「Walkmanにケータイを載せました」――こうして「Walkman Phone, Xmini」は完成した開発陣に聞く「Walkman Phone, Xmini」(2/3 ページ)

» 2008年12月25日 18時19分 公開
[田中聡,ITmedia]

“ケータイ”と“音楽プレーヤー”を明確に区別

 ソニー・エリクソン製の超小型端末というと、NTTドコモから2004年に発売された「premini」が思い浮かぶが、Walkman Phone, Xminiのサイズやデザインは「preminiを意識したわけではなく、ウォークマンのコンセプトを融合させた結果、この形に落ち着いた」(鈴木氏)という。丸みを帯びた形は「手の中で音符が跳ねている、心地よく音楽が鳴っている様子」を表現した。

 小型化を優先するのなら、スライド機構のないストレート型の方が有利だが、Walkman Phone, Xminiではなぜスライド型を採用したのだろうか。鈴木氏はその理由を「閉じると音楽プレーヤー、開くとケータイになるよう、明確に分けたかったため」と話す。

 スライド型とはいえ、「十字キーがあると電話らしくなってしまう」(鈴木氏)ため、スライド上面には物理キーではなくセンサーキーを採用した。センサーキーのバックライトは、「音楽に命が吹き込まれ、浮かび上がってくる様子」を現している。

 センサーキーのバックライトには全色とも白色LEDを採用するが、透過して実際に表示される色は本体カラーごとに異なる。十字キーとメールキー/EZキーの部分には、グリーン×ブルーはグリーン、パープル×ピンクはピンクのバックライトが点灯する。

 また、ディスプレイ周りの黒で覆われた部分にある4つのキーも、十字キーとメール/EZキーと同様にグリーンやピンクが点灯する。さらに、ホワイト×ターコイズは、十字キーとメールキー/EZキーのバックライトはホワイトだが、ディスプレイ周り4つのキーはターコイズ色に光る。

 これは、「普通の黒とは違う、やや赤みがかった黒のパーツを(ディスプレイ周りに)採用した」(安達氏)ことで実現できたという。肉眼ではほとんど認識できないレベルだが、メーカーとしては「ユーザーさんには明確に分からなくても、何か違うなと感じていただければ」(鈴木氏)というスタンスだ。

 Walkman Phone, Xminiには各本体カラー“だけ”のグラフィックも用意されている。

 「グラフィックのファイルは1つで、Flashが各色の情報を読み取る仕組みにしています。例えばグリーン×ブルーではグリーン、パープル×ピンクではピンクのグラフィックしかありません。ケータイは基本的に1色しか買わないので、その中で満足感を味わっていただきたいですね」(安達氏)

photophoto キーバックライトとグラフィックは本体カラーごとに異なり、各本体カラー限定のグラフィックは、待受画面やメニュー画面、音楽再生画面に反映される。待受画面は閉じたときと開いたときで異なるものが表示される

デザイナーの作戦勝ちで4色のストラップを同梱

 超小型ボディもさることながら、独特の本体カラーを採用しているのもWalkman Phone, Xminiの特徴といえる。特にグリーン×ブルーとパープル×ピンクは、ほかのケータイではあまり見られない組み合わせだ。鈴木氏は本体カラーについて、「音楽ケータイなので、まずは楽しい感じを出したかった」という。

 「ケータイとして見たら、グリーンとブルー、パープルとピンクという組み合わせはまずないと思います(笑)。でもこれをウェアラブルなウォークマンとして使ったら、非常に映えるんじゃないかと思いました」(鈴木氏)

 「ダイヤルキーには蒸着塗装を施しているので、開いたときの表情が違います」(安達氏)

 ブラック×ブラックは4色の中では比較的オーソドックスな色ではあるが、これも“チャレンジした”色だ。「ブラックはシルバーとの組み合わせが一般的ですが、あえて外し、限定物に多い『オールブラック』の世界観を出そうと試みました」(鈴木氏)

 ちなみに、パープルとピンク、ホワイトとターコイズという組み合わせの本体色は、本家Walkmanにも採用されているが、「厳密に調整したわけではなく、Walkmanのコンセプトに合わせた結果」(鈴木氏)だという。

photo 左からWalkman Phone, Xmini、ウォークマンケータイ W42S、ウォークマンケータイ W52S。「Xminiにはかなりビビッドなピンクを使った」(鈴木氏)という

 本体カラーに合わせたストラップを同梱するのも、ケータイでは異例といえる。

 「設計側はストラップを4色も作るのは大変だったと思いますが、商品の世界観を出すためにはどうしても4色が必要でした。そこで、確信犯的に4色のストラップを並べて『1色どれがいい?』と設計に見せました」(鈴木氏)

 「デザイナーの作戦勝ちですね(笑)。4色見せられたら、やらないわけにはいかないだろうと」(高橋氏)

若手の遊び心から採用した「Sound Matrix」

 Walkman Phone, Xminiは、待受時はもちろん、ほかの機能の操作中でも、閉じた状態で決定キーを長押しすると音楽再生が始まり、LISMO Playerとは別のミュージックスクリーンが表示される。高橋氏は「閉じたらすぐに音楽への導線があるようにしたかった」と話す。

 このミュージックスクリーンは、なるべく“ケータイらしさ”が目立たないよう工夫した。

 「ケータイを使っている以上、音楽の再生情報だけだと不親切なので、時刻と電波状況、バッテリー残量、Bluetoothのオン/オフなどを厳選して載せました。ただしケータイらしく見せたくないので、ピクトアイコンは画面上部ではなく下部に置いています。あたかもシャッフル/リピートの表示のように溶け込ませました」(安達氏)

photophoto 再生中のビジュアライザーは本体カラーごとに異なり、複数のグラフィックがランダムに表示される。本体を開いたときには画面上部にあるピクトアイコンは、ミュージックスクリーン画面では下部に移動する

 Walkman Phone, Xminiは“Walkman”を冠するモデルだけあり、音質にもこだわった。高音域をクリアに再現する「DSEE」、本来のステレオサウンドを再生する「クリアステレオ」、ゆがみのない重低音を再現する「クリアベース」といった、Walkmanにも使われている3種類の高音質技術を採用した。

 「音作りはウォークマンの開発部隊と調整しました。Walkmanと同じ音質になるというよりは、音作りの思想を合わせました。Walkmanと同じ設定にすれば、同様の効果が得られます」(高橋氏)

 高橋氏がお勧めするのが、「若手のアイデアを取り入れた」という「Sound Matrix(サウンドマトリックス)」だ。Sound Matrixは7×7の計49ドットで構成されており、センサーキーで各ドットを選ぶと異なるサウンドに設定できるというもの。これはケータイはもちろん、Walkmanにもない機能だ。

 「Sound Matrixは高音や低音を上げるとかではなく、音楽を聴きながら自分の最適な音質を見つけ出してほしいという、ちょっとした遊び心から採用した機能です。どの位置が高音か、低音かといった若干の傾向はありますが、ユーザーさんには見えないようにしています」(高橋氏)

photophoto 49ドットの中から音質を設定できる「Sound Matrix」。「自分好みの音を細かく設定したいという音楽マニアではない人の方が向いているかもしれません」(安達氏)

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