見て、聴いて、触ってそのよさが実感できる──シャープ初のスライドFOMA「SH706i」(3/3 ページ)

» 2008年07月15日 10時00分 公開
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初めてのスライド機構を実現するための苦労

Photo パーソナル通信第一事業部 第2技術部 主事の筒井光敏氏。「ディスプレイ面のテクスチャー表現や初めて取り組むスライド機構には特に苦労しました」

 デザイン担当者がこだわったディスプレイ面のクロスローレット加工に加えて、筒井氏はもう1つ重要な課題を抱えていた。それがスライドボディの実現だ。筒井氏は主にディスプレイ側の上ケースの開発を担当していたが、上ケースの移動量が57.5ミリと、スライド端末としては比較的大きかったため、内部の設計が難しかったという。

 「当然のことですが、スライド用のレールは長くした方が強度が確保できます。しかし十字キーやソフトキーを下ケースに配置すると、レールの長さも制限されます。SH706iではマグネシウム合金のレールとステンレス鋼でスライド機構(ヒンジ)を構成して強度を確保しました。ただ、金属を使うので無線に対する影響があり、無線部門にもいろいろ苦労してもらうことになりました」(筒井氏)

 スライド端末のケーブルの取り回しは、細い軸に線を通さなくてはならない回転2軸タイプと比べると容易なようにも思えるが、薄いフィルム上のフラットケーブルを使う必要がある上、筐体自体が大きく動くため、上ケースとしたケースを結ぶケーブルの処理も頭が痛かったと振り返った。

 スライドをアシストするバネなどでも、さまざまな形状や巻き数のものを試作し、使いやすい使用感を追求した。

 また、光TOUCH CRUISERをディスプレイのすぐ下に搭載するという、これまでやったことがないアプローチを取ったことも、設計上辛かったポイントだ。SH906iやSH906iTVでは、光TOUCH CRUISERは下ケース側に搭載されていたが、SH706iでは上ケースに載せたため、本来上ケースに配置できていたデバイスが置けなくなった。

 「光TOUCH CRUISERは、デバイスとしては結構サイズが大きいので、他の端末ではスピーカーなどが搭載されていたディスプレイ下のスペースがなくなってしまいました。今回SH706iのスピーカーが受話部の裏側にあるのは、それが原因です。そのほかの部品の配置もとても大変でした。これは携帯電話開発の永遠のテーマではあるのですが、小型化・薄型化の流れの中で、基板のサイズはどんどん小さくなっています。今回SH706iでは、バッテリーの部分に基板は入っておらず、下ケースでは今までの半分くらいのスペースに機能を詰め込んでいます。上ケースもスピーカーなどの配置場所についてずいぶん議論しました」(筒井氏)

最後まで調整を続けたスピーカーの配置

Photo パーソナル通信第一事業部 第一技術部 主事の坂田快士氏。「スピーカーの配置は多くの議論を経てようやく決まりました」

 小型化・薄型化を進めるという至上命令や、デザイン上の制約などにより、スピーカーの位置は毎回議論になるポイントの1つだと第一技術部 主事の坂田快士氏はいう。坂田氏はSH706iの音響設計を担当した。

 「SH706iでは、スピーカーをディスプレイの裏側に配置していますが、ここに納まるまでにもいろいろと曲折がありました。SH706iはサイドキーなどがないすっきりしたデザインで、側面に穴を開けるのは反対だという意見もあって、激論を交わしました(笑)。また上ケースがダメなら下ケースはどうか、という話もあったのですが、下ケースは前述のとおり基板のサイズが半分になるくらい省スペース化されていますから、これも難しい。『(受話用の)レシーバーと同じくらいの大きさのスピーカーなら入れられる』といわれたのですが、そんなに小さいスピーカーはそうそうないので、本当にどうしようかと思いました」(坂田氏)

 スピーカーは、単に空いているスペースに入れればいいというものではない。スピーカーの物理的なサイズに加えて、その背面にも空間が必要で、空間は大きいほどいい音が出る。もちろんスピーカー自体も大きければ大きいほど音はよくなる。その中で、いい音が出る小さなスピーカーを探すことが簡単ではないことは想像に難くない。

 スピーカーの場所が受話部の裏側に決まったあとも、端末を閉じたときには隠れてしまう場所のため、開いたときと音質が変わらないよう、開口部を設ける必要もあった。このため坂田氏は、厚さ0.1ミリのテープを1枚ずつ貼っていって音を出して実験したという。最終的に、1ミリほどの空間があれば、スライドを開いても閉じても同じような音が出ることが検証でき、本体デザインに反映した。

 「閉じた状態では、スピーカーの位置が簡単には分からなくなっています。当初は難しいと思っていましたができあがったSH706iを見ると、穴のないいいデザインになったと思います。ただ、今回はスピーカーがモノラルなので、ぜひイヤフォンを接続して、ドルビーモバイルの美しいサウンドも体験していただきたいですね」(坂田氏)


 ハイエンド端末に迫る高機能をコンパクトなスライドボディに搭載したSH706i。この機種は、隅から隅まで、ユーザーの使い勝手のよさに配慮して、シャープにできることをとことん突き詰めて誕生した。

 「使い込んでいただくにつれ、端々で『ちょっといいかも』と感じていただけるような端末に仕上げています。ぜひ実際に使っていただいて、いろいろと細かな配慮を実感していただきたいと思います」(坂口氏)

 本機の特徴は、坂口氏のこの一言に集約されていると言えるだろう。

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提供:シャープ株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2008年8月20日