日本国内で、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、ディズニー・モバイル、ウィルコム、イー・モバイルと、主要な携帯電話・PHS事業者すべてに端末を供給しているシャープ。同社は2008年夏、携帯電話だけで10機種45バリエーションの新モデルを一気に投入する。ウィルコム向けに発売予定の「WILLCOM 03」や「WILLCOM D4」を含めれば、その数は12機種49バリエーションにも上る。
シャープが業界最多とうたう、これだけのフルラインアップを展開できる理由はどこにあるのか。常務取締役 通信システム事業本部長の長谷川祥典氏が、記者説明会の席でシャープの携帯電話事業の歴史をひもときながらその強みを話した。
シャープは今でこそ主要な通信事業者すべてに端末を納め、イー・モバイルなどの新規参入事業者からは指名を受けて端末を開発するなど、国内ナンバー1の携帯電話端末メーカーの座に君臨するが、自動車電話やショルダーフォンの時代から端末を開発してきたメーカーと比べると、参入したのは後発の部類に入る。そんな並み居る老舗を差し置いて躍進を果たした背景には、同社が携帯電話事業に取り組んだ当初から、さまざまな新しい取り組みを行ってきたことが挙げられると長谷川氏は言う。
携帯電話用ディスプレイのカラー化や、携帯電話へのカメラ搭載、光学ズーム付きのカメラの採用、QRコードリーダーの装備など、その時々で常に最先端の技術を取り込み、「シャープ発のケータイ文化」で現在の携帯電話業界を牽引してきたというわけだ。
こうした取り組みの結果、携帯電話が単なる“通話”のための道具から、電話を超えるコミュニケーションツールになり、「写メール」のような新しい文化を生み出すものへと進化を遂げた。
最近では、QVGAからワイドQVGA、VGA、フルワイドVGAへとつながる液晶ディスプレイの高解像度化や、ワンセグの普及に伴う“横スタイル”での携帯電話の活用提案などを積極的に行っている。特に通信速度の高速化に合わせて高まり続ける、表示性能に対する要求に応えるため、またフルブラウザを利用したPCサイトへのアクセスに対する需要に応じるため、VGA以上の解像度を持つ端末を強化した。サイクロイドスタイルのAQUOSケータイや、「インターネットマシン 922SH」、またフルスライド型の端末のように、横画面での使いやすさを持った端末の開発にも注力している。
なお、この日シャープは、2008年5月末にワンセグ搭載端末の累計出荷台数が1000万台を超えたと発表した。2006年5月にソフトバンクモバイル(当時はボーダフォン)から、サイクロイドスタイルを採用した初のAQUOSケータイ「905SH」を発売して以来、約2年での達成となる。シャープは、2006年5月から2008年5月末までのおよそ2年強で、23機種のワンセグ対応端末を発売している。
ちなみにJEITA(電子情報技術産業協会)が発表しているワンセグ受信対応携帯電話の累計出荷台数は2008年4月末の段階で3089万3000台。5月の1カ月間でさらに数百万台増えていることを考慮しても、約3分の1弱がシャープ製のワンセグ端末ということになる。これはもちろん国内トップシェアであり、出荷台数が累計1000万台を超えたメーカーも今のところシャープ1社だけだ。
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