帯オーディオプレーヤー「D-Snap」、カーナビゲーションシステム「Strada」など、VIERA以外の同社製品群とも巧みに連携を図り、グループ間のシナジー効果も狙う考えだ。

photophoto Bluetoothユニット(CY-BT200D)を搭載するパナソニックのカーナビ「Strada F」シリーズやBluetooth+HDD搭載AVコンポ「D-Dock」シリーズ(「SC-SX950」など)、携帯オーディオプレーヤー「D-Snap」シリーズ(「SV-SD950N」など)と連携可能。Strada Fシリーズは、Bluetooth接続でハンズフリー通話はもちろん、P905iに保存する楽曲データの再生や楽曲操作が行えるほか、ペアリング済みであればカーナビの起動と同時に自動接続も行うという。D-Snap SV-SD950Nは、P905iに保存する音楽のワイヤレス再生以外に、携帯への着信を通知する機能を搭載する。着信があると、携帯で設定した着信音がD-Snapから流れ、ディスプレイに相手の番号を表示する
photophoto 横長のワイド画面で、かつ携帯ゲーム機のようなスタイルで楽しめるゲームアプリも大きな訴求ポイントの1つ。バンダイナムコゲームズの「リッジレーサーズモバイル」をプリインストールするほか、バンダイネットワークスの「機動戦士ガンダム U.C.0079」やタイトーの「電車でGO! 山手線ワイド版」なども各コンテンツプロバイダから配信予定。これらゲーム画面はオプションのAV出力ケーブルを使ってテレビへ出力し、大画面で遊べるようにもなっている(左)。ワンセグも外部出力可能。カーナビのモニターやカーテレビ、リアモニターなどと接続して“車載ワンセグチューナー”としての活用も考えられる(右)
(c)創通・サンライズ (c)BANDAI NETWORKS (c)TAITO CORP.1996,2007 JR東日本商品化許諾済
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photo 11月発売予定の「P905i」。開発はすでに終了しているという(11月26日に開始する、ドコモの新たな携帯購入制度とほぼ同時期に登場すると見られる)

 ドコモの2007年冬商戦向け製品となる905iシリーズ(905i企画端末は除く)は、ワンセグ、大画面・高解像度ディスプレイ、HSDPA(FOMAハイスピード)、国際ローミング(3G/GSM)、フルブラウザを全機種標準で搭載する機能の高さが特徴の1つ。中でもP905iは、高画質や新スタイル、高画素カメラのほか、パナソニックの総合力を生かした省電力の取り組み(デジタル家電向けの統合プラットフォーム「Uniphier」搭載)やAV連携など独自の使いやすさを盛り込んだ。同社は、「まさに“最強中の最強”の端末に仕上がった」「国内携帯トップシェア獲得への起爆剤にする」(脇社長)と自信を見せている。

 国内の携帯メーカーはここ数年、シャープの強さが際だっている。MM総研調べの2007年上期(2004年4月〜9月)のメーカーシェアによると、シャープのシェアは26.2%/659万台出荷で、2位以下に大差を付けている。

 かつて同社(当時、松下通信工業)は2000年度まで長年首位、かつ30%以上のシェアを獲得するトップメーカーだったが、2001年度にシェアトップを譲り、2006年上期には4位まで落ちる(ただし、2006年通期では2位に挽回)など、やや低迷する状態が続いている。2007年上半期のシェアは13.8%/348万台出荷でシャープに次ぐ2位ではあるが、その差は12.4ポイントと大きく、逆に3位の富士通や4位の東芝とは大きな差はない。

 その状況は、満を持して投入する“VIERAケータイ”で打破できるか。“AQUOSケータイ”などで好調のシャープ1人勝ち状態は、“VIERAケータイ”で奪還──今回の2007年度下半期投入モデルに「Woooケータイ W53H」や「Cyber-shotケータイ SO903iCS」なども登場することを含めて、家電メーカーによるブランド競争は今後、携帯業界にもいっそう飛び火して火花を散らしそうな様相だ。

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