“普段使いのケータイ”をコンセプトとしたW61Kは、基本的な機能や使いやすさを重視したことで、KDDIからフレンドリーデザイン端末として承認されている。大きなフレームレスキーはキータッチが軽くて押しやすく、万人に受け入れられる。W53Kなどで採用された強化ガラスは、W61Kでもメインディスプレイに使用されている。
カメラは起動が速くなったうえ、これまでより速いシャッタースピードでの撮影も可能とした。また、ユーザーの声を元に、撮影シーンモードに「食べ物」と「夕焼け」を新たに追加している。W53Kの「テキスト」モードは、W61Kで「メモ・地図」に名称を変え、用途を分かりやすくした。
「『食べ物』モードを追加したのは、ケータイで食事やデザートなどを撮って、ブログやSNSに投稿する方が多いからです。おいしく見えるように色味を調節しますので、撮ってすぐにブログへアップするのに便利だと思います」(川居氏)
また、カメラを生かす機能として、撮った写真に日付と簡単なコメントを付けられる「グラフィックメモ」も搭載している。以前の京セラ端末にも「絵日記」として搭載されていたが、より用途が分かりやすい名称に変更した。
「撮った写真には撮影した日付や時刻が入りますが、それが“何の写真”かということを覚えておくのは意外に難しいものです。そこで、いつ、どこで、何を撮ったかをコメントとして残せて、後から整理もできる機能として搭載しました」(川居氏)
W61Kは、「au Smart Sports」「緊急地震速報」「フェイク着信」といったauの新サービスに対応している。なかでも注目したいのがフェイク着信だ。夜道を歩く女性に配慮した機能で、着信音を鳴らすことであたかも電話がかかってきたようなフリができる機能だ。特にW61Kのフェイク着信は、ただ着信音が鳴りイルミネーションが光るだけでなく、発話キーを押すと音声ガイダンスが聞こえ、それに答えることで本当に会話をしているようなふりができる。また、インフォメーションキーの長押しでも鳴らせるため、ポケットやバッグに入れたままでも着信を装えるという。
「防犯機能というほどのものではありませんが、夜道を1人で歩くときなど、ちょっとした安心感は得られると思います」(川居氏)
フェイク着信を起動すると、着信音が鳴ってサブディスプレイに「着信中」と表示。発話キーを押すと音声ガイダンスが流れ、それに答えることで自然な会話に聞こえるという。通話中のイルミネーションも光る。今回はおためし的な機能ということで、着信音は1種類のみ。街角でのキャッチセールスや訪問販売をやり過ごしたいときにも使えそうだ。
W61Kは、京セラ端末として久しぶりにおサイフケータイに対応した。「おサイフケータイを巡る環境が整い、コンビニなど使える店舗が増えてチャージも簡単にできるようになりました。W61Kはスタンダードモデルですが、おサイフケータイへの高いニーズを反映して搭載しました。コンパクトなボディに加え、大きめのイルミネーションでFeliCaを使ったことが一目で分かるなど、おサイフケータイとして使いやすいモデルだと思います」(川居氏)
では、今後すべての京セラ製au端末がおサイフケータイに対応するのだろうか。川居氏は「使える場所が広がっているので、できるだけ搭載していきたい」としながらも、「想定するターゲット層を考慮する必要はありますね」と慎重な面も見せた。おサイフケータイやワンセグがないシンプルなモデルへのニーズが無くなるわけではないからだ。
「携帯電話が高機能化し、大型化する一方で、W61Kは、基本に立ち返ったスタンダードなモデル。”普段使い”のケータイとして気兼ねなく使ってほしいですね。高機能ではないですが、細かい使い勝手をいろいろ工夫した高性能なモデルです。また、ここまで小さくなったWIN端末の進化も感じてもらいたいですね」(川居氏)
W61Kは付属の卓上ホルダもコンパクトで、端末を載せたまま通話ができる。こうした実用的な充電台にしたのには理由がある。
「ユーザーアンケートで卓上ホルダを使わない理由を聞いたところ、『充電しているとき、すぐに電話に出たり、メールを打てないのが嫌だから』という項目が多くありました。充電ケーブルを直接接続する方も多いと思いますが、自宅や職場にいるときはケータイをずっと卓上ホルダに乗せる方も多い。そうした“卓上ホルダ派”に配慮して、あくまで緊急用ではありますが、充電したままとっさに使えるものを採用しました」(川居氏)
auの携帯電話には卓上ホルダが標準で付属するが、皆が使用しているわけではないという。例えばワンセグケータイだと、テレビを見やすくするために横置きにするものや、スタンドが付くものがある。確かに、テレビ視聴時は便利で見た目も格好いいが、そのまま使用するのは難しい。
実際にW61Kを卓上ホルダにセットしてみると、端末の開閉はもちろん、ダイヤルキーやサイドキー、平形イヤフォン端子も利用できる。全体の大きさはコードレス電話の子機くらいになるため、そのまま持って通話するのも容易だ。もちろん、端末がずり落ちることもない。
「卓上ホルダも製品の一部。開発・製造する立場としては、できるだけ使って欲しい」というメーカーの思いが、この形となったのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.