しつこいようだが、930SHは800番台のミッドレンジクラスの端末として紹介されても違和感がないほど、シンプルかつスタンダードな見た目の端末だ。しかし、搭載されているカメラはソフトバンクモバイルとしては現時点で最高スペックとなる8Mピクセルでの撮影が可能で、しかもセンサーは携帯カメラでは圧倒的主流となっているCMOSではなく、CCDタイプを採用している。
CMOSセンサーは、CCDセンサーと比べて低コストで消費電力が少なく、データが高速に読み出せるといった特徴があり、最近の携帯電話のカメラはほとんどがCMOSセンサーを採用している。ただCMOSセンサーを採用したカメラは高速に動くものを撮影するとゆがんでしまったり、固定パターンノイズが多いといった問題がある。「最近のケータイカメラは画質が悪くなった」と感じる人が多くなったのは、こうした問題点が完全には解決されないままCMOSカメラが搭載されるようになったことが原因の1つだろう(もちろんほかにも原因はいろいろある。また最近はCMOSでもきれいな写真が撮れるケータイも出てきている)。
こうした状況をかんがみ、シャープではかつて「カメラの画質がいい」といわれていたころに採用していたCCDに再び着目。あえてCCDセンサーを用いたカメラモジュールを開発した。CCDはCCDで、CMOSにはない、スミア(強い光源が写っている場合に生じる白い筋)が発生しやすいといった問題点もあるが、これはメカニカルシャッターを搭載することで解決。感度が高く、動く被写体にも強い、きれいな写真が撮れるケータイカメラが完成した。明るいシーンではNDフィルター(ND8)が自動で入り、F2.8のレンズでF8相当の暗さに光量を落とせるなど、細かな点にも抜かりはない。
発表会場では、この新しいCCDセンサーのすごさを、高速に動く被写体や暗闇の中に置いた撮影サンプルなどを用意してアピール。実際にCMOSカメラを搭載した機種と撮り比べできるようにしていた。
カメラ機能を前面に押し出したデザインにはなっていないが、写真撮影にこだわるユーザーを意識し、オートできれいな写真が撮影できるのはもちろん、ユーザー自身で細かく設定をカスタマイズすることも可能だ。設定の変更は、ソフトバンク向けのシャープ端末ではおなじみの、背景が透過した12マスのメニューを呼び出して行う。
メニューはカメラ起動中に左ソフトキーを押せば表示される。それぞれの機能はダイヤルキーにも割り当てられているため、キーを直接押して呼び出すことも可能だ。トップ画面からは「撮影設定」「撮影モード」「バーコード/名刺」「データフォルダ」「撮影サイズ」「シーン」「画質」「セルフタイマー」「設定」「ISO感度」「ヘルプ」「ライト」にアクセスできる。
撮影サイズは最大の8M(2448×3264ピクセル)からメールS(120×160ピクセル)まで10種から選べる。1080×1920ピクセルのフルHDや768×1366ピクセルのノーマルHDなど、16:9のアスペクト比で撮れるモードも複数ある。フォーカスモードでは、顔優先AFのほか、センターAFや接写、マニュアルフォーカスも選べ、ホワイトバランスも太陽光、曇り/日陰、電球、蛍光灯を用意するなど、コンパクトデジタルカメラ並みにさまざまな状況に対応できる。
シーンプログラムも「夜景」「スポーツ」「文字」「ペット」「逆行」「人物」と、携帯で撮りそうなものはおおよそカバーしている。強いていえば、食べ物と風景はあって欲しかったところだが、おそらくこのあたりは標準でもきれいに撮れるのだろう。ISO感度は「自動」と「自動(高感度)」に加え、100/200/400/800/1600/2500に手動で設定できる。ISO1600やISO2500といった高感度撮影ができるケータイカメラは珍しい。10秒/5秒/2秒から選べるセルフタイマーを備える点もおもしろい。
このほか、本体に内蔵したモーションセンサーにより、端末の縦位置と横位置を自動で判別してくれるようになった点もポイントだ。画面の切り替えはもちろん、写真の縦位置と横位置をしっかり記録してくれるので、ブログなどに携帯で撮った写真をアップする際に、横向きで撮ったつもりが縦位置の写真が掲載されてしまうような“ミス”を防げる。縦位置と横位置の切り替えはほぼ瞬時に行われるので、切り替え時に待たされることはない。
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