インタビュー
» 2008年12月17日 16時30分 UPDATE

モバイル検索エンジンで世界を目指す──エフルートとプリファード、LLP設立の狙い (1/2)

モバイル向けの検索サービスで定評のあるエフルートが、画像検索を皮切りに、検索エンジンを大幅に刷新するという。新たにプリファードインフラストラクチャーと有限責任事業組合(LLP)を設立するのもそのためだ。両社の狙いや、両社が目指すモバイル検索の今後を聞いた。

[石野純也,ITmedia]

 12月10日に、エフルートが画像検索エンジンの刷新と、有限責任事業組合(LLP)の設立を発表した。この新しい画像検索のエンジンは、「Sedue」や「reflexa」などのエンジンを手がけるプリファードインフラストラクチャー(以下、プリファード)とエフルートが共同で設立した「FROUTE Search Technology LLP」の最初の成果物でもある。

 これまでエンジンやサイトの自社開発を続けてきたエフルートが、なぜLLPを設立したのか。また、検索エンジンの開発をLLPに移管する理由はどこにあるのか。エフルート 代表取締役会長の佐藤崇氏、代表取締役社長兼CEOの尾下順治氏、プリファードインフラストラクチャー 代表取締役社長CEOの西川徹氏に、「FROUTE Search Technology LLP」の狙いを聞いた。

LLPによって生まれた画像検索と次に見据えるサービス

── 今回のLLP設立に至る経緯などを教えてください。

Photo エフルート 代表取締役社長兼CEOの尾下順治氏

尾下順治氏(以下尾下氏) 米国の『Forbes』のランキングによると、Googleさんのサービスのユーザー数は、1億2300万ぐらいとのことでした。でも、モバイルインターネットのポテンシャルはまだまだそんなものではありません。中国だけでもすでに6億を越える加入者がいて、アジアにはもっともっとモバイルをヘビーに使っているユーザーがいます。そこにリーチする検索エンジンの開発に、スモールスクリーン(ケータイの画面)に特化した形で、取り組んでいかなければなりません。なおかつユーザーの行動パターンや行動履歴を反映させる必要もあります。

 一方で我々は、半年ぐらい前から、スケーラビリティ(システムの柔軟性・拡張性)とスピードの両立に悩み続けてきました。自分たちのスピード感を殺さず、スケーラビリティを追求していこうとすると、どこかと組んだほうがよかった。プリファードさんと組むことになったのは、「一緒に世界を獲ろうぜ」と同じ目線で夢を共有できたからです。

── 提携することで具体的にはどのような成果が得られるのでしょうか。

尾下氏 我々の持っているノウハウをさらけ出せば、プリファードさんの技術で、もっともっといいソフトに作り変えていくことができます。逆に我々は、これまで以上にユーザー向けのサービス開発に特化して、UIやサービスがどうあるべきかを追及できるのではないかと考えています。

 今までのエンジンはすべて自社開発でしたが、基本的にノウハウは全部LLPに移管し、将来的には開発もすべてLLPで行ないます。その第1弾が、12月10日にリリースされた画像検索です。

── 新しい画像検索は、どのような部分が今までと違うのでしょうか。

佐藤崇氏(以下佐藤氏) 今までの検索はサービスレベルから考えた設計で、精度のコントロールを編集の力に頼っている部分がありました。そのため、エンターテインメント系の検索(電子書籍検索や着うた検索など)に対しては高い評価を得ていましたが、検索のニーズが多様化する中では、スケーラビリティも必要になります。スケーラビリティがあれば、事件が起こったときに検索した場合に、タイムリーな画像を表示できるようになります。こういった部分は、クローリングの方法やデータベースまで、じわじわと切り替えていきたいと思っています。画像検索は、ケータイの検索で非常にポピュラーな分野なので、まずはここからテコ入れを図った形です。

西川徹氏(以下西川氏) 新しい画像検索では、より速くクロールできるよう、システムを1から書き直しました。クローリングの速度は20倍以上に向上しましたが、改善すれば、さらなるスケーラビリティを出すことができます。

── 検索サイトのfroute.jpは、どのように進化していくのでしょうか。画像検索の次に考えていることを教えてください。

佐藤氏 まずは、動画や商品や辞書などのコンテンツ検索があります。直近で開発したものはそこそこ満足なのですが、サービスインから期間が経っているものなどは、テコ入れを図らなければなりません。また、お恥ずかしい話ですが、プリファードさんの技術が最も生きるのは、一般のWEB検索です。先ほどクローリングが20倍になるという話がありましたが、もっと速くしないと、どんどん増えるケータイのサイトを追いきれません。最近は、元々ネット事業をやっていなかった会社も、どんどんケータイに参入していますからね。

LLPを設立した理由は、世界を目指せるサービスを提供するため

── なぜ、あえてLLPという形にしたのでしょうか。

尾下氏 こういうことは、同じ“箱”を共有しなければなかなかできません。プリファードさんに委託して、どこからどこまでが自分の業務かを線引きしなければならないないよりは、お互いが持っているものを気持ちよくはき出して、出来上がったものを共有したほうが、動きやすいんです。

Photo エフルート 代表取締役会長の佐藤崇氏

佐藤氏 我々にとっては、ある意味リスクにもなります。ただ、そのリスクを考えても、彼らの持つスケーラビリティやスピード感が必要です。検索ユーザーがどんどん増えているので、早く次のステージに行きたいと思っています。

尾下氏 ユーザー目線で「こんなことできないの」というと、プリファードのエンジニアさんは「ああ、それなら簡単にできますよ」と返してくれるんですよ。かつて佐藤と会社を「こうしていこう」「じゃあそれで」とやり取りしていたころのような、懐かしい感覚でした。

西川氏 プリファードとしては、以前からケータイ向けの検索をやってみたかったというのが、理由の1つです。モバイル検索は、技術だけでは成り立ちません。ユーザーがいて初めて成立するものです。今回、こういう形でLLPを始めたのは、技術とサービス、両方の面から検索エンジンを作っていけるからです。

── このLLPで得た利益は、どのようにシェアしていくのでしょうか。また、ビジネスモデルはどうなるのでしょうか。

尾下氏 エフルートに関しては、ポータルのfroute.jpと検索エンジンという区別はありますが、検索エンジンで得た利益は完全に折半するつもりです。

 自社サービスを優先すると、どうしても他社への提供を念頭に置かずに開発を進めてしまいますし、一部には、そもそも(サービスと技術の)切り分けが難しいものもあります。また、検索はモバイルのインフラになりうるので、ある程度まで中立を保っていなければいけません。今回のLLPができたことで、我々はもう少し積極的に、他社へ検索エンジンを提供できるようになりました。

佐藤氏 froute.jpにアクセスしてくるユーザーは大半が検索を利用するので、検索の機能強化はfroute.jpのウリにもつながると思います。もちろん、付加価値を付けていかないと差別化はできませんから、ユーザーの個別情報を蓄積していくなど、我々でなければできないものもやっていきたいですね。うちはコンテンツも持っているので、そういうところと連携させることもできます。

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