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» 2007年12月17日 16時58分 UPDATE

神尾寿のMobile+Views:携帯コミュニケーションに“メディアミキシング”で新たな価値を――VIVID Communicatorの可能性 (1/2)

通信速度の高速化、端末の多機能化が進む中、通信キャリアやコンテンツプロバイダにはこうした要素を生かしたサービスの提供が求められている。アクロディアが開発した「VIVID Communicator」は、「携帯電話のカメラや撮り貯めた写真に、新たな価値を与えられないか」という思いから生まれたミドルウェアだ。ケータイ写真から手軽な操作で動画を作成し、メールやSNS、ブログなどを通じたコミュニケーションに役立てることを目指す。

[神尾寿,ITmedia]

 携帯電話が単なる“電話”から飛躍するきっかけとなったのが、メールという新たなコミュニケーション手段を内包したことだった。文字による視覚的なやりとりと、非同期ながらリアルタイムという新しい時間感覚を持つ携帯メールは、今や手紙・電話・PCメールに続く新たなコミュニケーションとして定着している。

 その後、携帯メールは絵文字や写真付きメール、デコメールなどに対応。携帯電話と通信インフラの高度化に歩調をあわせて、表現力を増してきた。当初は文字中心だったものが文字以外の要素を取り入れることで、よりダイレクトに気持ちを伝えるコミュニケーション手段に進化してきたわけだ。

 そして2007年。携帯電話を取り巻く環境は、よりいっそうの高度化を遂げた。端末は高性能・多機能化し、通信インフラは“Mbps級”の通信を可能にする3.5Gのインフラが急速に整備されている(記事1記事2記事3参照)。

 こうした環境の変化の中で、コミュニケーション文化の“次の一歩”を踏み出すためにアクロディアとメガチップスによって共同開発されたミドルウェアが「VIVID Communicator」だ。アクロディアはVIVID UIをはじめ数多くのミドルウェアを展開しているが、VIVID Communicatorはその名のとおり、コミュニケーション分野で、携帯電話の端末・サービスに新たな価値を提供するものである。

 VIVID Communicatorが提供する価値とは何か。また、どのようなビジネスモデルを描いているのか。アクロディアとメガチップスの開発陣に聞いた。

携帯カメラの写真から簡単に動画を作成

Photo アクロディアで技術部部長を務める西山純一氏

 携帯電話の機能・性能はこの10年で大きく進化した。特にマルチメディア関連機能の向上は著しく、当初は10万画素からスタートしたカメラは今では300万画素以上が当たり前になり、音声や動画データも軽々と扱える。しかし、これらマルチメディア関連の機能向上がそのまま携帯メールに生かされたかというと、そうとはいえない面がある。添付ファイルという形で、写真や音声、動画ファイルを扱うことができるが、絵文字やデコメールほど気軽に使われてはいないのが現状だ。

 VIVID Communicatorは携帯電話の機能・性能向上の恩恵を、誰もがコミュニケーションに利用できるようにするミドルウェアだ。

 具体的には、携帯電話の端末内にある写真や音楽、イラスト、効果音、テキストなどを合成し、オリジナルの「動画ファイル」を自動生成する。この際、単に写真を連続表示するのではなく、写真そのものを装飾してSE(効果音)やBGMを挿入し、さらに写真の切り替え時にさまざまなアニメーション効果を加えるなどして、本格的なプロモーションクリップのように仕上げてくれるのが特徴だ。作成した動画データはAdobe FlashのSWFデータに変換されるため、ブログやSNS(ソーシャルネットワークサービス)、動画共有サイトを通じて公開することができる。これにより従来よりも気軽に動画を使ったコミュニケーションが可能になるのである。

 このようにVIVID Communicatorは、その役割にだけ着目すれば、一種のマルチメディアオーサリングツールと言えなくもない。しかし、VIVID Communicatorが“アクロディアらしい”のは、“写真をどのように加工するか”という動画生成のデザインや諸要素(パラメーター)となる部分を「テンプレート」というパッケージにしたことだろう。これにより、ユーザーが行う操作は、使用する写真や音楽を選んだ上で“テーマにあったテンプレートを選ぶだけ”に簡略化されている。これだけで見た目がよく、“それっぽい”オリジナル動画を作成できる。

 さらに動画生成要素のテンプレート化は、テンプレートそのものをコンテンツとする新たなサービス・ビジネスの素地にもなる。VIVID UIによる「着せ替えツール」がUIのプラットフォーム化を実現したように、VIVID Communicatorは“オリジナル動画”の生成スキームをプラットフォーム化する可能性があるのだ。

 「VIVID Communicatorの狙いは、携帯電話の中に撮り貯めてある写真や、携帯カメラ機能そのものをもっと生かして、コミュニケーションに活用しようというものです。操作方法は基本的に『テンプレートを選ぶだけ』と簡単ですから、ユーザーのリテラシーに関わらず、オリジナル動画の作成ができる。誰もが簡単・自由にコンテンツを作る環境を提供したいと考えています」(アクロディア 技術部部長 開発担当の西山純一氏)

sa_acd14.jpgsa_acd15.jpgPhoto VIVID Communicatorを利用することで、ユーザーは端末内に眠っていた写真をFlashに変換し、ブログやSNSなどにアップロードして楽しめるようになる

sa_acd11.jpgsa_acd12.jpgPhoto テンプレートは、結婚式や卒業式などのイベント時に役立つ

動画のブログ・SNS公開を簡単にする

 さらにVIVID Communicatorでは、メールはもちろん、ブログやSNSといった新しい“コミュニケーション”での利用も想定している。作成した動画を、コンパクトでネットでの動画利用で一般的なSWFデータとして書き出す機能を用意するのはそのためだ。

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