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» 2008年08月28日 16時23分 UPDATE

神尾寿のMobile+Views:エリアワンセグからデジタルサイネージまで──大阪でケータイのイベント活用最前線を見た (1/2)

今やケータイの標準装備になりつつあるワンセグとおサイフケータイ。読売テレビ放送とNTTドコモ、日立製作所などが、これらを活用し、エリアワンセグやデジタルサイネージの実証実験を大阪で行っている。早速会場を取材し、その「新時代のメディア」を体験してみた。

[神尾寿,ITmedia]

 テレビが見られてネットにつながり、非接触ICも搭載している。誰もが常に持ち歩くケータイは、手のひらの上で通信と放送の連携を実現した「新時代のメディア」でもある。

 このケータイをいかに活用していくのか──。それに関する興味深い取り組みが、大阪で行われた。読売テレビ、NTTドコモ関西支社、日立製作所、日立システムアンドサービス、日立国際電気の5社が実施した、エリア限定ワンセグ(エリアワンセグ)を軸とした実証実験である。これは読売テレビが主催する夏休みイベント「RUSHBALL2008」「わくわく宝島2008」において、携帯電話のワンセグ機能やコンテンツ入手・視聴機能、おサイフケータイ機能をフル活用して新たなサービスの可能性を探るというもの。携帯電話の中で「放送」と「通信」がシームレスに連携し、非サイマル時代が見え始めた中で注目の事例と言える。

 そこで今回のMobile+Viewsでは、大阪で開催中のわくわく宝島2008の会場を取材。エリアワンセグやデジタルサイネージなど、実証実験の模様を紹介する。

来場者47万人強──"街がメディアになる"日

 駅からわくわく宝島2008の会場がある大阪ビジネスパークに向かう道は、"ビジネスパーク"という名前とは裏腹に、家族連れや若いカップルであふれかえっていた。スーツ姿の自分が浮いてしまうほど、街全体がお祭りムードに包まれている。

 今回、取材で足を運んだわくわく宝島2008は、読売テレビ主催の夏休みイベントで、テレビ局が主催するものとしては、関西圏では最大規模のもの。2005年からスタートし、今年で4回目を数える。会期は8月23日から31日までの9日間となっている。読売テレビ本社がある大阪ビジネスパーク一帯がイベントスペースになり、テレビ番組と連動した催し物や各種展示を用意するほか、大阪らしくフードコーナーも充実している。昨年の「わくわく宝島2007」は、9日間の会期中に約47万4000人が集まったという。

PhotoPhoto わくわく宝島2008は、大阪ビジネスパーク一帯を使って実施中の夏休みイベント。会場はとても広く、様々な催し物が行われている
PhotoPhoto 。読売テレビ主催と言うこともあり、番組連動イベントや、芸能人・お笑い芸人が登場する企画も多数ある。まさに街全体が1つのメディアになっている

 今回実施されたエリアワンセグの実験は、このわくわく宝島2008の会場全域をカバーしている。具体的には、読売テレビ本社ビルとツイン21ビルの2カ所に専用のアンテナと送信機を設置。ここから付近に電波を飛ばしている。放送する番組の収録と編集は、ツイン21ビル内の特設スタジオとコントロール室で行っている。

 といっても、テレビ局のスタジオや中継車といった大がかりな設備があるわけではない。写真を見てもらえば分かるとおり、パーティションで仕切られた特設スタジオとコントロール室は、イベント会場の控え室といった雰囲気。もしくはラジオ局のサテライトスタジオといった程度である。これだけ小規模な設備ですむのは、非サイマル・独立編成のエリアワンセグ放送ならではのポイントだという。現場では、若手お笑い芸人や読売テレビの女性アナウンサーが出演し、和気あいあいと番組を作っていた。

PhotoPhotoPhoto エリア限定ワンセグ用の特設スタジオとコントロールルーム。といっても、規模はとてもコンパクトでアットホームな雰囲気。局アナや若手芸人が出演し、和気あいあいと放送している
PhotoPhoto エリア限定ワンセグ用の専用アンテナ。会場エリアの2カ所に設置されており、会場限定で独自の放送を行っている
PhotoPhoto エリア限定ワンセグでは番組放送と連動したBMLコンテンツも配信している。ここから専用の携帯サイトに接続し、番組連動コンテンツのダウンロードサービスも行っている

チャンネル設定は「おサイフケータイ+携帯サイト」

 エリアワンセグ放送は、一般的なワンセグ放送と異なる非サイマル放送だ。もちろん周波数も異なる。そのためワンセグ対応の携帯電話にプリセットとして用意されているチャンネルではなく、そのエリアだけで見られる独自のチャンネルにチューニングをしなければならない。むろん、それはユーザーにとって、とても面倒な作業だ。

 そこで今回の実験では、実験中のエリアワンセグを見やすくするために一工夫した。おサイフケータイの三者間通信機能を使って周波数設定用の携帯サイトにアクセスし、そこから専用タグを使って携帯電話側のワンセグ周波数を自動的に設定するという仕組みを用意している。ユーザーは会場にある専用リーダー/ライターにおサイフケータイをかざし、指定された携帯サイト内にある「ワンセグお笑い放送局起動」というリンクをクリックするだけで、エリア限定ワンセグが見られるという簡単さだ。

PhotoPhoto エリア限定ワンセグの視聴に必要な周波数のチューニングを自動で行うためのリーダー/ライター。ドコモのおサイフケータイに対応している。リーダーライターにおサイフケータイをかざすと、三者間通信で専用サイトのURLが送られてくる
PhotoPhoto 三者間通信で送られてきたURLをクリックすると携帯サイトに接続する。そこで「ワンセグお笑い放送局起動」というリンクをクリックすると、media to機能を使ってエリアワンセグの周波数が自動的に設定される

 「携帯サイトからワンセグの周波数設定をするという機能(media to機能)は、ドコモのワンセグ対応機種ならばすべてが対応しています。これとおサイフケータイの三者間通信を組み合わせることで、簡単にエリアワンセグが見られるように工夫しました」(NTTドコモ関西支社 マーケティング本部 サービス企画部推進担当課長の近藤雅明氏)

 なお、携帯サイトからのワンセグ設定は、KDDIやソフトバンクモバイルなど他キャリアのワンセグ搭載機には対応していないものもあり、今回のイベントで利用できるのは「ドコモのワンセグケータイのみ」になってしまったという。ドコモは以前から、ワンセグへの取り組みや使いやすさ向上に熱心であったが、こういった部分が他キャリアとの差になったようだ。

 会場内では、特設イベントブースの「ワンセグお笑い研究所」に、常時エリアワンセグ設定用のリーダー/ライターが用意されているほか、「ワンセグ限定放送」の白衣を着た“イケメンキャラバン隊”がポータブルリーダー/ライターを持って巡回。彼らの持つバッグにおサイフケータイをかざすだけで、エリアワンセグの設定ができるようになっていた。おサイフケータイと携帯サイトを、エリアワンセグを見るためのユーザーインタフェース(UI)として使うという手法は、とてもスマートでよく考えられていると言えるだろう。

PhotoPhotoPhoto 会場内を巡回しているキャラバン隊のイケメン2人。彼らが持つバッグに、おサイフケータイをかざすと必要なURL情報が入手できる。バッグの中には、エリアワンセグ設定用のポータブルリーダー/ライターとバッテリーが入っている。おサイフケータイは非接触ICを使っているので、バッグの外側からかざすだけでいい
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