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» 2008年02月29日 23時43分 UPDATE

被災後の迅速な通信復旧を目指す――陸自、ドコモ、NTT東が共同訓練

陸上自衛隊とNTT東日本、NTTドコモが、被災地の通信手段確保を目的とした共同訓練を実施。陸路と電源供給が遮断された避難所に、衛星電話や基地局用電源などの対策機器を陸上ヘリが輸送する。

[平賀洋一,ITmedia]

 首都直下型地震による大規模災害を想定した、陸上自衛隊とNTT東日本、NTTドコモによる共同訓練が2月29日に行われた。訓練は、陸路が遮断された被災地の通信手段確保を目的としたもの。3度目となる今回は、陸上自衛隊東部方面隊から110人、NTT東日本グループから130人、ドコモグループから20人の計260人が参加した。

 訓練では、東京湾北部を震源とするマグニチュード7.3クラスの首都直下地震が発生。渋谷区代々木公園が避難所に指定されたが、建物の倒壊などにより孤立し、また商用電源が止まっているという状況を想定。NTT東日本とNTTドコモが通信機器などの空輸を自衛隊に依頼したところから訓練は始まった。ヘリコプターには災害対策用ポータブル衛星通信設備や衛星携帯電話、被災地で活動する自衛隊員へ貸与する携帯電話、マルチポップ無線LANシステム、可搬型発電機、マルチチャージャーといった災害対策機器が積み込まれた。

photophotophoto 被災地へ送る災害対策機器をまとめ、陸自ヘリコプターを待つNTT東日本・ドコモの車両(左)。そこへ大型ヘリコプター(CH-47J)と中型ヘリコプター(UH-1J)が到着する

photophotophoto ヘリコプターに機器を積み込むNTT東日本とドコモの社員

photophoto ヘリコプターは被災地近くに設営されたヘリポートへ向かった

 支援を待つ側のヘリポートには被災地に派遣された自衛隊員らが待ち受け、災害対策機器をトラックに積み替えて避難所へ向かった。避難所では、ポータブル衛星通信設備を使った特設公衆電話が設置されたほか、発電機による基地局電源の救済とマルチチャージャーによる携帯電話への充電サービスを開始。また、マルチポップ無線LANシステムによる広域無線ネットワークも提供され、通話だけでなくデータ通信を使った被災状況の報告が行える環境を整える。

photophoto 被災地にヘリコプターが到着

photophotophoto 災害対策機器はトラックに積み替えられ、避難所へ向かった

photophotophoto 避難所ではトラックから機材が下ろされ、NTT東日本とドコモによって災害用設備の設営が始まった

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photophotophoto パラボラアンテナと衛星通信システムとVoIPサーバ、電話機からなるNTT東日本の災害対策用ポータブル衛星通信設備。1局でIP電話20回線または、IP電話10回線+インターネット20回線を提供できる。110番や119番、118番への緊急通報も行える

photophotophoto 1度に18台の携帯電話を充電できるドコモのマルチチャージャー。充電中の端末は開けたフタの部分に置くことができる

photophoto 充電端子はドコモのFOMA端末とムーバ端末、ソフトバンク3G端末に加え、au端末にも対応。国内3キャリアのほとんどの端末を充電できる

photophotophoto NTT東日本とドコモが持つ災害対策用の車両も展示された。写真はドコモの全国の各支店レベルに50台配備されている移動無線基地局車。災害時に基地局がダウンした際や、イベントなどで収容回線数に余裕がなくなりそうな場合に出動する。交換局との通信は臨時に敷設した光ケーブルかマイクロ波を用いるが、衛星回線を使う車両も1台ある。屋根にある2本のアンテナは高さ約11メートルまで延びる

photophoto NTT東日本の移動無線車。一般回線が切断された際に出動し、臨時の公衆電話を設置する

photophotophoto NTT東日本の2000kVA(1600kW)非常用移動発電装置(左)。25トンクラスのトラックに川崎重工業製のガスタービンエンジン(中、右)と大型発電機を搭載している。2000kVAクラスの発電車は電力会社でも持っておらず、NTT東日本管内に2台あるほかドコモグループが7台するのみだという。主に大型ビルへの電源供給を目的としており、ビルの自家発電施設が被災した場合に備えた3次バックアップ的な存在である

photophotophoto ガスタービンの燃焼室(左)。ガスタービンエンジンは構造がシンプルでコンパクトであるにもかかわらず高出力が期待でき、かつ空冷式で冷却水がいらないため、限られた状況でも連続運転が可能だという。エンジン自体の回転数は毎分2万2000回転だが、変速機(中)で毎分1500回転に減速して周波数50Hzの電力を供給できるようになっている。また、さまざまな燃料を使えるのがガスタービンの特徴。この発電車は軽油で発電するが、重油仕様のガスタービンもあるという。発電車単体では200リットルの燃料を搭載でき、連続で十数分の電源供給が可能。駆動時間が短く感じるが、実際に出動する際はビル内に備蓄された燃料を使うため問題ないという

 訓練を行った陸上自衛隊東部方面隊とNTT東日本は、災害時の通信手段確保を目的とした組織連携の協定を2007年2月に結んでおり、2008年3月には東部方面隊とドコモとの協定も締結される予定だ。

 訓練に参加したドコモの担当者は、「他社の状況は分らないが、移動基地局や発電車など、被災後のバックアップ体制は弊社が一番充実しているのではないか」とコメントし、災害復旧に対する万全の備えをアピールした。

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