デザインや機構面で新たに生まれ変わった「G'zOne W62CA」は、ソフト面でも新しいチャレンジが行われている。それがW62CAから新たに搭載された、“地球を感じさせるツール”「G'zGEAR」だ。
「G'zOne Type-R」や「G'zOne W42CA」では電子コンパスを搭載し、方位の測位が可能だったが、W62CAではこれに温度センサーを加えて、GPS機能から得られる位置と高度の情報、そして日時から、「方位」「位置」「温度」「潮位」「日の出・日の入り」「月齢」を表示するという、地球規模の視点から楽しめるツールを用意した。
「ハードや企画を含めて、G'zOneには熱い思いの人たちが関わっています。それならばソフトでも熱くうんちくが語れる機能がないといけないと思いました」
こう語るのはユーザーインタフェース、特にG'zGEARとスポーツタイマーの開発を担当したカシオ日立モバイルコミュニケーションズ 開発設計本部 ソフト設計グループの後藤悦宏氏だ。G'zOneのユーザーはアウトドアにG'zOneを持ち出すユーザーも多い。そうした人たちが普段から自然を考えたり、平日に冒険心を駆り立てて、週末のアウトドアに役立ててもらえたりするようなものを作りたかったという。そこで企画段階からチームで議論されたのが、“どれだけのクオリティを目指すか”ということだ。
一言でアウトドアでケータイを使う人といっても、その中には登山家やスポーツランナーから週末の釣りやピクニックに持ち出す人まで、幅広いユーザー層があり、さまざまな可能性を検討した。登山家で本当に山登りする人向けに、高度まで計って履歴を立体的に見せるといったアイデアや、日常のジョギングやワークアウトで使える簡易的な機能でいいという意見まで、数多くの企画が上がったという。
ただ、今回のW62CAのコンセプトは「スリーク・タフ」であり、スマートでなければならない。そこで、アウトドアの現場よりも、都会で使えるツールであること、普段、学校や職場でW62CAを使っていながらも、週末には冒険心を持つことができるテーマを採用することにした。そこからG'zGEARの「方位」「位置」「温度」「潮位」「日の出・日の入り」「月齢」という6つのツールが決まった。しかし、開発スタッフはケータイのプロではあっても、こうしたツールのプロではない。
「今回はいろいろなプロの方々に参加してもらいました。エコロジーや環境のプロもいれば、天文学的な計算のプロもいる。さらには、弊社の時計部門、プロトレックのメンバーにも入ってもらいました。G'zGEARは、表面上はただアニメが出ているだけに見えますが、ここの裏にある技術は、ちゃんとしたプロの手によるものなのです」(後藤氏)
その結果、過去25年間の最低/最高気温や、国内100カ所の潮位、さらに日の入り/日の出時刻といった莫大なデータベースを収容。月齢は天体計算のプロに監修してもらい、起動が遅くならない範囲で精度を調整した計算を行っている。
こうしたそれぞれのジャンルのプロフェッショナルによる監修は、G'zGEARだけでなく「スポーツタイマー」にも及ぶ。カシオ計算機では、G-SHOCKをはじめとした時計も作っている。それだけに、後藤氏としてはカシオ計算機のアイデンティティとしてスポーツタイマーを入れておきたかったのだという。
特にauの2008年夏モデルではコンセプトの1つに“スポーツ”を掲げていることもあって、時計の機能をどうやったらスポーツと融合できるのかを考えた。そして実際にスポーツをやったり観戦したりという、おなじスポーツという切り口でもさまざまな楽しみ方がある中で、必要とされる時計をヒアリングした結果が、「レフェリーモード」「リピートモード」「スピードモード」の3つの機能に結実したわけだ。
「我々はまったく気がついていなかったのですが、ストップウォッチでは『履歴を残さなければ(カシオの)名が泣くよ』と時計事業部に言われました。ラップやスプリットを計測できるだけではダメだったんです。また、レフェリータイマーであれば、常に時刻表示が見られるべきだとか、ベストラップは“ピッ”とボタンを押してから数秒間は表示が止まっていなければならないといった、細かいところを指摘されました」(後藤氏)
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