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2008年06月16日 10時00分 更新

日本でのCDMAサービス開始10周年:

クアルコムがにらむ“次の10年”──山田純社長に聞く(後編) (1/2)

CDMA技術が日本に導入されて10年。しかし、モバイルのブロードバンド化はまだ緒に就いたばかりだ。QUALCOMMは限られた周波数でモバイルブロードバンドを実現する手伝いができる、と胸を張る。

 ハリウッド女優ヘディ・ラマーが1942年に基本特許を取得した、ノイズや干渉に強く、セキュリティも高い周波数拡散技術。それを携帯電話に応用したCDMAは、かつて誰もが実現不可能としていた通信技術だった。それを世界で初めて実用化したQUALCOMMは、今や携帯電話を語る上で、欠くことのできない存在となっている。CDMA2000はもとより、今や世界の多くの地域で採用が進んでいるW-CDMAにも、同社の開発した技術、特許が多数使用されている。

 そんなCDMA技術が日本市場に導入されて10年が経過しようとしているが、10年前の携帯電話事情といまの発展ぶりを比較すると、かなりの進化を遂げてきたといえるだろう。何しろ10年前には、携帯電話はインターネット対応もできていなかったほどなのだ。

 前編では、QUALCOMMとクアルコム ジャパンが日本の携帯電話市場で果たしてきた役割を探ったが、もちろんこれから先を見据えた同社の戦略にも注目する必要がある。“技術開発集団”のQUALCOMMは、これからの10年をどう見ているのか。引き続き、クアルコム ジャパン代表取締役社長の山田純氏に聞いた。

Photo 先進的なアイデアを出し続けることがQUALCOMMの存在意義」と語るクアルコム ジャパンの山田純社長

QUALCOMMがこれからの日本市場に期待する役割

 導入から10年たった今、QUALCOMMの日本市場に対するスタンスも、当時とは大きく変わってきていると山田氏は振り返る。

 「10年前は、CDMAの技術がまだ生まれたての状態でした。1998年に日本での導入が始まったときは、マーケットそのものがなかったわけです。当時の我々の活動は、市場を立ち上げるための端末メーカーとの付き合いが、かなりの部分を占めていました。メーカーの出荷台数を増やしていくということが、日本の携帯電話市場の拡大にも直接的に貢献するし、メーカーの海外進出にもつながっていたからです。

 CDMA導入からつい最近まで、QUALCOMMの主な活動のフォーカスは、メーカーの出荷台数をいかに上げてもらうか、でした。そのために、チップセットを使いやすくし、より安く早くたくさん端末をつくってもらえるように力を尽くしてきました。QUALCOMM全体としては、日本を生産基地として高く位置づけ、メーカーの皆様ときちんとした仕事をしてきました。それが何よりQUALCOMMにとってのベネフィットにつながっていたのです」(山田氏)

 しかし、日本市場は今や携帯電話の契約件数が1億を突破し、飽和状態にあるともいわれている。そのため、QUALCOMMが日本市場に期待する側面も変わり始めているようだ。

 「クアルコム ジャパンは、日本市場を立ち上げて、メーカーの皆様との付き合いもうまくいくようになってきたと自負しています。しかし残念ながら、これからの日本市場は端末を出せば売れる、何もしなくても右肩上がりで市場が拡大していくという状況ではなくなってくる可能性があります。日本メーカーの皆様に今後もたくさんチップセットを使ってもらえる状況というのは、期待しにくくなりつつあります。

 そのなかで、我々が日本市場に期待しているのは、先進的なデバイスやサービスを生み出せる能力です。そこに、まだまだ期待しているし、我々もせいいっぱい開拓していきたいと思っています。

 『携帯電話』として見ると、成熟した商品となっています。ですが、無線通信を活用するポータブルでウェアラブルなデバイスの登場や、それを対象としたサービスというふうに範囲を広げて考えると、まだまだ想像もできないような使われ方があると思っています。そういうところを日本の市場が開拓したり、世界に知らしめていくのであれば、このマーケットの持つ意味は大きいと考えています」(山田氏)

山田氏が考える“先進的なデバイスやサービス”とは

 QUALCOMMが考える「先進的なデバイスやサービス」とは何なのだろうか。山田氏は個人的な思いだと断りつつ、“電話機以外の端末”に注目をしていると話してくれた。携帯電話に加えて、もう一台所有する“何か”に通信機能が搭載されているというイメージだ。

Photo 「身の回りのさまざまな機器が通信機能を持ち、1人が2台、3台と通信可能なデバイスを持つ時代がやってきます。そこでQUALCOMMが果たせる役割は大きく2つあります」

 「携帯電話が便利になり、たいていの機器は携帯電話に統合されるといわれるようになってずいぶんたちますが、現状を見ると必ずしもそうではありません。携帯電話の多機能化が進んでも、多くの人はデジカメはデジカメとして持っていますし、ゲーム機はゲーム機として遊んでいます。PCも小型化が進んでいますが、PC自体はなくなりません。そういう意味では、ユーザーが使いやすいデバイスは生き残り、すべてが携帯電話に吸収されるものではないといえます。

 逆にもっとうまくやれば、もっと個々の機器が発展していくでしょう。より単機能なデバイス、機能をそぎ落としたデバイスが無線通信に対応し、モバイルでつながることで、価値が高まり、携帯電話に加えて、そういった機器を1、2台を持って歩く世界がやってくると思います。携帯電話の人口普及率は85%で、そろそろ頭打ちと言われていますが、まじめに1人に2台目、3台目が存在するマーケットだと思っています」(山田氏)

 では2台目、3台目のデバイスが当たり前の存在になる世界において、QUALCOMMはどのようや役目を担っていくのだろう。山田氏は「われわれの役目は2つある」と明言する。

 まず、1つ目が通信デバイスの提供だ。

 「無線通信機能は必須の機能として、常にそういったデバイスの中に存在するようになります。その際に、無線通信機能を意識せずに組み込んでいただくため、チップセットはさらに小型・軽量・安価にしていくことが需要です。性能も通信能力も高くなくてはならない。この分野は、われわれがもっとも得意としている分野ですが、まだこなしきれていないのが実情です。これからさらにやれる領域があると思っています」(山田氏)

 2つ目は、それらのデバイスに向けたサービスを提供しやすい環境を作ることだという。山田氏は「ユビキタスと言われるように、どんなデバイスも無線でつながるとしたら、そのネットワークを利用して提供するサービスは多種多様なものになってくるでしょう。ではそのサービスが提供しやすいプラットフォームとは何か、というと、まさにそこが創意工夫がされるべきと考えています」と話す。

 「インターネットの次の形態は、クラウドコンピューティングなどといわれていますが、そういうユーザーが意識しない、ネットの向こう側のサービス提供のしくみをもっと積極的に技術開発をしていって、サービス提供者たちに貢献していきたいです」(山田氏)

 その1つの例がBREWのサービスだ。ウイルスや不正使用などのリスクからユーザーを守りつつ、安心、安全に携帯端末にコンテンツを配信する仕組み。そういったものがあって、モバイルの環境がよりリッチに広く利用できるようになっていくというわけだ。山田氏は「ああいった機能をもっと充実させて、ダイナミックに配信できる、ネットの向こう側の仕組みも重要になってくると考えています」と語った。

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提供:クアルコムジャパン株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2008年7月19日

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