インタビュー
» 2008年12月20日 01時20分 UPDATE

開発陣に聞く「AQUOSケータイ FULLTOUCH 931SH」:タッチだからこそ“親指文化”にもこだわった――「AQUOSケータイ FULLTOUCH 931SH」誕生秘話 (1/3)

ハーフXGAサイズの3.8インチのタッチパネルディスプレイ、モーションセンサーといった先進的なデバイスを搭載した「AQUOSケータイ FULLTOUCH 931SH」は、現行ケータイではトップクラスのスペックを誇る。大型ディスプレイを搭載した理由、タッチパネルに盛り込んだ工夫とは――シャープの開発陣に話を聞いた。

[田中聡,ITmedia]

 世界最大クラスとなるハーフXGA(480×1024ピクセル)の3.8インチディスプレイが目を引く「AQUOSケータイ FULLTOUCH 931SH」。タッチパネルとモーションセンサーといった直感的に操作できるデバイスや、「AQUOSケータイ」の名にふさわしい高画質なワンセグも備える。

 931SHは、ソフトバンクモバイルの新サービス「モバイルウィジェット」に秋冬モデルで唯一対応しており、待受画面をタッチするだけで多彩なアプリケーションを呼び出せる。このほか、5.2MピクセルカメラやGPS、世界対応ケータイ、Bluetoothなど、ソフトバンクモバイルの主要サービスや機能をほぼ完備する。

 ソフトバンクモバイルとシャープの“本気度”が伝わってくる931SHは、どのような狙いで開発されたのだろうか。また、iPhone 3Gをはじめとする“タッチパネルケータイ”と、どのような差別化を図ったのだろうか。シャープ 通信システム事業本部 パーソナル通信第二事業部 商品企画部の澤近京一郎氏に話を聞いた。

ハーフXGA液晶を採用した理由

photo シャープ 通信システム事業本部 パーソナル通信第二事業部 商品企画部 澤近京一郎氏

 澤近氏は、「大画面でWebを中心としたアプリケーションを楽しく使えるようなケータイにしたかった」と、931SHの開発意図を振り返る。

 「携帯電話の販売方式が変わって“2年縛り”が当たり前になり、“0円端末”のような安価なモデルを求める人と、高価なハイエンドモデルを求める人という2極化が起こりつつあります。2年間継続して1機種を使わないといけないので、高いスペックを求めるユーザーさんが多いのは事実です。

 孫社長もおっしゃっていましたが、2年後のケータイを想像すると、まずインターネットに注目すべきだと考えます。そこで、新しいデバイスを使ってより楽しくケータイを使っていただけるよう、『タッチパネルWebケータイ』というコンセプトを掲げました。中でも最重要視したのが、このコンセプトを実現する大画面液晶です」(澤近氏)

 こうして採用されたのが、ケータイでは世界最大クラスとなるハーフXGAサイズ(480×1024ピクセル)の3.8インチ液晶だ。

 「最近のPC向けWebサイトの解像度は、XGAサイズ(1024×768ピクセル)が当たり前になっています。しかしこれまでのケータイの縦の解像度は854ピクセルしかないので、PCサイトはフォントを小さくしたり、レイアウトを崩す形で表示してきました。そこで、横スクロールせず、かつレイアウトを崩さずにPCと同じフォントサイズで表示できるよう、縦の解像度を1024ピクセルに拡大しました」(澤近氏)

photo 左が931SH、右が921SHのPCサイトブラウザ画面。921SHは横が切れているが、931SHはしっかり表示できている

 この3.8インチのワイドXGA液晶がケータイに搭載されるのは初めて。単にサイズを大きくしたディスプレイを搭載すればいい――というわけにはいかず、苦労が絶えなかったようだ。

 「通常、液晶サイズを拡大するとバックライトが暗くムラが出るのできれいに光らなくなります。そこで931SHでは、新しいバックライトシステムを採用しました。従来の機種ではLEDを6灯使っていましたが、今回は7灯に増やしています。

 また、931SHはタッチパネルを搭載するので、通常のディスプレイと比べて10%ほど輝度が落ちます。しかし、各LEDの輝度を上げることで、従来の機種に匹敵する明るさを実現できました」(澤近氏)

部品を見直すことで921SHよりも軽い約130グラムを実現

 大型ディスプレイを搭載する際には「本体サイズ」も問題となる。931SHは3.8インチ液晶を搭載したことで本体幅が約52ミリに増したが、極端にサイズアップしたという印象はない。

 「931SHのディスプレイは、横480ピクセルがAQUOSケータイ 923SHと同じドットピッチで、縦1024ピクセルが923SHの854ピクセルに170ピクセルを追加したものです。横480ピクセルの解像度をさらに増やすことも可能ですが、本体の横幅が広がってしまうので見送りました。ディスプレイの狭額縁化などで本体に組み込める構造を検討することで、幅を52ミリに抑えられました。これは片手で操作できるギリギリのサイズです」(澤近氏)

 「大型ディスプレイ」と「片手で操作できるサイズ」の両立は実現したが、新たに“スライド端末特有の問題”が浮上した。

 「大型ディスプレイとタッチパネルを搭載すると、ディスプレイ側が重くなってしまいます。そうなると、『スライドを開けにくい』『文字入力をするときにディスプレイ側が傾いてしまう』という2つの弊害が生じます」(澤近氏)

 こうした問題を解消するために、931SHでは、ディスプレイパネルを保護するフレームの素材を変更した。「同じくスライド型のFULLFACE 2 921SHでは、フレームに金属を使っていましたが、931SHではアルミに変更しています。このおかげで約7グラムの軽量化に成功しました。もちろん、ディスプレイの強度は921SHと同等です」(澤近氏)

 931SHのスペックを見て驚いたのが、重さが約130グラムしかないこと。921SHの約135グラムよりも5グラム軽く、手にすると思いのほか「軽い」と感じる。これは「フレームの素材を変更したことが大きい」(澤近氏)という。

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