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» 2008年08月06日 12時00分 UPDATE

「iPhone 3Gを持っている人は別人種」──絶対の自信を見せた孫正義社長 (1/2)

ソフトバンクは8月5日、2009年3月期第1四半期の決算を発表したが、その会見はさながら「iPhone 3G」の発表会だった。孫正義社長は自身が中国に出張した際に、iPhoneだけを使い、PCを一度も使わなかったエピソードを披露した。

[園部修,ITmedia]
Photo ソフトバンク 代表取締役社長の孫正義氏

 ソフトバンクは8月5日、2009年3月期第1四半期の決算を発表した。業績は既報のとおり、機種変更需要の沈静化による端末総販売数の減少とARPU(1加入あたりの月間平均収益)の減少により、売上高が前年同期比2.4%減の6472億5500万円、営業利益が前年同期比8.1%増の850億8600万円となり、減収増益だった。

 ソフトバンクグループの2009年3月期第1四半期連結決算のハイライトは大きく分けて3点。

  1. EBITDA、営業利益、経常利益が前年同期比で過去最高を記録
  2. 移動体通信事業は14カ月連続で純増ナンバー1を獲得
  3. iPhone 3Gの販売を開始

 しかしこの決算の説明を始める前に、孫正義社長は「インターネットを使い始めて十数年になるが、先日かつてない体験をした。中国に出張に行ったときに、すべての業務を自分のiPhoneで行い、ノートPCを1回も使わなかったのだ。自分の時間が効率的に使え、人生観が変わるくらいの大きなインパクトだった」と、7月11日に販売を開始した「iPhone 3G」がいかにすばらしい“インターネットマシン”であるかを紹介。その後も説明の多くの時間をiPhone 3Gの機能の説明に割き、会見はさながら「iPhone 3G発表会」といった様相を呈していた。

2009年3月期第1四半期も過去最高のEBITDA、営業利益、経常利益

 なお移動体通信事業だけ、前年同期比で売上高が減少しており、これが連結決算が減収となる要因になった。売上減の原因は、割賦販売(新スーパーボーナス)の導入によって、ユーザーの買い換えサイクルが長期化し、機種変更による端末の販売台数が34%減ったためだ。これによって端末の売上が約139億円減少した。

 ただ、これはもともと想定していた数字で、結果的には半年や1年といった短期間で端末を買い換えるユーザーが少なくなり、経営上はより健全な状態になったという。平均で2年以上使う顧客の比率が圧倒的に高まったことで、端末を長期間利用するユーザーにもフェアな状態になったと孫氏は胸を張った。

 その結果、税引前利益に特別損益や支払利息、減価償却費を加算したEBITDAはすべてのセグメントで向上しており、過去最高を記録。営業利益もすべてのセグメントで好転した。

PhotoPhoto 連結売上高は移動体通信事業セグメントでの減少により対前年同期比で微減となった。原因は新スーパーボーナスの普及により端末の買い換えが減ったこと。しかし短期間で端末を買い換えるユーザーが減り、経営的にはいい傾向だという
PhotoPhotoPhoto EBITDA、連結営業利益、連結経常利益は過去最高を記録した

 なお設備投資は、「将来の設備投資を前倒しして実行する」と話していた基地局建設が一段落し、金額は前年同期比で半分近くに減少した。基地局の数は、2008年7月の時点で5万3000局に達したという。HSDPAエリアの人口カバー率は約70%だが、ユーザーの利用頻度の高いところはしっかりカバーしており、80%を超えるトラフィックはHSDPAでつながっているという。設備投資が減ったことで実質的なフリーキャッシュフローは増え、有利子負債の絶対額も順調に減っている。

Photo 移動体通信事業の設備投資は前年同期比で約半分に

移動体通信事業はかつてない好調を持続

 「ほんの2年ほど前、あらゆるメディアや販売店、専門家はみな『ソフトバンクは草刈り場になる』『ソフトバンクが1人負けする』といっていたが、結果的には14カ月連続で契約数の純増シェアナンバー1を達成できた。この第1四半期は80%近い純増シェアを獲得した。これは大変うれしいこと」(孫氏)

 孫氏がこのように感慨深げに話すように、この1年のソフトバンクモバイルの躍進は、2年前の番号ポータビリティ開始前には誰も想像していなかったものだ。しかし、決算会見のたびに孫氏が話すように、ボーダフォンはソフトバンクモバイルが買収してからというもの、これまでとは明らかに異なるカーブで契約数を増やしてきた。すでにユーザーは1900万契約を超え、解約率は初めて1%を切り、0.98%となった。3Gの契約に限れば、解約率は0.72%だという。

PhotoPhoto 2008年4〜6月の純増シェアもソフトバンクが1位。これでシェアナンバー1は14カ月連続となった。累計契約数は1900万を突破し、2000万契約という数字が見えてきた
PhotoPhoto 解約率は1%を割り、0.98%となった。3Gのポストペイド契約に限れば、0.72%と他キャリアにも引けを取らないレベルとなっている。すでにPDC(2G)の新規契約を終了していることもあり、3G比率は急速に伸びており、79.1%に達した

