「なぜ分からないんですか」──。“変わるNEC”を形にする現場は怒号と激論の連続だった。
NECのドコモ向けハイエンドモデル「N-01A」は、流行のタッチパネルディスプレイとともに、タッチ×ヨコ×タテと形状を自在に変化させながら使える“3Wayスタイル”を採用した。今までの“N”端末はもちろん、他社も含めた前モデル906iシリーズと比べても“最も大きく変化した”と思える革新を遂げた。
NECは現在も主流である“折りたたみ”の礎を築いたメーカー。そのスタイルで多くのファンを獲得した。
とはいえ、年に数回もモデルチェンジを行う携帯の進化、そして流行の変化はそれだけ著しい。最近は「変わらない」と評価されることもある一方で、“折りたたみ”のレガシースタイルを望むユーザーに対しては「変わってはいけない」。NECは葛藤していた。
この状況を打破すべく、2006年に携帯を専門にまかなう「クリエイティブスタジオ」を設立。レガシーに対する新しい価値「イノベーション」の概念を加え、双方の軸で展開する姿勢を打ち出した。この第1弾の成果は2007年5月に発売した「N904i」。続いて2007年12月発売の「N905i」「N905iμ」、2008年6月発売の「N906i」「N906iμ」と続き、今回のN-01Aと「N-02A」に昇華した。
折りたたみ端末のスタンダードを築いた“N”端末が、なぜここまでの革新に踏み切ったのか。そしてこの3Wayスタイルにどんな意気込みがあるのか。NECのN-01A開発メンバーに話を聞いた。
── N-01Aは、今までの“N”端末のどれにも似ていないスタイルを採用しました。正直、NEC製端末はコンサバティブ(保守的)なイメージがありましたが、ここまで変わるとは予想外でした。これほどまで思い切って革新したのはなぜでしょう。
田丸伸一氏(以下、田丸氏) 携帯市場が冷え込むといわれ、さらに生活の中に当たり前に存在する機器になった携帯の使い方が大きく変わってきています。
「携帯電話はデザインやユーザーインタフェース(UI)はもちろん、“ケータイ”であるという概念も含めて変わっていかなければならない」という考えは以前からありました。ただ、変わっていきたい思いの中にも「変わってはならないものもある」という葛藤があったことも確かです。
今回のラインアップには、高機能+薄型折りたたみボディの「N-02A」もあります。ある意味、N-02AがあるからN-01Aが存在できる、逆に、N-01AがあるからN-02Aも存在すると考えておりまして、この2機種が「本当にNECが革新していく」イメージをユーザーに明確に伝えられると思っています。N905iμで高機能な薄型モデルも展開し、“全部入り”を90xiシリーズで体現できた弊社だからこそ、進むべき道を明確に示せるようになったといえます。
このため、N-01Aは「徹底して変える」というテーマを最大限に盛り込めたことになります。
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