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» 2008年12月11日 21時49分 UPDATE

コンテンツ業界の底辺でイマをぼやく:第16回 「iコンシェル」が順調に滑り出しますように

個人的に注目していた「行動支援サービス」が、ついに現実のものとなりました。ケータイ独自のネットサービスがスタートすることにワクワクしているのですが、いまいち盛り上がっていないので、盛り上げに一役買おうと思い、2回に渡ってつらつら書いてみます。

[トミヤマリュウタ,ITmedia]

 とうとう始まりましたね、「iコンシェル」。実はこれを書いている時点ではまだ始まってないのですが、アップされたときには確実に始まっているはず。ホント、楽しみです。

 こうした、いわゆる「行動支援サービス」は、いつでもどこでも常にユーザーと一緒のケータイだからこそできるもの(まぁPDAでもできますが)。据え置き型のPCにはできないネットサービスとして、ケータイ独自の世界がどう作られていくのか――、という観点で、ウィジェットなどのサービスとはまた違った期待を持っているんです。

 実は、今から2年半前、自分はドコモさんのサポートを受けつつ、とある本の取材をさせていただいていました。そのとき聞いていたドコモさんの未来像が、「マイ・ライフ・アシストサービス」などといったいくつかの実証実験(外部リンク)を経て、ついにローンチしたのかと思うと、いちユーザーとしても、ケータイ業界にいる者としても、ワクワクする思いです。

 というわけで今回は、iコンシェルを中心に、こうした「行動支援サービス」についての期待&心配をつらつらつづってみます。

生活密着な「母ちゃん型iコンシェル」が欲しい

 一口にiコンシェルと言っても、そのサービスにはいくつかの側面があるわけですが、そこらへんの詳しい話はITmediaのiコンシェルの記事に譲ります。

 個人的に期待度大なのは、スケジュール連動系のサービス。よく言われている「ビデオの返却日をお知らせ」っていうのもいいんですが、好きなアーティストや好きなスポーツのチケット先行予約情報・メディア掲載情報などをお知らせしてくれるというのも、なかなか実用的じゃないかなと。

 僕は音楽もスポーツも好きですが、日々忙しい(10時から27時勤務で土日なしとか)とチケット発売情報なんてすっかり見逃してしまいます……。某チケット販売サイトのレコメンドメールも受けてはいますが、それでもやっぱり見逃してしまいます。でも、さすがにケータイのスケジュールに入ってくれば見逃すことはないかなと。それでも結局忙しくて、ライブに行けなかったり、録画予約し忘れたりとかするのでしょうが、「ライブがある」「試合の中継がある」とか、そうした事実を知っているだけでもファンとしてはうれしいわけです。そんなのファンじゃないとか言われるかもしれませんが……。

 実用系で言うと、カマタさんが提供される「お薬できたインフォ」というiコンシェルは良さそうですね。その名のとおり、薬の用意ができたら、かかりつけの薬局からお知らせが届くというもので、薬を常用されている方にはとても嬉しいサービスでしょう。

 iコンシェルは、エンタメ系もいいのですが、こうした生活密着系こそウケル……というか必要だと思うんですよね。例えば、自分が暮らしている地区の行政情報が届くとか。ゴミ出しの日がスケジュールに反映されたり、近所の工事のお知らせがきたり。選挙の投票日は即スケジュール登録されたり(笑)。

 そういう家のことっていうか、なんていうか、仕事に忙殺されていると忘れがちなことをフォローしてほしいんですよね……。って、なんだかそれじゃ母親みたいだな(笑)。でも、「母ちゃん型iコンシェル」欲しいですね、やっぱり。ぜひ実現してほしいところです。

精度の高さとユーザーの理解を巡るジレンマ

 さて。冒頭で触れた本のなかで、自分はケータイを「ライフログの貯まるごく私的なコミュニケーションツールである」という風に定義しました。そして、だからこそ「行動支援サービス」をするならケータイが適しているとまとめていました。

 なぜなら、電車の乗降履歴やら、GPSによる行動範囲の履歴、その人の個人的なスケジュール、さらには個人的なメールをやり取りする相手は誰かなど、PCには貯まりにくい私的なライフログをも活用しなければ、「行動支援」と呼べるような、精度の高いレコメンドは難しいと思ったからです。

