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» 2008年03月03日 17時00分 UPDATE

KDDI陣営、モバイルWiMAX展開へ本格始動──新社名は「UQコミュニケーションズ」

ワイヤレスブロードバンド企画は3月3日、161億5000万円の増資を2月28日付けで完了し、新社名を「UQコミュニケーションズ」とすることを発表した。

[園部修,ITmedia]

 ワイヤレスブロードバンド企画は3月3日、企画会社の事業会社化に関する会見を開き、新社名をUQコミュニケーションズとすることと、出資会社6社による総額161億5000万円の増資を完了したことを発表した。

 UQコミュニケーションズは、12月21日にウィルコムとともに2.5GHz帯を利用する次世代高速無線通信事業の免許を受けており、2009年2月からモバイルWiMAXを利用した高速無線データ通信サービスの試験サービスを開始する計画を明らかにしている。

新社名の由来は“Universal Quality”から

Photo 新社名「UQコミュニケーションズ」のコーポレートロゴを掲げる代表取締役社長の田中孝司氏

 新社名のUQコミュニケーションズは、「世界的標準規格のモバイルWiMAX技術を活用した普遍的かつ高品質なデータ通信インフラを提供する」という同社の目標が基になっており、普遍的かつ高品質を意味する“Universal Quality”や、品質(Quality)、容量(Quantities)、高速(Quickness)といった言葉をベースに考えられている。また「いつでもどこでも接続可能な通信環境の構築をベースに、多様な企業との連結を図ることでユビキタスネットワークの発展に貢献する」ため、Uは連結を意味する“U”、ユビキタス(Ubiquitous)のUでもあるという。

 社名のロゴは、「“Universal Quality”という社名の由来から感じるおおらかなスケール感や揺るぎない信頼感を表現した」(田中氏)。また田中氏は、“UQ”の文字が地平線の向こうから上ってきたような形状になっている理由として「大地の向こうから一歩踏み出してくるマークが、UQコミュニケーションズがもtらす新しい価値観や豊かさを表している」と話した。コーポレートカラーの青は、「あらゆる人、企業、ものといっしょに手を結び、ともに発展していくことができる協調性やオープンな姿勢を象徴している」という。

PhotoPhoto UQコミュニケーションズの社名の由来は“Universal Quality”から。コーポレートロゴにもさまざまな意味が込められている

 なお役員構成はワイヤレスブロードバンド企画から変更はない。KDDI出身の田中孝司氏が引き続き代表取締役社長を務め、KDDIの伊藤泰彦氏と片岡浩一氏、インテルの出川章理氏、JR東日本の西野史尚氏、京セラの山本康行氏が取締役に就任する。また、増資完了後の出資比率はワイヤレスブロードバンド企画と同様で、KDDIが32.26%、インテル キャピタル、JR東日本、京セラがそれぞれ17.65%、大和証券グループ本社が9.8%、三菱東京UFJ銀行が5%となっている。

 社員は現在の34人から100名体制に増強し、4月1日には品川イーストワンタワーに移転する計画。社員の大部分はKDDIからの出向などでまかなうことになるが、他の株主からも出向や中途採用などを募る。夏には営業部隊なども増え、200〜300人体制になるという。

PhotoPhoto 企画会社から事業会社化するのにあわせて、出資各社から合計161億5000万円の増資を実施。出資比率は変わらないが、資本金は170億円となった。事業会社化にともない、事業所は4月1日から品川イーストワンタワーへ移転する

6月から基地局の設置を開始

 2008年6月からの基地局工事開始に合わせて選出した、屋外基地局、屋内基地局、ASN-GW装置、CSN装置のベンダーも明らかになった。2007年12月25日に提案依頼書(RFP:Request for Proposal)を公表し、提案があった各社の価格、品質、納期などを勘案して、イニシャルパートナーとしてもっとも適正なベンダーを選定した。

