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» 2008年05月30日 07時27分 UPDATE

QUALCOMM、MSM7201A上で動作するAndroidのデモを公開

QUALCOMMが5月28日、現在開発を進めているGoogleのオープンOS「Android」のデモを報道陣に公開した。ハイエンドUMTSチップセット「MSM7201A」上で、さまざまなアプリケーションが動いている。

[神尾寿,ITmedia]
Photo クアルコム CDMA技術開発部門 シニアディレクターのジェイソン・ブレマー氏

 米QUALCOMMは5月28日(現地時間)、米国サンディエゴにおいて報道関係者向けに技術紹介イベントを実施した。その中で同社は、現在開発中のGoogle「Android」を採用した試作端末を公開。QUALCOMMのAndroidへの取り組みと姿勢について語った。

 「クアルコムとGoogleは、Androidの実現にあたって1年以上の期間にわたって協力体制を築いてきました」

 プレゼンテーションの冒頭、QUALCOMM CDMA技術開発部門 シニアディレクターのジェイソン・ブレマー氏は、Googleとの関係の深さをアピール。QUALCOMMがOHA(Open Handset Alliance)設立時からのメンバーであり、自らの役割が「(OHAの中で)Androidを半導体チップの上で動かすところにある」と説明した。

Photo デモに使われたのはMSM7201Aを搭載した評価用端末

 今回のデモは、QUALCOMMのUMTSマルチモードチップセット「MSM7201A」を搭載したFFA(Formfactor Accurate/評価用端末)で行われた。同氏は現在、このMSM7201AにAndroidを最適化すべく日々作業を行っているという。

 「クアルコムとGoogleとは、Androidをさまざまなマルチメディア機能を持つ端末向けにローンチするべく開発を進めています。そして、Androidベースの端末を多様なメーカーに広げていきたい。

 Androidはある程度ハイエンドなマルチメディア向け端末から導入が始まると考えています。むろん、その後はミドルレンジ向けのチップセットもAndroidに対応する予定です。この場合は、シングルチップ化などをすることでコストを下げ、ローエンドのモデルにも(Androidが)載せられるようにしていきたいですね」(ブレマー氏)

 MSM7201Aは、QUALCOMMのチップセットラインアップの中でもハイエンドに位置するマルチメディア対応チップセットだ。特に映像関係の処理能力が高く、OpenGL ES 1.1準拠の3Dグラフィックスエンジンは「PSPに近いくらいのグラフィックス能力がある」(ブレマー氏)という。このほかワイドVGAサイズの動画のエンコードやデコードをサポートし、8M〜10Mピクセルのカメラの制御もできる。

 「Androidの試作機では、当然ですが、GMailやGoogle MapsなどGoogleの各種サービスが利用できます。また高いパフォーマンスを持つ端末でAndroidが商用化されれば、多くのデベロッパーがソフトウェア開発に参加するでしょう」(ブレマー氏)

PhotoPhotoPhoto Androidの試作端末。ディスプレイの解像度はVGA(480×640ピクセル)だった。UIはAndroidのリファレンスに準拠し他ものを搭載している。試作機には、Quakeのデモンストレーションプログラムも用意されていた。実際に動かしてみると、リアルタイムFPSであるQuakeがスムーズかつサクサクと動いた。Androidと、それを動かすMSM7201Aの秘めるポテンシャルはかなり高そうだ。Google Earthもスムーズに動いていた

Androidの意義と、LiMOへの興味

 周知のとおり、AndroidはLinuxベースのコアを持つプラットホームだ。携帯電話業界では、これまでもLinuxが採用されてきたが、QUALCOMMはなぜAndroidに積極的に関わっているのだろうか。

 「Linuxは携帯電話に搭載されるようになって10年ほど経っていますが、これまでは仕様や機能がバラバラでした。Androidの登場は、こうした分裂した(携帯電話向け)Linuxにおいて、Googleがそれらをまとめあげて整えるという役割を担っています。それによってプラットフォームや(開発やビジネスの)周辺環境が整備されるという大きなメリットがあります」(ブレマー氏)

 一方、同じく携帯電話向けにLinux環境を整備する取り組みとしては、ドコモやNEC、パナソニック・モバイルコミュニケーションズなども参画するLiMo Foundationがあるが、QUALCOMMはこちらにも「強い興味を持っている」(ブレマー氏)という。

 「携帯電話向けのLinuxプラットフォームとして、今後はAndroidとLiMoが重要になってくると考えています。その点でわれわれがLiMOにも強い関心を持っているのは事実です。

 ただ、商用化や市場投入のタイミングで考えますと、Googleが強力に牽引するAndroidの方が、さまざまな有力企業の集合体となっているLiMoよりも早いペースで開発が進んでいます。商用化、製品の投入はAndroidの方が早いでしょう」(ブレマー氏)

Googleフォンは「Androidベース」で拡大する

 クアルコムのMSM7201AはUMTS向けであるが、年内にはAndroidのCDMA対応も行う予定だ。Googleの動きも速いが、QUALCOMMのフットワークもよい。Androidに対応するチップセットはTexas Instrumentsなど競合他社も開発しているが、QUALCOMMの強みはこのフットワークのよさと、Googleとの開発連携体制の強さにあると、ブレマー氏は話した。

 「QUALCOMMはGoogleと緊密に連携し、協力体制を敷いてAndroidの開発に携わってきました。Android側からも、QUALCOMMのチップに対して最適化をしてもらっている。これらの優位性から、Androidが市場投入された際には、多くの端末でQUALCOMM製のチップが使われることになるでしょう」(ブレマー氏)

 Googleは、Androidの商用化が始まれば、Androidをオープンソース化すると発表している。いちばん最初のAndroid端末は、Googleの標準的なUIと機能が実装される可能性が高い。

 「最初に登場する(Android端末は)Googleフォンと呼ばれることになると思いますが、その後はAndroidベースで開発された各メーカーの端末という形になって(採用端末が)拡大していくと予想されます」(ブレマー氏)

 今回見られたのはあくまで試作機だが、それでもAndroidはGoogleの各種サービスをスムーズに動かし、3Dゲームもサクサクと稼働していた。ユーザーインタフェースも含めてまだ開発段階というが、それでも強い期待を抱かせられるほど、その動作にはポテンシャルを感じた。Androidが見る夢が、現実の製品となる日は近そうである。

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