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» 2008年06月19日 06時00分 UPDATE

企業ユースでの使い勝手を強化した「Windows Mobile 6.1日本語版」

マイクロソフトは6月18日、企業ユースでの使い勝手を中心に機能強化を果たした「Windows Mobile 6.1日本語版」を発表。現在10%くらいの法人比率をもっと上げていく、とその狙いを話した。

[園部修,ITmedia]

 マイクロソフトは6月18日、スマートフォン向けのオープンOS「Windows Mobile 6.1」を発表した。Windows Mobile 6.0と同様Standard、Professional、Classicの3つを用意する。

Photo マイクロソフト 執行役常務 ビジネス&マーケティング担当の佐分利ユージン氏

 Windows Mobile 6から進化したポイントは大きく3つ。「操作性の改善」「生産性の向上」「管理機能の強化」である。今回のバージョンアップは、2007年6月に発表したWindows Mobile 6.0からのアップデートに位置づけられ、特に需要が高まりつつある法人市場からの要望に応える形での機能強化が図られている。

 発表会の冒頭でマイクロソフト 執行役常務 ビジネス&マーケティング担当の佐分利ユージン氏は「これからも市場の活性化に向けて引き続きWindows Mobileに投資をしていく。多様なニーズに応えるため、多くのパートナーと協業してエコシステムを提供していきたい」と話した。

初期設定が簡単に行えるツールを提供

Photo Windows Mobile 6.1の進化ポイントは大きく3点ある。操作性、生産性、管理機能の向上だ

 Windows Mobile 6.1では、まず操作性向上のための施策として、初期設定を簡単に行える機能を用意した。Windows Mobile端末には、購入してすぐにやらなくてはいけないことがいくつかあるが、それらの作業を一通り実行できる機能を備え、個別にメニューから設定項目を開くことなく必要な設定ができるようにしている。またBluetoothを使うユーザーも増えてきたことから、機器のペアリングを1ステップで実行できる新機能も備えた。

 さらにInternet Explorer Mobileにはズーム拡大機能やスクロール機能を実装したほか、タスクマネージャーも新たに提供。Standard版には新しいHomeスクリーンも用意している。

オートコンプリートやメール取得アルゴリズムの変更で生産性も向上

 生産性を向上させるため、Windows Mobile 6.1ではオートコンプリート機能も実装した。例えばメール作成時にメールアドレスなどを一部入力すると、過去に入力したものが自動的に表示される。この機能により、毎回長いメールアドレスをすべて入力せずとも入力を完了でき、入力を省力化できる。

 またメールの取得アルゴリズムをチューニングし、Exchangeサーバからメールを取得する際の帯域幅を6割ほど削減したという。POPやIMAP接続時にも必要な通信料を大幅に減らしており、メール機能のパフォーマンスを大きく改善した。これにより、メール送受信時の電力消費も低減されている。

端末管理やセキュリティ機能を大幅強化

Photo 管理機能を強化すべく、新たにSystem Center Mobile Device Manager 2008という管理用アプリケーションを導入する

 企業ユースでは非常に重要な要素となる管理機能については、System Center Mobile Device Manager 2008(以下System Center)という管理アプリケーションを用意し、Windows Mobile端末の管理やセキュリティ管理を、PCとほぼ同じように行えるようにした。

 通常、企業がWindows Mobile端末を導入する際には、数百台、あるいは数千台規模の端末を従業員に配布する。その際には、誰がどの端末を使っていて、その端末のOSやインストールされているアプリケーションがどんなものか、といった情報を把握してデータベースを構築し、管理していく必要がある。当然ながら運用している間に従業員が辞めたり、新しく入社する従業員に端末を割り当てたりと入れ替わりがあるので、データベースをしっかり維持していくのはとても大変な労力を要する。

 しかし、Windows Mobile 6.1端末とSystem Centerを利用すれば、ネットワーク経由で動的に端末の内部情報を取得できるため、管理者はサーバの前ですべての端末情報を管理できるという。アプリケーションの配布やインベントリ管理、SQL Server 2005を利用したリポート機能なども用意している。

 端末ないのメモリや外部メモリのファイルの暗号化機能や、端末を紛失した際などに、端末内部の情報を遠隔操作で消去する「リモートワイプ」機能などはWindows Mobile 6.0にも搭載されていたが、6.1ではそれに加えて端末に搭載された機能を管理者がSystem Centerを通して個別にオン/オフできる機能も提供する。例えばカメラを搭載した端末でカメラ機能を無効にしたり、Bluetooth搭載端末でBluetoothを使えなくしたりといったことが可能だ。アプリケーションソフトのインストールを禁止することもできる。

PhotoPhoto System Center上でカメラ機能を無効に設定すると、カメラを起動しようとしてもメッセージが表示され、動作しない。右の写真は、カメラの使用を禁止した端末と通常設定の端末でカメラを起動したときの画面

 さらにモバイルVPNをサポートすることで、社外からイントラネットなどにセキュアにアクセスできる環境も用意している。VPNはIKEv2、MobIKE、IPSEC tunnel modeに準拠し、高速再接続、ネットワーク・ローミング機能を備える。

