オープンなインターネットを手のひらに――ノキアに聞く「X02NK」(後編)

» 2008年04月02日 22時09分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

 ソフトバンクモバイルのXシリーズ端末としてリリースされることから、「PCサイトダイレクト」が利用可能になったノキア・ジャパンの「X02NK」。これにより、出来がいいと評判の「Nokia Web Browser」も、パケット料金を気にすることなく利用できるようになる。

 しかし、多彩なマルチメディア機能を詰め込んだX02NKの面白さは、インターネット利用にとどまらない。インタビューの後編では、ノキア・ジャパン プロダクトマーケティング部でシニアマネージャーを務める小林潔氏に聞いたインターネット、GPSサービス、ビデオサービスの特徴や利用シーンについて紹介する。

Photo 端末にはmixi設定がテーマファイルとしてプリセットされ、mixiサイトをイメージしたテーマに設定できる。このテーマを設定すると、待受時の右上ソフトキーがmixiに割り当てられる

Photo X02NK対応のSymbian Signedアプリ「Google Search」をインストールすると、待受画面から検索できるようになる

VoIPソフトでコストを気にせず通話――インターネット・エクスペリエンス

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 X02NKのインターネット機能として注目なのは、PCサイトブラウザとして搭載される「Nokia Web Browser」とVoIPアプリの「Gizmo」だ。

 Nokia Web BrowserはAppleのSafariと同じブラウザコアを持ち、JavaScriptやRSSフィードに対応した携帯電話向けのPCサイトブラウザ。X02NKでの利用にあたっては、パケット定額プランの「PCサイトダイレクト」に加入すれば、月額最大9800円で料金を気にすることなくサイトを閲覧できる。また、XシリーズにはWebページの読み込み容量の制限がないため、この制限による容量超過でWebページを表示できないことはないようだ。

 VoIPはX02NK自体にその機能が備わっているが、サービスプロバイダの設定やSIPアドレスなどはプリセットされない。このため、「ダウンロードフォルダ」内にあるGizmoへのリンクを通じてユーザー自身がアプリのダウンロードやサービスへの登録、設定を行うことになる。

 GizmoはIMやプレゼンス表示、インターネット電話の機能を備えたVoIPアプリで、無線LAN環境下とキャリア網の通信環境下のいずれでも通話ができるのが特徴だと小林氏。「無線LANが使えない場所では、携帯電話網のデータ通信経由で通話できます。ただ、この場合、国際ローミング環境下で使うとパケット代が高くついてしまいますが……」(小林氏)。例えば海外出張先のホテルに無線LAN環境があった場合などには、日本に国際電話をかけることなく、IMでチャットをしながらVoIPで話すことができて便利だという。

Photo アプリのダウンロードやアカウントの取得、設定などはユーザー自身で行う必要がある。アプリにはIM機能も用意される。なお、クライアントソフトはPC用やWindows Mobile用のものもリリースされている

Photo IMの利用中に通話機能を呼び出して利用できる(左)。相手先には携帯電話網を通じた着信と同じように通知される(右)

 Gizmoを選んだ理由について小林氏は、同社がグローバルで展開していることと、日本語サイトがあるためユーザー登録からダウンロードまでを日本語環境で行えることを挙げる。また、VoIPの標準ともいえるプロトコルを採用していることから、SIPサーバとしてさまざまなサービスとの相互接続性が確保されていることも重要だとした。

 ノキア端末での無線LAN利用については今後、公衆無線LANアクセスポイントのフレームワーク作りに注力する考えだ。「Wi-Fiの利用時にはIDやパスワードを入れる必要があるが、最近ではPC向けの接続ツールが配布され、簡単に接続できるようになっています。こうした接続ツールをフレームワークとして持てば、ユーザーは端末を持って公衆無線LANのサービスに行くと、Wi-Fi検索で自動的にサービスを見つけられ、Webにアクセスしたり、ポッドキャストをダウンロードしたりできるようになります」(小林氏)

