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» 2008年04月18日 21時34分 UPDATE

デモ機で検証する「WILLCOM D4」(前編)

ウィルコムが“Atom搭載機で世界最速発売”を目指して投入するシャープ製の「WILLCOM D4」。デモ機とWebサイトの情報から、キーボードの使い勝手や拡張性を検証するとともに、バッテリーの駆動時間を予測した。

[坪山博貴,ITmedia]

 ウィルコムが“Atom搭載機で世界最速発売”を目指して投入するのが、シャープ製の「WILLCOM D4」。発表会で披露されたデモ機やシャープのWebサイトに掲載された情報を元に、歴代W-ZERO3シリーズユーザーの視点からD4の実力をチェックした。

未公開のバッテリー動作時間を予測すると

 発表会では具体的なバッテリー駆動時間が公開されなかったが、会場のデモ機とWebサイトの情報から、その容量は明らかになっている。標準バッテリーは、7.4Vの960mAhリチウムイオン充電池で、約7.1Whというスペックになる。インテルが開催した「Centrino Atom」の発表会では「12Whで4時間以上」という発言があり、これを当てはめるとカタログスペックレベルなら2時間以上はクリアすると予想される。大容量バッテリーは7.4V/2880mAhと標準バッテリーの3倍の容量であり、6時間以上はクリアするといったところだろうか。ただしYou tubeの動画などを延々と再生すればバッテリー動作時間は半分程度になることも予想されるので、筆者が予測するくらいの駆動時間は満たしてほしいところだ。

sa_wd01.jpgPhoto デモ機に装着されていたバッテリーは三洋電機製。一般のノートPCなら筒型のセルを組み合わせるのが一般的だが、D4は携帯電話向けに多い長方形セルを使用していると思われる(左)。クレードルの後方にあるスペースは標準/大容量バッテリーの充電用(右)。左側のスペースに標準バッテリーが納まり、大容量バッテリーは右側のスペースも利用する。バッテリーを単体でも充電できるのは便利だ

キーボードは使いやすいか

 “W-ZERO3シリーズからの継承”ともいえるのが、ディスプレイ部のスライド&チルトと組み合わせて利用できるQWERTYキーボードだ。12.2ミリというキーピッチ(横)は、チルトスタイルでノートPCのように使う入力スタイルも想定している。両手のすべての指を使ったタイピングはちょっと難しそうだが、両手の指を1つずつ使うような変則的なタイピングであれば使用感はそう悪くなかった。机の上などに置いてもディスプレイ部をチルトさせた状態なら座りもいい。また、キーはフレームレスながら中央部が盛り上がったドーム状になっており、隣接するキーと押し間違えることもほとんどなかった。

Photo チルトスタイル時の座りは非常に良好。ある程度の重さがあるためともいえるが、最初から両手親指打ちのみを想定したW-ZERO3シリーズとは一線を画す部分だ

 端末を抱えるようにしてタイピングする「両手親指打ち」も可能だが、手のひらでしっかり抱え込んでしまうと、成人男性としては平均的な筆者の手の大きさでも、中央部のキーに親指が届きにくかった。手のひらと指の境目あたりで抱え込むことになり、D4の重さも相まってW-ZERO3ユーザーだと落としやすそうで心もとない気分になるかもしれない。2つのタイピングスタイルをカバーすることで、どちらも妙に中途半端になってしまった感もあるが、このサイズに収めるにはやむを得ないところだったようだ。

Photo 同じ比率でD4とW-ZERO3のキーボード部のみを見やすいように並べたところ。キーボード部の占める高さはあまり変わらないが、幅はD4の方がかなり広い。Ctrl/Altキーを組み合わせたショートカット操作を多用する人の場合、両手親指打ちで入力する際、右側にどちらのキーも用意されていない点が気になるところだ。Windows Mobile機の場合、一時保持機能(Shift/Ctrlキーなどを単体で押すと次のキー操作まで状態を保持する機能)が両手親指打ち時の操作をカバーするが、Windows Vista機ではユーザー補助機能で明示的に有効にしないとこの機能は利用できない。少なくともデモ機では、この機能が有効になっていなかった。また、W-ZERO3と同様、Escキーが独立していない点も気になった

IA32アーキテクチャ採用による拡張性は

 D4はCPUにIA32アーキテクチャ、OSにWindows Vistaを採用したことから、W-ZERO3シリーズと比べて拡張性が高くなった。D4本体にmini USB端子(mini A/B)を備え、クレードルに4つのUSB端子、有線LANポート、アナログRGB出力を備える。クレードルは充電以外に「ドッキングステーション」の機能も兼ねており、なかなか魅力的なオプションとなりそうだ。

Photo 写真の背面以外にも、両側面の奥に2つのUSBポートを備える。説明員によれば、側面のUSBポートはキーボード、マウスなどの接続を想定したものだという

 もっともD4本体側のUSBポートがminiタイプであることに不満を感じるユーザーもいるだろう。オプションとしてこれに接続するGPSユニットが用意されるものの、ほかに直接接続できる製品はほとんど見当たらない。

 昨今、データ交換などによく使われるUSBメモリもmini USBタイプはほとんど存在せず、メモリカードリーダーも同様だ。もちろんサイズの問題に加え、クライアント機能も備えるため(Webサイトの情報によれば、他のPCとUSB接続することでフォルダ共有が可能になるという)、A/B端子を兼ねるmini USBの方が都合がよかったのだと思うが、どうせなら通常サイズにしてほしかった。

 この点はmicroSD対応のメモリカードスロットも同様で、デジタルカメラで撮影した画像をその場で読み込んでEメールで送信するような、D4ならではの使い方にも、何かしらの変換アダプターやケーブルが必須ということになる。せめてメモリカードスロットがSD対応であれば、USBコネクタがminiタイプであることにも目をつぶれた気もする。

Photo USB端子はホスト/クライアント機能を兼ねるmini A/Bタイプ。W-ZERO3[es]やAdvanced/W-ZERO3[es]と同じだ。そのため、ほとんどのUSB機器の接続にアダプターを使ったりminiタイプのケーブルを別途用意することになる。UMPCの多くが通常サイズのUSB端子を採用していることを考えても、少々残念な仕様だ
Photo microSDスロットは左側面のW-SIMスロットと並ぶ位置にある。4GバイトのmicroSDを認識したので、microSDHCに対応していると思われる。ちなみにSDカードコントローラ機能はチップセットのSOHに含まれており、SDIOもサポートしている。SDカードスロットを採用していれば、それほど対応機器が多くないにせよ、機能の拡張手段としても利用できたはずであり、残念なところだ

 またクレードルのビデオ出力がアナログRGBである点も気になった。発表会では大型テレビに接続する利用シーンを想定した説明がなされ、会場では仮想のリビングを設置してデモを行っていた。

 しかし大型テレビ側はDVI端子との接続も可能なHDMI入力の普及に伴い、アナログRGB入力が省略された製品が主流になりつつある。コストの兼ね合いもあると思うが、チップセット内蔵グラフィックスはSDVO(Serial Digital Video Output)をサポートしており、DVIやHDMI出力の実装がそう難しいとも思えない。

 ビジネスユースのプレゼンテーションでは“(プロジェクターへの接続が)アナログRGB接続が主流”と説明していたが、それは「RGB/USBケーブル」に任せれば済む。個人的には、HDMIコネクタを装備して映像も音声も1本のケーブルで大型テレビに接続できれば、“リビングで使うPC”としての魅力が高まったのではないかと感じた。

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