 基地局ベンダーは、富士通を屋外基地局ベンダー、韓国のSamsung電子を屋外および屋内の基地局ベンダーとして選出した。富士通は小型・軽量な基地局を実用化した点を、Samsung電子は世界的に実績があることを評価した。またASN-GW(Access Service Network Gateway)装置には3G携帯電話での実績がある高性能な日立製作所製の機器を、CSN(Core Service Network)装置にはプラットフォームの実績や充実したサポート体制を持つCTC(伊藤忠テクノソリューションズ)の機器の採用を決定している。

PhotoPhoto 基地局ベンダーは富士通とSamsung電子を選出。ASN-GW装置は日立製作所、CSN装置はCTCのものを利用する

 今後の基地局建設は、2008年6月から2008年度の第2四半期までに約300局を展開し、2008年度第3四半期にさらに300局、2008年度第4四半期にはさらに400局を開設する計画。田中氏は「2009年の2月には試験サービスを開始する予定だが、それまでには600局以上を整備する計画。ただ、基地局の建設は可能な限り前倒しして進めていきたいので、もう少し増える可能性はある」と話した。商用サービスが始まる2009年度には、年間で3000局ほどの基地局を設置し、カバーエリアを急速に拡大していく。米Sprint Nextelや韓国のKTとは、ローミングサービスの提供へ向けて交渉を行う。

 ちなみにエリアの展開スケジュールは、2009年2月の試験サービス開始までに東京23区と横浜市などをカバーし、商用サービスを始める2009年夏には東京から名古屋、大阪エリアに拡大、2009年度末には全国の政令指定都市エリアをカバーする計画。全国の主要都市も、2010年度の末までにはカバーする考えだ。当然地下街や地下鉄の駅なども、エリア化しなくてはサービスが普及しないと考えており、順次交渉を進めていく。

PhotoPhoto 基地局の建設は2008年6月から開始する。2009年2月には600局以上の基地局を整備し、東京23区および横浜市などで試験サービスを始める予定だ。2009年夏の商用サービス開始時には、東名阪地域をカバーする計画
Photo 駅構内や電車内でもモバイルWiMAXが利用できるよう、JR東日本と電波伝搬実験も実施している

 なおUQコミュニケーションズがサービスを開始する2009年の夏には、携帯電話事業者がLTEなどの次世代の高速データ通信サービスを開始している時期でもあるが、田中氏は「モバイルWiMAXは、携帯電話が得意とするような音声中心のネットワークを狙っているわけではない。内蔵デバイスやデータ通信カードのような多種多様な端末を使っていただくことを前提にUQコミュニケーションズを舵取りしていく。どちらかというと携帯は電話中心にデータ通信サービスもあわせて提供していくようなイメージ。モバイルWiMAXはもっとデータ通信やオープンな端末に軸足を置いて、新たな市場を切りひらいていく」と話し、住み分けができるとの考えを示した。

MVNOにも積極的に取り組む

 2.5GHz帯免許を付与する際の条件として指定されているMVNOへの取り組みについては「事業計画にも盛り込んだとおり、分け隔てなくフェアに対応していく」と田中氏。たとえKDDIの競合相手となる企業にも、オープンに対応していくつもりだと話した。

 「UQコミュニケーションズが直販を行い、垂直統合モデルで市場を広げていこうなどとはさらさら考えていない。MVNOは新市場を広げてくれるものと確信している」(田中氏)

 まずは3月21日の14時から、品川イーストワンタワーでMVNOを検討している企業向けに説明会を開催し、申請手順やスケジュールの説明を行う。申し込みは同社のWebサイトから行えるようにするという。

Photo UQコミュニケーションズは、3月21日にMVNO向けの説明会を開催する。そこで申請手順やスケジュールの説明を行う予定

 「モバイルWiMAXが日本の社会インフラになるように頑張っていきたい」──。田中氏は免許を取得したときと同じ言葉で強い決意を表明した。

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