海外でも道に迷わない――マップ・エクスペリエンス

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 X02NKは、海外でもGPSを使ったサービスを利用できるのが大きな特徴だ。本体にはノキア純正の「Nokia Maps」がプリセットされ、NavitimeのX02NK向けナビアプリもダウンロードフォルダ内のリンクを通じてインストールできる。

 この2つのアプリはカバーエリアや位置づけが異なるため、使い分けられるという。「Navitimeは日本で利用できるほか、海外の観光地をカバーしています。インタフェースも日本語なので、ガイドブックに書いてある場所を調べるのに便利だと思います。一方のNokia Mapsは、海外の幅広いエリアをカバーしているので、出張などで観光地ではないような場所や田舎のほうまで足を伸ばす人にとって便利なツールです」(小林氏)

 Nokia Mapsは周辺検索やルート検索、目的地までのナビゲーションなどの機能を備えるが、ナビタイムのような乗り換えの案内には対応しておらず、歩きか車のルートを利用することになる。ナビゲーションの利用時には音声による案内も利用可能だ。

 Nokia MapsにはMap Loaderというアプリが用意され、あらかじめ必要なエリアの地図情報をメモリカードに保存できるようになっている。この機能を利用すれば、地図をネットワーク経由でダウンロードすることなく、メモリカードから呼び出して使うことができる。

Photo Nokia Maps(左)とNavitimeのX02NK向けナビアプリ(右)を利用できる

Photo Nokia Mapsのインタフェース。地図上の表示は海外の表記になるが、操作は日本語のメニューで行える

Photo PCと接続し、必要な地図情報をメモリカードに取り込むことが可能だ

ダウンロードもエンコードも手軽に――ビデオ・エクスペリエンス

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 X02NKは、ビデオ閲覧機能が充実しているのも見逃せない。Web上の動画コンテンツの視聴も、PCで録画した番組の取り込みも手軽に行えるよう工夫したという。

 端末側の機能として搭載するのは「ビデオセンター」。インターネットのビデオサイトからRSSのフィード情報を取り込み、更新されたビデオクリップをダウンロードして視聴できるサービスだ。

 初期状態では4コンテンツ程度をプリセットする予定で、新規サービスを追加することも可能。コンテンツの1つであるYouTubeの場合は、同サービスが提供する標準のビデオコンテンツをRSSフィードとしてダウンロードする。「更新のたびに新たなコンテンツをダウンロードできる。X02NKはテレビ出力にも対応するので、ダウンロードしたコンテンツをテレビの大画面で見ることができます」(小林氏)

 PCで録画した番組やビデオカメラで撮影した動画など、PC内にある動画コンテンツは、PCと端末の連携用ソフトとして付属する「Nokia PC Suite」のビデオ変換・転送機能を使えば、ドラッグ&ドロップするだけでX02NKに最適な解像度やサイズに自動で変換し端末に転送できる。変換時の品質は「最高品質」「中品質」「小さいファイルサイズ」から選択でき、外部メモリの容量などに応じて変更可能だ。

Photo ビデオセンターのインタフェース。Web上のビデオコンテンツをダウンロードして視聴できる。「YouTubeはストリーミング再生が中心だが、中にはダウンロードできるコンテンツもある。日本のコンテンツもあるので、楽しめるのではないか」(小林氏)

Photo 元の動画ファイルをドラッグ&ドロップするだけで、X02NKに最適な動画に変換・転送できる


 X02NKは、おサイフケータイやYahoo!ケータイ、Yahoo!mocoa、S!ともだち状況/S!一斉トーク、S!キャスト、S!速報ニュースなどといった、日本固有のサービスには対応していないが、PCインターネットの世界を携帯電話で楽しみたいというユーザーのニーズに応える多彩な機能を装備している。パケット定額プランに対応したことに加え、インターネットのトレンドサービスを手軽に楽しめる端末であることから、新たなユーザー層の獲得を期待できる端末といえるだろう。

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