サーバ2台から導入できるSystem Center

Photo System Center Mobile Device Managerは、最小構成ならゲートウェイサーバとデバイスの登録・管理およびデータベース保存用サーバの2台のサーバで運用可能

 System Center Mobile Device Manager 2008は、ゲートウェイとデバイス登録機能、登録デバイスの管理機能、そしてデータベースの4つの要素で構成される。最小ならゲートウェイにサーバを1台、残りの3つの機能にもう1台サーバを用意するだけで構成可能だ。このシステムでおよそ2500台ほどの端末が管理できるという。それ以上の規模になると、サーバを増やして負荷を分散する必要がある。

 System Center Mobile Device Manager 2008 Serverの参考ライセンス価格は26万1600円。System Center Mobile Device Manager 2008 Server with SQL Server Technologyは参考ライセンス価格で37万円だ。System Center Mobile Device Manager 2008のUser CALライセンスは、ユーザーあたり7000円、Device CALライセンスはデバイス単位で7000円となる。

 System Centerを導入を検討している企業に対して支援が行える協業パートナーとしては、すでに通信キャリアのウィルコムとソフトバンクモバイル、それにシステムインテグレーターの日本総研ソリューションズと三井情報が決まっている。この4社はすでにSystem Centerのトレーニングを受けており、すぐにでも支援活動ができるという。

“プラットフォーム戦略”でパートナー企業とさまざまなニーズに応える

 マイクロソフト 執行役常務 ビジネス&マーケティング担当の佐分利ユージン氏は、「法人ユーザーも、コンシューマーユーザーと同じく多様な端末を活用している。Windows Mobileはこれからもこの多様性を重視していきたい。この多様な端末にさまざまな端末やアプリケーション、Webサービスを実装するため、今後も多くのパートナーとの協力を得てエコシステムを提供していく。これからもプラットフォーム戦略はずっと変わらない」と企業向けへの展開を強めるWindows Mobileについて説明した。

 「現在、日本の携帯電話市場では9割がコンシューマーユーザーで、法人ユーザーは1割程度しかいない。しかし、Windows Mobileが日本市場に参入して2年半で、そろそろ評価のフェーズから本格的な利用を見据えて大量導入するフェーズに入ってきた。Windows Mobile 6.1とSystem Centerは法人市場を主体に販売していく。Windows Mobile 6.1で法人市場の比率をもっともっと上げていく」(佐分利氏)

PhotoPhoto プラットフォームを提供する、というこれまでのマイクロソフトの戦略は変わらない。特に多様性を重視しており、多くのパートナー企業とともにソリューションを用意していく。なおIDCが発表した2007年から2011年までの“Worldwide Mobile Worker Population”(モバイルワーカー人口)に関する予測では、就業者人口の4分の1から3分の1がモバイル化していくとされている。中でも日本はモバイルワーカーの構成率が世界でも一番高い国になると予測されており、マイクロソフトでも高い成長を期待している

 またモバイル&エンベデッドデバイス本部 部長の梅田成二氏は、「BlackBerry」を提供するRIMや、このほどエンタープライズ対応を表明したAppleの「iPhone」と比べたときのWindows Mobileのメリットとして、「PC向けOS(Windows Vista)、サーバ向けOS(Windows Server)、サービス(Windows Live)、そして端末(Windows Mobile端末)の4つをすべて持っていること」を挙げた。

 「4つの領域すべてで競争力のある製品を持っているのがマイクロソフトの強み。他社の強いところを追従するのではなく、われわれの強み生かしてそれぞれの連携を深め、製品を進化させていく」(梅田氏)

PhotoPhoto 左はマイクロソフト モバイル&エンベデッドデバイス本部 部長の梅田成二氏。Windows Mobile 6.1搭載端末はこれから続々と登場するという。新機種の中には、「Windows Mobile標準のユーザーインタフェース(UI)ではなく、OEMが独自に拡張したリッチなUIを持ったものもある」(梅田氏)という

 ちなみに2007年度(マイクロソフトの会計年度は7月から翌6月)はワールドワイドで約1100万台分のライセンスを出荷したというWindows Mobile。マイクロソフトでは、2008年度にはこれが約2000万台に増える見込みだという。日本市場で2007年度に発売した製品は13機種あったが、2008年度も2007年度と同じくらいかそれ以上の機種数を投入する計画だ。

Photo 2007年度(7月から翌6月)のワールドワイドのライセンス出荷実績は1100万台。これが2008年度には2000万台になる見込み
PhotoPhotoPhoto この日発売日が発表された「WILLCOM 03」を始め、国内で発売されているWindows Mobile端末が展示された
PhotoPhotoPhoto 合わせて海外で展開されているWindows Mobile端末も展示。発表されたばかりのSamsung電子の「Omnia」(写真=左)は来場者の注目を集めていた。ASUSTek製の端末も多数展示
Photo HPやMotorolaなど、老舗メーカーの端末も

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