Windows Mobileでコンシューマーの心を揺さぶりたい──マイクロソフト 越川慎司氏神尾寿のMobile+Views(3/3 ページ)

» 2008年09月09日 12時30分 公開
[神尾寿,ITmedia]
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トータルコスト低減と開発者コミュニティの規模が優位性

ITmedia 携帯電話向けOSの世界では、オープンソース系のAndroidが火付け役になり、無料化の流れが注目されています。これまで有料モデルでWindows Mobileに近い供給体制だったSymbian OSも、無料化の方向性を打ち出しているわけですが、この流れは有料モデルを取るWindows Mobileにとって不利ではありませんか。

Photo 「デコメなど、日本独自のサービスの中にも世界的なトレンドになるポテンシャルを持つサービスがあります」(越川氏)

越川氏 OS無償化の流れはマイクロソフトにとって、必ずしも不利ではありません。「お金を払ってでもWindows Mobileを使うメリット」をメーカー各社に再認識していただく、よい機会だと考えています。なぜなら「無償のOSを使う」イコール「製造コストが安くなる」という図式が成立するとは限らないからです。ミドルウェアからアプリケーションまでOEMメーカー側で作るとなると、トータルコストは必然的に高くなってしまうのではないかと思います。我々はOS提供だけでなく、豊富なツールや開発支援サービスの提供も含めて、トータルコストで安くなるという姿勢を取っていきたい考えです。

ITmedia 開発のトータルコスト低減で、メーカー側にベネフィットを提供する、と。

越川氏 ええ。それに加えて、我々はマーケティングの部分にも協力したいと考えています。OSの認知度向上のための広告展開など、さまざまなマーケティング活動は、AndroidやSymbian OSなど他のプラットフォームでは積極的に行っていません。一方、我々はWindows Mobileの広告展開など、マーケティング活動を積極的に行い、ユーザーの認知度向上に努めています。今年は米国に次いで2番目に大きいマーケティングコストを日本市場に投入する予定で、その点でもメーカー各社にメリットを感じていただけると考えています。

ITmedia なるほど。Windows Mobileの認知度向上はプロダクトの訴求だけでなく、開発者コミュニティの拡大や活性化にもつながりそうですね。

越川氏 おっしゃるとおりです。我々はデベロッパー・プラットフォーム・グループという組織があって、マイクロソフト全体の開発者コミュニティ育成に力を注いでいます。そこでは学生も含めて、Windows Mobileの開発者を積極的に育成すべく、さまざまな支援を行っています。

ITmedia 今後のトレンドで見ると、携帯電話やスマートフォンにおける「ソフトウェアの重要性」が高くなりますので、どれだけ優秀な開発者・開発企業が集められるかが、OSの潜在成長力になってきます。そこで認知度が高く、学生も含めて幅広い開発者に人気の高いプラットフォームになることは、とても重要です。

越川氏 マイクロソフトの強さはそこにもありまして、我々のソフトウェア開発スイートである「Visual Studio」を使っていれば、簡単にWindows Mobile向けのソフトウェアも開発できてしまいます。OSプラットフォームへの認知度を高くした上で、統合された開発ツールを用意し、開発者育成に支援をすることで、開発者コミュニティの力を強化していきます。この部分(開発者コミュニティの規模や総合力)は、AndroidやSymbian OSに対する大きな優位性になるでしょう。

日本発のケータイ文化を世界に発信したい

ITmedia 今日本の携帯電話業界は、グローバル化とどう向き合うかという時期に入っています。Windows Mobileはまさにグローバルなプロダクトなわけですけれども、今後のグローバル市場と日本市場の連携や関係性構築について、どのように考えていらっしゃいますか。

越川氏 「ダビ10」(ダビング10)とか「デコメ」(デコメール)とか「ニコ動」(ニコニコ動画)とか、日本ではとにかくいろいろな独自規格やサービスが出てきますから、本社に説明するのは大変なんです(笑)

 でも、本音で言うと、「いい意味で日本のモバイル市場は先進的」です。ですから、マイクロソフト本社は日本市場のトレンドをとても気にかけています。ここ(日本)から世界標準になっていくものもあると思います。特に(モバイルの)サービス分野で、日本市場で培われたものの可能性は大きい。例えば、デコメは世界的なトレンドになるポテンシャルがあると感じています。こういった日本発のサービスやトレンドを、世界に発信していく役割も果たしたいですね。

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