手のひらに乗るモバイルシアター──シャープ端末に搭載されたドルビーモバイルの秘密(2/2 ページ)

» 2008年03月17日 10時00分 公開
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ドルビーモバイルがやっていること──その秘密とは

 ではドルビーモバイルをワンセグの音声やオーディオプレーヤーでの音楽再生時に適用するとどうなるのか、SH905iTVを例に、もう少し具体的に見てみよう。

 SH905iTVとSH905iに搭載されている“ドルビーモバイル”は、そういう名称の単体の技術ではなく、携帯電話に特化した音響技術をパッケージングしたものだ。実際には、

  • サウンド スペース エクスパンダー
  • サウンド スペース for ヘッドホン
  • ナチュラル ベース
  • サウンド レベル コントローラ
  • モノラル→ステレオ クリエイター

という5つの効果を組み合わせて利用している。ワンセグ視聴時には、スポーツ/ニュース/バラエティ/ミュージック/ドラマ/映画のいずれかを、番組内容に合わせて自動設定。その他の映像ソースを再生中は、これとノーマル/オリジナルのいずれか1つが自由に選べる。音楽再生時にはロック/ポップス/クラシック/ジャズ/ノーマル/オリジナルが設定可能だ。

サウンド スペース エクスパンダー

photo サウンド スペース エクスパンダーでは、左右2チャンネルの信号を、まるで離れて置いてあるスピーカーで再生しているような音にする。その際、全体を左右に広げるのではなく、ボーカルは中央に、その他の楽器は左右に、といったきめ細かな調整を行っている

 サウンド スペース エクスパンダーは、携帯電話のスピーカーで、オーディオコンポのスピーカーで聴いているような効果を加える技術だ。SH905iTVは、携帯電話としては非常に特性のいいスピーカーを搭載しているが、それでもやはり携帯電話用であって、オーディオコンポのような音はそのままでは得られない。音というのは、より大きなスピーカーで空気を振動させればよりいい音で聞こえるので、小さな携帯電話でいい音を実現するのには困難が伴う。

 しかも携帯電話のスピーカーは、左右の幅が人間の両耳よりも狭い範囲にある。ステレオ感というのは、左右のスピーカーが離れていたほうがより強く得られるので、携帯電話ではステレオの音声も、場合によってはモノラルのように聞こえてしまうこともある。そこで、サウンド スペース エクスパンダーでは、物理的には狭い範囲で音を鳴らしているが、左右に離れたスピーカーで音を鳴らしているのと近い音響特性を得られるようにしている。

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 ドルビーのエクスパンダー技術は、他社が導入している“音像を単純に広げる”処理や、リバーブ感や反響音を後付で乗せて広がりを出す処理とは異なり、ボーカルはボーカルで中央に定位し、その他の楽器は広げる、といった独自の方式だ。そのため、一般的なエクスパンダー技術ではボーカルまで左右に伸びてしまい、風呂場で聴いているかのような音になってしまいがちだが、ドルビーモバイルではボーカルをしっかり中央に定位させてより自然な形で音の幅を広げている。

 「音声に詰まっているたくさんの音のエレメンツを、もっと外に置いて、間を広く開けて置いたスピーカーで聴いているような音にしようとしているのがサウンド スペース エクスパンダー」だと鬼沢氏はいう。


サウンド スペース for ヘッドホン

Photo サウンド スペース for ヘッドホンは、音の定位を頭の中から外に出すような効果をもたらす。音が頭の中ではなく、少し離れたところで鳴っているように聞こえる

 サウンド スペース エクスパンダーがスピーカーに特化した技術であるのに対して、イヤフォンやヘッドフォンで聴いたときの音を改善するのがサウンド スペース for ヘッドホンだ。やはり携帯電話はその特性上、スピーカーで音声を再生する人だけでなく、電車の中などでイヤフォンを使って音を聴く人も多いことから、イヤフォンの音も手を抜かずしっかりやりたいと考えて導入した。サウンド スペース for ヘッドホンでは、イヤフォンで聴いている音を、まるでスピーカーで鳴らしているような音に聞こえる音づくりをしている。

 イヤフォンで音を聴いているときとスピーカーで音を聴いているときでは、音の聞こえ方に違いがある。スピーカーの音は、直接耳に届く音以外に、天井や壁に反射して耳に届く音などがあり、それによって音の出ている方向などが検知できるため、“スピーカーから出ている音”を聴いていると認識できる。しかしイヤフォンで音を聴く場合は、スピーカーを耳に入れて聴いているので、反射音などがなく、頭の中に音が定位する。そこでサウンド スペース for ヘッドホンでは音響特性を携帯の中でシミュレートし、スピーカーから聞こえているような音を再生する。

