富士通は、国内で初めて携帯電話に指紋センサーを搭載したことで知られる。最初に搭載されたのは、ムーバのハイエンドモデル「F505i」。以降、指紋センサーは同社製ハイエンドモデルの多くに搭載され、利用者の秘密を守り続けてきた。この機能は、元ドコモの夏野剛氏もお気に入りだったようで、しばしば新モデルの発表会で紹介していた。
「F906i」も、もちろん指紋センサーを搭載しており、このモデルからは、メニューやWebなどを利用している際に、十字キーや決定キーとしても機能するようになった。
指紋センサーをロック解除に使う場合、まずは自分の指紋を端末に登録する必要がある。設定は「MENU」→「設定/NWサービス」→「セキュリティ/ロック」→「暗証番号/指紋設定」→「指紋登録」で行え、最大10個の指紋を登録できる。ロックの解除は、登録したどの指の指紋でも解除できるので、いろいろな指の指紋を登録しておくと便利だ。
F906iには、端末を閉じるとロックがかかり、指紋や暗証番号を入力しないと操作を受け付けなくなる「開閉ロック」という機能がある。この機能は、認証がスムーズにできてこそ“使おう”という気になるものだが、F904i利用時には、うまく指紋を認証しないことがたまにあり、結局は機能をオフにしてしまった。これをF906iで試してみたところ、認証ミスが減ったような印象を受けた。指を早くすべらせすぎたり、明らかに横にずらしたりしなければ認証ミスが起こりにくいようで、F904iに比べて認証の精度が上がっているようだ。
なお、開閉ロックは「MENU」→「設定/NWサービス」→「セキュリティ/ロック」→「ロック」→「開閉ロック」で設定できる。
最近では、おサイフケータイを利用する人も増えており、落とした際の不正利用を不安視する声も多い。おサイフケータイ搭載端末には、暗証番号の入力で解除できるICロック機能が搭載されており、これを設定しておけばすむが、F906iはこのロックを指紋認証で解除できるのが便利な点だ。
この手のセキュリティ機能は、強固になればなるほど操作が煩雑になるなど相反する存在だが、F906iの使い勝手はどうなのか。自分が利用するシーンで使いやすいかどうかを試してみた。
私の場合、普段はおサイフケータイにロックがかかっていて、使うときには端末を開くことなく指紋認証で解除でき、その後ほっといてもロックがかかる――というのが理想だ。設定を調べてみると、どうやらこうした使い方ができるようだ。
まず、「Menu」→「設定/NWサービス」→「セキュリティロック」→「ロック」→「ICカードロック」にアクセスし「ICカードロック時動作設定」→「ICカードロック対象選択」で、ロックをかけたいICカードを選ぶ。例えば“通勤時にロックがかかっていると面倒”――という人は、モバイルSuicaを対象から外せばいいし、“Edyだけに高額なチャージをしている”なら、Edyだけをロック対象にするといったカスタマイズが可能だ。
次に設定するのが、「ICカードオートロック設定」。これはICカードのロック解除後、一定時間が経過すると自動でロックがかかる機能だ。これを「ON」にし、ロックがかかるまでの時間を設定すればいい。ロックまでの時間は1分/3分/5分/10分/30分/60分/90分から選べる。これさえ設定しておけば、おサイフケータイを使ったあとに、放っておいても自動でロックがかかる。
閉じたままICロックを解除するのに便利なのが、サイドキーへのICロック解除の割り当てだ。F906iで閉じたままICロックを解除する場合、初期状態では[プッシュトーク]キーの単押し→右側面の上下キー操作で「ICカードロック解除」を選び、[ミュージック]キーで決定→指紋認証で解除――という手順になる。しかし、F906iは上下キーいずれかの長押しにICカードロック解除を割り当てられ、これを設定すれば、「端末を閉じた状態で下キーの長押し」→「指紋認証」という手順でICカードロックを解除できる。
上下サイドキーへのICロック解除の割り当ては、「Menu」→「設定/NWサービス」→「スイング/時計/入力/他」→「サイドキー長押し設定」で設定可能だ。
設定は少々面倒であるものの、いったん設定してしまえば、強固なセキュリティを簡単操作で利用できるのはなかなか便利。寝ている間に指紋認証されてしまうようなことでもない限り(その場合でも一定時間が経過すれば自動でロックがかかるので、不正利用される恐れは少ない)、おサイフケータイの中身は安全だろう。
なお、上記のような設定をした場合、F906i本体のバッテリーが切れたときに、おサイフケータイを使えなくなってしまう点には注意が必要だ。
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