 解約率が下がっているのは、非常にいい兆候だと孫氏は指摘する。割賦販売の導入によって短期での機種変更が減ったことと合わせ、「経営的には一番望ましい方向に向かっている」(孫氏)からだ。「一度買った端末を2年以上使っていて、なおかつ解約もしていない。機種変更が減るというのは、場合によっては危険なケースもあるが、解約率が下がっていることを考えると、多くのユーザーに1台の端末を長期間使っていただくという施策が狙いどおり推移していると考えられる」(孫氏)

 3G比率も、ソフトバンクモバイルがPDC(2G)の新規受け付けを終了して以来急速に向上しており、今や8割近い。

 ただ、端末の機種変更需要が冷え込んでいることについては「割賦販売方式に移行し、2年縛りなどのいろいろな販売方法が一般的になることから、業界全体の端末出荷台数は構造的に減る」(孫氏)との見通しだ。キャリアからすれば、この点は構造的に経営効率がよくなることにつながるため、基本的にはいいことだというスタンスだ。

 しかし、「似たり寄ったりの機種の数を多種類出していくというのは、今後はあまり必要なくなるのではないかと思う。それを続けると1ロットの数が少なくなっていくので、経営効率が悪くなる。端末メーカーは構造転換を迫られることになる」と話した。

 また、フェムトセルについては「比較的自由に設置できるような大勢、法体系がやっと整ってきた。技術的な体制も整ってきている。今実験をやり始めているが、年明けくらいから本格的に提供することができるようになるのではないかと思っている」(孫氏)と話し、今後の展開に期待を持たせた。

CM好感度は“観測史上初”の7カ月連続1位

 白い犬の「お父さん」や上戸彩さん演じる「わたし」、予想GUYことダンテ・カーヴァー氏演じる「お兄ちゃん」、樋口可南子さん演じる「お母さん」という不思議な組み合わせの“白戸家の人々”のテレビCMは非常に好感度が高く、作品別と銘柄別の好感度で観測史上初の7カ月連続1位を獲得した。

 ちなみに作品別と銘柄別では、過去1年間で12月以外1位を獲得している。会社別でも過去1年間で9回1位を獲得しており、ユーザーにはソフトバンクに対する“いい”イメージが浸透しつつある。

 また6月度の調査では、15ある指標のうち、14部門でソフトバンクが1位を獲得した。その指標とは「出演者・キャラクター」「説得力に共感」「企業姿勢にウソがない」「ユーモラス」「ダサイけど憎めない」「周囲の評判もよい」「宣伝文句」「心がなごむ」「映像・画像」「商品にひかれた」「時代の先端を感じた」「かわいらしい」「音楽・サウンド」「ストーリー展開」で、唯一1位を獲得できなかったのが「セクシー」部門。孫氏は「犬のお父さんにセクシーを求めるのはちょっと難しい」と笑いを誘った。

PhotoPhoto CM好感度は作品別と銘柄別部門で、史上初の7カ月連続ナンバー1を獲得した。また6月には15ある指標のうち14の部門でナンバー1を独占した

ARPUは「底打ちして横ばいで推移」

 音声定額や割賦販売制度の導入によって下がり続けているARPUは、「実は底打ちをしてきちっと順調に横ばいで推移している」と孫氏は言う。

 これまでのARPUは、単純に通信料収入を元に計算していたが、かつての販売奨励金として支出された端末代金の一部を含んだ通信料金と違い、今のソフトバンクモバイルの通信料金は新スーパーボーナスでユーザーが支払っている端末代金が含まれていない。そのため、通信料収入だけを見ると大幅に低下しているように見えるが、端末代金の割賦支払金を含めた金額で見ると、5500円前後で安定しているというのだ。

 「本質的な1ユーザーあたりの月額売上は、割賦代金も含めたものとして考えるべきだ。そのような新しい物差しで見ないと、評価の判断を誤る。そういう意味で言うと、この1年以上、ソフトバンクモバイルのARPUは、通信・通話料は下がっているものの、端末の割賦代金は増えてきており、ほぼ横ばいといっていい。ARPUが激減しているというのは、表面的な間違ったものの見方だ」(孫氏)

 今やソフトバンクモバイルの多くのユーザーが新スーパーボーナスを利用して端末を購入しており、ソフトバンクは月々の割賦代金を含めた額をARPUとすべき、と主張する。そしてこの方式でARPUを算出すると、けっしてARPUは減っていないという。

 さらに今後は、音声収入は減るものの、携帯電話がインターネットマシンへと進化していく中で、データ収入が大きく増えていくと予測する。孫氏は「ARPUは、決してこれからどんどん下がって行くものではないのかもしれないと思い始めている」と今後のデータARPUの伸びに期待を示した。

PhotoPhoto ARPUは減少しているといわれているが、割賦販売の支払い分を含めれば5千円台半ばで推移していると孫氏は指摘する。「見方を変える必要がある」(孫氏)。今後は音声ARPUは下がってもデータARPUが上昇して、トータルのARPUも増えていくとの見通しだ

 なお割賦販売代金については、「将来的に2000円前後まで増える」と孫氏は話した。「ユーザーのほとんどが割賦利用者になると、1人あたりの割賦支払代金は、およそ2000円前後になる。ただ新スーパーボーナスには特別割引という値引きがあり、月々2000円程度の値引きをユーザーに提供しているので、全体のトータルでは、5千数百円前後で変わらないだろう」(孫氏)

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