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» 2008年04月24日 11時15分 UPDATE

韓国携帯事情:“SIMロック解除”で加速する韓国携帯のオープン化

韓国で進む携帯電話とモバイルインターネットのオープン化。前回のフルブラウザ端末に続き、3月末から始まった端末のSIMロック解除を試してみた。まだ限定的だが、自由な携帯利用を感じさせるには十分なサービスだ。

[佐々木朋美,ITmedia]

 韓国ではHSDPA端末の普及により、モバイル環境での高速インターネット利用が一般化しつつある。各キャリアは、携帯電話からPC向けWebサイトを閲覧できるフルブラウザを搭載した端末を登場させているが、さらにHSDPA端末を普及させるべく、3月27日から端末のSIMロック解除を開始した。

 というのも、前日の3月26日に端末販売店への件付き補助金を認める「電気通信事業法」の期限が切れ、無料ケータイとして端末を格安で売ることが難しくなった。そこでSIMロックを解除することで、端末の買替えや買い増しをしやすくしようというのだ。この始まったばかりのSIMロック解除を、実際に行ってみた。

韓国で流通するSIMカードは2種類

 GSM端末やW-CDMA端末ではおなじみのSIMカードだが、韓国ではまだ馴染みがないアイテムだ。しかし今後は、HSDPA端末の普及とともに増えると予想される。

 韓国で使われているSIMカードは、「T-Money」機能の有無によって2種類ある。T-Moneyというのはソウルとその近辺の地下鉄やバスの運賃を決済できる交通系の電子マネーだ。料金決済方法は、先払い・後払い、どちらにも対応し、そのサイズはクレジットカード大のカードタイプからキーホルダータイプなどさまざまだ。

 T-Money機能を兼ね備えたSIMカードには「T」マークがついており、携帯電話に装着した状態で電子マネーとして利用できる。地下鉄駅窓口などでT-Moneyにチャージし、改札の該当部分に携帯電話をタッチするだけ。つまりカードと同様に利用できるのだ。非常に便利なサービスだが、利用する際にアプリを立ち上げる必要があるのが、若干面倒な部分だ。

photophoto 通常のT-Moneyカード。キーホルダー型も韓国では一般的(左)。T-Money機能があるSIMカードと通常のSIMカード(右)。T-Money機能付きは1万1000ウォン(約1140円)、機能なしは9900ウォン(約1026円)

photophoto T-Money機能を使うには、まず携帯電話に専用アプリをダウンロードする必要がある。その後T-Moneyサイトに接続し、住民登録番号を登録する(左)。T-Moneyのプログラム。紫地に白い色で「Mobile T-Money」と書かれた部分のすぐ右下に、「1000」という青い文字が見える。これが現在チャージされている金額だ(右)

photo アプリを起動して改札口にタッチすると、通過時に運賃が差し引かれる

 もちろん、SIMカードに住所録やSMSメッセージを保存しておくこともできる。SIMロックを解除して他の人と端末を共有する場合、端末にアドレス帳などがあっては不便なうえ、大事なSMSメッセージを他人に見られないようにする必要もある。そのためにも、重要なデータをSIMカードに移すことは必須といえるだろう。

 SMSメッセージをSIMカードに移すには、本文を表示させたうえで「USIMに移動する」メニューを選択するだけと簡単だ。またアドレス帳をSIMカードに移動させる場合も、「移動」メニューを選択してSIMカードに移動するだけだ。

photophotophoto SMSメッセージは、「送信」「受信」「保管」といった3種類のほか、中に「USIM」に振り分けられる(左)。連絡先がSIMカードに記録されている状態では、名前の左横のアイコンが、SIMと携帯電話のアイコンになっている(中)。一方、携帯電話本体にある場合は、名前の左横に携帯電話のみのアイコンが表示される(右)

SIMロックを解除してみる

photo 今回SIMロック解除したのは、SKY端末とAnycall端末。SIMロック解除は過去の端末でも可能だ

 前述のように、SKTとKTFは3月下旬からSIMロックを一部解除すると発表した。韓国のSIMカード端末は、日本のau端末のように端末とSIMカードがひも付けられているため、同じキャリアの端末であってもSIMカードを差し替えて使うことができなかった。

 今後は、SIMカードさえあれば別の端末でも自分の電話として利用できるというわけだ。現在は、NTTドコモやソフトバンクモバイル端末のように同一キャリア内でのSIMカード差し替えが可能になった。キャリアを超えたSIMカードの差し替えが実現するのは夏以降の予定だ。

 とはいえ、SIMロックフリーの状態で端末を販売するわけではない。希望者が販売店に端末を持ち込むか、サポート窓口に電話してSIMロックを解除する。また、新規加入者は3カ月間SIMロック解除ができないなどの条件がある。

 なお、端末の機種によってはSIMロック解除ができないものもあるほか、SIMロックを解除して端末を交換する際、相手の携帯電話で自分が使っていないサービスを使用している場合は、端末交換ができないようになっている。

 例えば、「A」「B」という人がSIMロックを解除して、端末を交換するケースで考えてみる。Aが月々の利用料金を支払って衛星DMBサービスを利用しており、Bは同サービスを利用していない場合、BのSIMカードをAの端末に挿入しても利用できないのだ。

 というのも、Bは衛星DMBサービスを利用していないのに、Aの携帯電話で利用すれば、本来契約していない料金が請求されてしまうからだ。こうした複雑に絡み合った付加サービスのため、端末交換ができないケースも想定される。

 また一度SIMロックを解除してから、再度ロックすることもできる。すでにSIMロック解除した端末の盗難事故が発生しているとの報告もあるので、これが不安で積極的に利用しようとしない人も多い。

photo 販売店でSIMロックを解除してもらった
photophoto 元々の電話番号は、SKY端末が010-5028-****、Anycall端末が010-2006-****

photophoto SIMカードを交換した後、SKY端末が010-2006-****となり、Anycall端末は010-5028-****になった

 SIMロック解除とHapticフォン発売は、似たような時期に行われた。SIMカードを交換するだけで携帯電話を変えたり、フルブラウジングが可能だったりといった経験は、携帯電話利用をより自由にしてくれるという期待感を膨らませるのに十分だ。

 しかし韓国におけるSIMロック解除、フルブラウジングの本格的サービスはまだ始まって間もない。SIMロック解除もサービスをしつつ、問題が生じればその都度制度を変えてくることも十分考えられる。まだまだこれからが本番だと言える。

佐々木朋美

 プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。


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