シンプルだけに奥が深い――「N705iμ」デザインの秘密に迫る世界最薄を生かすデザインとは? 開発陣に聞く「N705iμ」(1/2 ページ)

折りたたみケータイとして世界最薄を実現した「N705iμ」。この極薄ボディを実現させた技術、マイシグナルや待受画面など内蔵コンテンツへの想いなど、N705iμが完成するまでの経緯を開発スタッフに聞いた。

» 2008年02月29日 10時00分 公開
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photo NECの世界最薄折りたたみケータイ「N705iμ」

 「N705iμ」は、折りたたみ型の3Gケータイでは世界最薄(*)となる9.8ミリを実現しながら、3インチフルワイドQVGA液晶、FOMAハイスピード、おサイフケータイ、200万画素カメラ、ミュージックプレーヤーなど多彩な機能を備えた端末だ。

 質感の高いステンレスパネルに、ディンプル加工を施した背面など、高級感のあるデザインも印象的で、単に薄いケータイとしてだけでなく“モノ”として価値のある一台に仕上がっている。同時に内蔵コンテンツにもこだわりを見せており、LEDディスプレイとして機能する「マイシグナル」が、N704iμの7×7ドットから7×17ドットに拡大したほか、「きせかえツール」に対応することでグラフィックをより幅広くカスタマイズできるようになった。

 この9.8ミリという薄さをどのようにして実現したのか。内側のグラフィックと外側のデザインでこだわった部分とは――。N705iμの開発に携わったNEC モバイルターミナル事業部 商品企画部 主任の杉原光明氏、NECデザイン ソリューションデザイングループ デザイナーの井手裕紀氏、同 プロダクトデザイン1 デザイナーの友岡由輝氏に話を聞いた。

photophotophoto 「N705iμ」開発陣。左から、NEC モバイルターミナル事業部の杉原光明氏、NECデザイン プロダクトデザイン1の友岡由輝氏、同 ソリューションデザイングループの井手裕紀氏

3枚のステンレスと“紙のような”基板を「ミルフィーユ」に

photo 「(N703iμの)11.4ミリから9.8ミリにする薄型化は、かつてない高いハードルだった」と語る杉原氏

 N705iμを語るうえで外せないのが、9.8ミリという厚さだ。商品企画を担当した杉原氏は、「N703iμを開発する際、厚さを18〜19ミリくらいから11.4ミリにしました。しかし今回、その11.4ミリから9.8ミリにするほうがかなりハードルが高かったですね」と振り返る。

 「N703iμでは、ステンレスと樹脂を一体成型した『ハイブリッド筐体』という技術を確立しました。従来は樹脂で外側を構成していましたが、N705iμではそこから一歩進み、ステンレスを正面に備えて金属の部分をさらにプラスしました。背面だけでも3枚のステンレスを使っており、従来の樹脂とステンレスによるハイブリッドの筐体と合わせて強度を保っています。その中に、従来よりも多い119個ものLED(マイシグナル)もあるので、とにかくコンマ何ミリという世界で、薄さを実現しています。この手法により、強度と薄さの両面を実現できました」(杉原氏)

 ディスプレイ側に3枚ものステンレスを採用するとなると、それだけでほかの部品が入り込む余地がなさそうだが、ディスプレイ側には基板も実装されている。ステンレス版と基板が重なりあい、ミルフィーユのようになっているわけだ。

 「部品を見ると、ペラペラのフィルムです(笑)。基板は……基板というよりも紙のようですが、フレキ(フレキシブル基板:柔軟性を持ったプリント基板のこと)の上に部品をダイレクトに実装して、薄さを実現しています。もちろんディスプレイパネルも薄いものを採用するなど、1つ1つの組み合わせが薄さにつながっています」(杉原氏)

photo 「N705iμ」の前モデル、「N703iμ」の基板を樹脂封入したオブジェ。緑の基板がダイヤルキー側ボディ、茶色の基板がディスプレイ側ボディに収まっている
photo FeliCaチップは裏面にある

 さらに、外側の薄さだけでなく、中身の集積回路にも手が加えられている。「N703iμでは『Medity1』というチップセットを使っていましたが、N705iμではN905i、N905iμと同じ高性能なCPU『Medity2』を採用しています」(杉原氏)

 ダイヤルキーやソフトキーのストロークはN703iμから変更されていないが、その分、面積を多くして使い勝手の向上に努めた。「今回もシートキーを採用していますが、表面に樹脂を塗って凹凸を出し、しっかりとしたクリック感を保っています。薄くてもクリック感を求めるユーザーさんは多いですから、薄くしたために操作性を犠牲にするわけにはいきません。その点は重視しました」(杉原氏)