 ちなみにイヤフォンで聴く音は、自然界にはない音なので、それが好きだという人も一部にはいるが、一般に生理的にすごく疲れる音になるという。「“いい音”とは聴いていて疲れない音」(鬼沢氏)だと考えるドルビーでは、聴き疲れしないよう、音の定位を頭の外に出すような処理をしている。

ナチュラル ベース

 重低音を増強して迫力を出すナチュラル ベースは、ちまたにあふれる単純な低音増幅機能とは違って、スピーカーに合わせた最適な音で、最大限の効果が出るようチューニングしている。一般的に、低音を電気的に持ち上げることはいくらでもできるが、それを実際に再生できるかどうかというのはまったく別の問題だと鬼沢氏は指摘する。

 「ナチュラル ベースは、スピーカーの能力、限界、特性のデータを前もってシャープさん側からいただいていて、それに最適な、能力を最大限生かせる低音再生の調整をしている。電気的には低音の成分がブーストされているが、製品で聴くと音がひずんでしまっているのでは意味がない。自然な重低音の再生ができるのがナチュラル ベース」(鬼沢氏)

サウンド レベル コントローラ

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 音楽を聴いているときに曲のジャンルが変わったり、ワンセグを視聴中にCMに切り替わったりすると、音量が急激に変わってあわててボリュームを調整しなくてはならないというシーンを経験したことがある読者もいるだろう。サウンド レベル コントローラは、そういった急激な音量の変化を常にモニタリングしており、常に快適な音量に自動調整してくれる機能だ。

 「ボリュームの相対レベルを管理していて、ユーザーが毎回細かくボリューム調整をしなくてもすむようなレベルの管理をしている」と鬼沢氏。「地味な機能だが意外に使える」

 CMに切り替わって急に大音量の音楽が流れてきたり、クラシックを聴いていて突然音が大きくなったりするような、ダイナミックレンジが広いコンテンツには非常に効果的だという。イヤフォンをして、電車の中や街の中で音声を聴いていると、雑音が多い中で音を聴くことになるのでそれなりに音量は上げることになるが、不意な大音量にも対応できる点は重宝するだろう。


モノラル→ステレオ クリエイター

 モノラル→ステレオ クリエイターは、意外に多いモノラルソースをステレオ音声に変換する機能。ワンセグ放送でもモノラルのソースを左右のチャンネルから流していることもあるが、この機能を利用することで自然な広がりのある音響効果が適用できる。

 モノラルソースのステレオ化は、音声の帯域を複数に分割し、それぞれの部分を右チャンネルと左チャンネルに振り分けることで実現している。オリジナルのコンテンツに何かデータを足したり引いたりしているわけではないので、2つの信号を組み合わせればまたもとのモノラル信号にも戻るという。あえて特定の音の成分を左右に振り分けることで、位相差が生まれ、ステレオ感が出るわけだ。

 このように、携帯電話のために開発された音響技術を世界で初めて搭載したSH905iTVとSH905iは、一般的な高音質化回路を搭載した携帯電話とは次元の違う高音質を手に入れた。言葉ではどれだけ言い尽くしてもその音は表現しきれないのが残念だ。チャンスがあれば、是非実機でその音を確認してもらいたい。

百読は“一聴”にしかず

PhotoPhoto シャープ アクオスギャラリー 市ヶ谷(左)とシャープ ハイテクノロジーホール 幕張(右)

 シャープではSH905iTVとSH905iのドルビーモバイルの効果を体感できるよう、端末とヘッドフォンを常設展示している。会場はシャープの「シャープ アクオスギャラリー 市ヶ谷」と「シャープ ハイテクノロジーホール 幕張」だ。関東圏以外のユーザーはなかなか足を運ぶのは難しいかもしれないが、興味を持ったらまずは実機でその音を確認してほしい。

 シャープ アクオスギャラリー 市ヶ谷の情報はこちらで参照できる。市ヶ谷駅のすぐ近くにあるのでアクセスしやすい。開館時間は午前10時から午後5時までで、毎週土、日、祝祭日及び会社定休日は休館。入場は無料だ。

 シャープ ハイテクノロジーホール 幕張はこちらから。海浜幕張駅から徒歩10分の距離にあり、開館時間は午b前10時から午後5時まで。なお第2土曜日を除く毎週土、日、祝祭日及び会社定休日は休館となる。こちらも入場は無料。

 なお、一部の販売店でもドルビーモバイルを試聴できる場合がある。まずは最寄りの販売店で、SH905iTVやSH905iの試聴が可能かどうか、問い合わせてみてほしい。


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提供:シャープ株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2008年4月6日