インタビュー
» 2008年03月25日 00時21分 UPDATE

開発陣に聞く「822P」:心に響く“シンプル”、それは簡単そうで最も難しいこと──「822P」 (1/3)

厚さ8.9ミリの薄型ストレートボディに、美しいグラデーションカラーをまとった「822P」。その極薄ボディはどんな工夫で実現したのか、メーカーとして久しぶりのストレート型端末の開発にどのように取り組んだのか。パナソニック モバイルの822P開発チームに話を聞いた。

[房野麻子,ITmedia]
photo パナソニック モバイルの「822P」。レッド、ピンクゴールド、ブラック、ホワイトの4色で展開する

 「構造設計をどうするか、ほとんどゼロからのスタートでした」──。

 凹凸のない厚さ8.9ミリの薄型ストレートボディに、美しく色が変化していくグラデーションカラーをまとう、パナソニック モバイルコミュニケーションズ製の新機種が「822P」だ。

 822Pが採用したストレートボディは、パナソニック モバイルのソフトバンクモバイル向けとして初めての試み。ドコモ向けなど、過去に製造したものを含めてもストレートボディは久しぶりの取り組みだった。822P以前のものではドコモのムーバ端末(2001年発売のP503iあたり)にまで遡る。2008年現在の端末は当時とは比べものにならないほど機能が向上し、薄型化も進んだうえ、ユーザーのニーズも多岐に渡る。

 なぜ、今、この形なのか。822Pの開発意図や開発の裏側をパナソニック モバイルの822P開発チームに聞いた。


photo パナソニック モバイルの「822P」開発チーム 左から、機構設計担当の松村哲夫氏、デザイン担当の羽田大利氏(パナソニックデザイン社)、プロジェクトマネージャーの辻本賢司氏、営業担当の丸山明浩氏

開発はほぼゼロからのスタート

 「デザインを重視したモデルとして格好よく、かつシンプルに。ファッションの一部というイメージを常に念頭に置いて開発しました」(プロジェクトマネージャの辻本賢司氏 以下、辻本氏)

 822Pの想定ターゲットは、20代から30代のビジネスパーソン。凹凸のないフラットで無駄のないフォルム、本体の横幅いっぱいに配置したダイヤルキー、美しいグラデーションが特徴で、スマートでシンプルな端末を持ちたいと思うユーザーに向けて企画された。

 本体カラーはレッド、ピンクゴールド、ブラック、ホワイトの4色で展開する。ホワイトは唯一グラデーションではないパターンで、汚れのない白をそのまま使った。822Pのテーマカラーはメッセージ性の強いレッド。社会人が使うことを想定したので、落ち着いた色を基調にところどころに彩度の高い赤を入れることで、ワンポイントの遊び心を表現した。

 「開発はほとんどゼロからのスタートでした」と機構設計担当の松村哲夫氏(以下、松村氏)は振り返る。

 「現在の国内の携帯はスライドや折りたたみスタイルが主流です。それらの設計ノウハウはここ2、3年で非常に多く蓄積しています。しかし、ストレート型は久しぶりです。かつて開発したことがあるとはいえ、以前とは状況が大きく異なります。大画面で薄型ボディ……ほとんどゼロに近い状態からのスタートでした。設計担当としては、薄くて長いボディの強度をどうやって保つかを最初に考えました」(松村氏)

photo 内部に用いる、金属と樹脂を一体成形したフレーム。822Pは厚さは8.9ミリと非常に薄い端末だが、1枚の金属板を持っているように安心できる強度を保つ。ゆがみ・たわみ、振るとカタカタずれて音がするなど、手にして不安に感じる要素がない

 822Pはその強度を確保するため、金属と樹脂を一体成形する複雑な仕組みのフレームを採用した。これにより単純に2枚の金属板で挟む構造より薄くでき、かつ強度を高められるメリットが生まれた。折りたたみやスタイド端末は構成パーツが複数のブロックに分かれるため、この技術は部分的にしか採用されないようだ。

 「これは特に新しい技術というわけではありませんが、8.9ミリの中に収める“ケータイ”としての基準をしっかり満たすものへ仕上げるにはかなりの苦労がありました。部品メーカーさんも含めて四苦八苦しましたね」(松村氏)

 なお、スリムなストレート端末ということでズボンのヒップポケットに入れて携帯するユーザーも多くなるだろう。薄着によりポケット数が少なくなる夏季などは特に当てはまるかもしれない。その状態で座って、お尻で“ぎゅっ”……となることもある。「なるべくやめてほしい(笑)」としながらも、そういうシーンもきちんと想定し、それに耐える構造になっているという。

 「一般的に、長いものは中央からから折れやすくなります。そのため、応力が集中する中央付近は特に工夫し、力がかかっても弱くなるところへ集中しないように設計しています」(松村氏)

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