 N705iμは、N703iμとN704iμでは非対応だったおサイフケータイにも対応している。これまでのNEC端末では、ディスプレイ側にFeliCaチップを搭載している機種が多かったが、N705iμではキー側にFeliCaチップを備えている。

 「ディスプレイ側ボディにFeliCaチップ等のさまざまな機能を置いてしまうと、ディスプレイ側とダイヤルキー側をつなぐ信号線が必要になってしまい、いろいろなところに制約ができてしまうんですね。そこで、極力ダイヤルキー側ボディに必要な機能やチップを実装しました」(杉原氏)

 薄型ケータイは、外部メモリースロットをバッテリーカバー内部に備えていることが多いが、N705iμでは側面に搭載されているのも見逃せない。「端末の厚さにかかわらず、外部メモリスロットは外側にあるほうが当然着脱しやすいですね。実装するにはかなり大変でしたが、microSDスロットを外に付けています」(杉原氏)

シートキーだがしっかりとした押し心地のダイヤルキー(左)。microSDスロットは左側面にあり、アクセスしやすい(右)

 N705iμは、厚さが9.8ミリなのはもちろんだが、幅が49ミリに抑えられていることも特筆すべき点だ。特に、同じく厚さ9.8ミリの「P705iμ」は幅が50ミリなので、N705iμの“薄さ”と“スリムさ”が引き立つ。

 「この49ミリという数字にはこだわりがあります。幅が50ミリを超えると持ちづらさを感じるんですよね。なので49ミリ以下という点にはこだわって、企画段階から決定していました」(杉原氏)

機能をリアルに表現する7×17ドットの「マイシグナル」

photo 「LEDの増加は、良くも悪くもデザイナー泣かせでした(笑)」と振り返る井手氏

 N705iμの外観で目を引くのが、7×17ドット(119個)のLEDが点灯する「マイシグナル」だ。N703iμやN704iμのマイシグナルは7×7(49個)ドットだったため、一気に70個ものLEDが増えたことになる。

 「N703iμでは7×7の中での表現だったので、点灯パターンもエンタテインメント的な色が強かったのですが、今回は7×17ドットに増えたことによって、より機能性を訴える表現をねらいました。時計の見やすさや、FeliCaを使っているときのアニメーション、セキュリティロックをかけたときの表示など、7×17に増えることによって、機能に見合う表現ができたと思います」(杉原氏)

 内蔵グラフィックのデザインを担当した井手氏は、「LEDの解像度が倍以上になったことで、写実的な表現が可能になりました」と話す。

 「N705iμでは、個々のLEDの間隔が非常に狭いので、かなり滑らかな表現ができるようになりました。そうしたなかで、一番最初にイメージしたのが『目がまばたきする』という動きです。個人的にはかなりリアルに作成できてお気に入りだったのですが、ほかのスタッフから“リアルすぎて気持ち悪い”と言われてしまって(笑)……。今度のマイシグナルは、それほどリアルに表現できるということですね」(井手氏)

photophotophotophoto マイシグナルパターンの1例。左から魚が泳ぐ様子の「Swimmer」、大小のハートが点滅する「Heart」、あみだくじがスクロールする「Amida」、右から左にらせんが動く「Spiral」

photophotophoto マイシグナルは端末の開閉だけでなく、着信時や通話中、メール受信時などに設定できる。プリセットされた点灯パターンは14種類。時計表示も10パターンから選ぶことができる

 マイシグナルの表示項目の中でも特にこだわったのが「時計」だ。従来の機種では4パターンだったが、N705iμでは10パターンもの時計表示が内蔵されている。N703iμやN704iμでは、(時刻を表す)LEDの数字がすべてスクロールされないと時刻が分らなかったが、N705iμではLEDの面積が横に拡大した分、一度の表示で時刻を確認できるようになった。

 「せっかく7×17ドットもあるのだから、いろいろなパターンにチャレンジしました。本当にシンプルな時計や視認性を重視した時計もありますし、アニメーションに凝った時計もあります。デザイナーには苦労させてしまいましたが、10パターンぐらいあれば、ユーザーの方もかなり喜んでいただけると思いました」(杉原氏)

 マイシグナルのアニメーション作成では、周囲からアイデアを募ることはあったが基本的に井手氏がすべて考えたそうだ。「ネタがあれば、1日5個ぐらいは作れますね。悩みながらだと3個ぐらいで、毎日続けると多分だんだん生産量が落ちていきます(笑)。一度作り始めると没頭できるんですけどね」(井手氏)

 今回のマイシグナルには、期間限定の隠しパターンも存在するという。井手氏によると「寒い季節用に、2カ所に盛り込んだ」ということなので、ねらいを定めて探してみるのも一興だ。

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(*):2007年12月17日現在。3G折りたたみ型の携帯電話において(NEC調べ)
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企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2008年3月15日