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» 2008年04月21日 10時00分 UPDATE

神尾寿のMobile+Views:「新たなドコモブランド」の狙いと、込められた思い──NTTドコモ 荒木氏に聞く (1/2)

「新ドコモ宣言」で“歴史的な方針転換”を発表したNTTドコモ。そんなドコモがコーポレートロゴの変更と新ドコモ宣言に込めた思いを、執行役員 コーポレートブランディング本部 副本部長の荒木裕二氏に聞いた。

[神尾寿,ITmedia]

 「新たな時代に向けて、さまざまな意味において生まれ変わる」

 4月18日、携帯電話市場を創出し、リードしてきたドコモが歴史的な転換を図った。その象徴としてドコモはコーポレートロゴを一新し、今後の指標をまとめた「新ドコモ宣言」を発表した。

 コーポレートロゴの変更と新ドコモ宣言に込められた思いについて、NTTドコモ 執行役員 コーポレートブランディング本部 副本部長の荒木裕二氏に話を聞いた。

Photo NTTドコモ 執行役員 コーポレートブランディング本部 副本部長の荒木裕二氏

化粧直しではない、本質的な変化を目指す

──MNP開始以降、ドコモをとりまく経営環境や競争環境は大きく変化してきました。また直近では、2008年第2四半期に(ドコモグループ9社の)統合を控えています。さまざまなターニングポイントがある中で、なぜ“今”をコーポレートロゴ変更をはじめとする「ドコモ刷新」のタイミングに選んだのでしょうか。

荒木裕二氏(以下荒木) (市場の成熟に対する)危機意識という点では5年前からありましたし、番号ポータビリティ(MNP)開始後の競争環境の変化への危機感もありました。それらへの対策は、その都度行ってきたのですが、対症療法的な対策では思ったほどの効果が得られなかったのも事実です。

 ドコモはもっと本質的な部分から変わらなければならない。そこで昨年、社長である中村自らが牽引する形でコーポレートブランディング本部が設立されました。ここから本格的な(ドコモの)内部改革の議論が始まり、準備が整ったタイミングが“今”だったということです。ですから、(ロゴをはじめとする)ドコモブランドの刷新は全国一社化とは別の流れにあります。

──議論や準備の期間をしっかり取った上でのタイミング、ということでしょうか。

荒木 今回のロゴ変更や新ドコモ宣言は、単なる(キャッチコピーだけの)お化粧直しではありません。最も重要なのは、ドコモの社員1人1人の意識を変えることです。社内が変わらなければ意味がありませんから、そのための時間をしっかり取りました。実施時期ありきではなく、(社内の)「準備ができたらやりましょう」というスタンスで、コーポレートブランドの刷新を考えていました。全体的な足並みがそろうことを重視していたわけです。

──ドコモが変わる、という宣言では昨年「ドコモ 2.0」というキャッチコピーがありました。これは今回のコーポレートブランドの刷新と因果関係があったのでしょうか。

荒木 昨年のドコモ2.0を今回のブランドの変更と結びつけて考えていたかというと、それはないですね。

ドコモを使いたくて使い続けていただけているのか、と問う

──今回の新ドコモ宣言をざっと見たところ、プレミアクラブなど顧客志向のサービスや、地道かつ真摯なエリア改善への取り組み、安全・安心への取り組みなど、これまでドコモの優位性や魅力でありながら、ドコモのアピール不足で目立っていなかった部分を(新ドコモ宣言で)しっかりと打ち出してきたという印象を受けました。

Photo 「長期にご利用いただいているお客さまが、本当にドコモを使いたくて使い続けていただいているのか、という部分を自問しなければならない」

荒木 新たなドコモとして何に注力するかについては、社内で多くの議論をしてきたのですが、安心・安全など「ドコモのよさ」はしっかりと守りつつ、その上で「ドコモにしかできないこと」をやっていこうという結論になりました。この視座に立ちますと、(ドコモの優位性となる部分でも)お客さまの声にしっかりと応えきれているかというと不十分な部分がありますし、(ユーザーに)長くドコモをお使いいただくためには、やるべきことがまだ多くあります。

 何よりもわれわれが自問しなければならないのは、ドコモには長期のご利用をいただいているお客さまが多くいらっしゃいますが、そのお客さまが「本当にドコモを使いたくて使い続けていただいているのか」という部分だと考えています。

──新ドコモ宣言では顧客満足度を重視する方針を打ち出していますが、この分野ではKDDIのauも同様の方向性を打ち出しています。少し意地の悪い言い方をすれば、今どきの企業で“顧客満足度重視”を打ち出していない企業の方がまれです。新ドコモ宣言で訴求するお客さま主義というのは、他社と比べてどこに優位性があるのでしょうか。

荒木 確かに昨年のJDパワーズの顧客満足度調査などでは、(ドコモの評価は)auに対して不本意な結果になっています。しかしわれわれとしては、すべての項目において頑張ればauに勝てると思っています。これはどういうことかと言いますと、例えばサービスエリアでは他社に負けていません。しかし、きちんと(FOMAエリアの拡大が)伝えきれていない。お客さまの声をしっかりと聞き、コミュニケーションしていく姿勢が重要です。

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