 もしも、精度の高いレコメンドが出来なければ、こうした行動支援サービスは「行動邪魔するサービス」扱いになってしまう……。ですが、「精度の高さを生み出すために個人の情報を活用する」ことには、少なからず抵抗を感じる人もいるでしょう。このジレンマを、自分が取材した当時のドコモさんは抱えていたように思います。

 あれから2年半が経過して、実際にスタートしたiコンシェルでは、そこがどう料理されたのか……。かなり注目しています。しかし、このサービスは、自分が実際に、いちユーザーとして、どっぷり使ってみないとその価値が分からないはず。でも、ぶっちゃけ自分、メインケータイがソフトバンク(というか東京デジタルホンだった)なんですよね。

 会社用に買ってもなー。きっといまいち実感わかないよなー。もう乗り換えもありかもなー……くらいに思っているんですよ、いや本当に。

 さて、iコンシェルについて、皆さんどんな印象を持っているのかなと思い、ちょっとググってみました。この原稿を書いている時点では、正直ブログなどで取り上げている人はかなり少なく……。業界関係者か、はたまたケータイマニアさんくらいしかおりません。ま、そりゃ仕方ないですよね。この業界にいない限り、新機種発表会なんて興味ないですもんね。

 ただ関係者さん、マニアさんが総じて気にしていたのは、やはり「行動履歴とか個人情報を使ってレコメンドっていう仕組みは分かるけど、やっぱ気持ち悪いかも」という部分。ここは本当に難しい。正直自分も、感覚的には「スケジュール把握されるのは気持ち悪いなぁ」とも思います。でも、一方で「別に構わないんじゃない?」という気もしていて……。

 冷静に考えると、把握されたくないようなスケジュールは書き込まなければいいし、そもそも「ドコモさんに自分のスケジュール知られて何か困るのか、俺」とも思います。そりゃ、愛人と密会するスケジュールを全世界に公開されたりしたらまずいでしょうが(笑)、iコンシェル使ったからって、別に誰かに公開されるわけじゃないですからね(漏洩しない限り)。うっかり公開できちゃうGoogleカレンダーのほうがよほど危ない。

 そのほかに多かったのは、ライフログ=行動履歴がケータイに残ること自体の不安でしょうか。で、奥さんにケータイを盗み見られて、「あんた何の用でこんな時間にこんな駅で降りてるのよ!」と問い詰められるとか。でも、それも結局はケータイを盗み見られない限りは問題ないわけで(家庭的には問題ありますが)、そもそもモバイルSuicaを使っていなくても、着信履歴とかは普通に残りますからね。過剰に不安を持つ必要も無いような……。

行動履歴を元にした行動支援サービスが受け入れられるための要、それは“信頼感”

 とはいえ、お客さんの不安を払拭するのに、いろいろと理詰めで回答しても仕方ないというのは分かります。「不安は不安」と感覚で言われてしまえばそれまでです。

 そんな風に考えていくと、この行動支援サービスというものは、サービス提供社=キャリアさんとユーザーの間に、確かな信頼関係がないと成り立たないものであるともいえます。というところで、以下は、ドコモさんの新ロゴが発表された際に発表されたプレスリリースからの引用です。

新しいロゴは、特別色である「ドコモレッド」を採用するとともに、小文字で「docomo」と表記しました。未来に向けた無限の可能性とヒューマンタッチ、安心感、信頼感を表現した、シンプルで親しみやすいデザインと考えています。


安心感、信頼感を新しいロゴに込めた、ドコモさん。そうした決意の下に再出発したドコモさんだからこそ、ユーザーとの信頼関係構築・維持に努め、このサービスを軌道に乗せられるんじゃないかと、期待しています。

 ……長くなってしまったので、この話、次回に続きます。

プロフィール:トミヤマリュウタ

ときにライター、ときにデザイナー、ときにプランナー。某携帯電話関連会社にて某着メロ交換サイトを企画するなどといった若気のいたりを経て、2001年に独立。2004年には有限会社r.c.o.を設立。書籍、雑誌、ウェブの執筆・デザインなど、各種制作業務を中心に活動。2006年あたりから始まったケータイ業界再編の波にもまれていうるちに、近年では大手携帯電話会社のコンテンツ企画を手がけることになっていたりと、なんだか不思議な毎日。


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