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» 2008年12月29日 17時43分 UPDATE

ITmediaスタッフが選ぶ、2008年の“注目ケータイ”(ライター小山編):高機能かシンプルか――ケータイ新時代の扉が開いた年

何かと暗い話題の多かった2008年のケータイ業界。そんな中でも、明るい話題を提供してくれた端末がいくつか登場した。iPhone 3Gはもちろん、独自路線を行くシャープや2台目端末として定着したシンプルケータイなどが新時代を切り開いてくれるのだろう。

[小山安博,ITmedia]

 2008年は携帯電話メーカーの撤退が相次ぎ、さらに世界規模で起こった景気後退の影響で端末販売にも逆風が吹き荒れた。元NTTドコモで現在慶応大学特別招聘教授の夏野剛氏も話しているとおり、携帯業界は「拡大から縮小均衡へ」という方向性が鮮明になった1年だった(12月12日の関連記事参照)。そんな中、明るい話題を提供してくれた端末に注目したい。

携帯の行く先を示す存在となるか――「iPhone 3G」

 2008年の携帯業界はなんといっても「iPhone 3G」イヤーだったと言えるだろう。そのデザインは、ほぼフラットなタッチパネルディスプレイで覆われているという独特のもの。大きさは手のひらに収まらないず、持つというよりつかむというサイズで、正直国内メーカーでは作れなかっただろう。

photophoto 完全ではないが、iPhoneを絵文字とワンセグへ対応させたソフトバンクモバイルの姿勢は評価したい

 これまでのスマートフォンはスタイラスペンの利用を前提としたものが多かったが、iPhoneは、指先だけで操作するという思い切り割り切りも光る。タッチパネルは静電容量式のため、つめやペンで操作タップしても反応しないという不便さもあるが、それでもこれまでにない反応の良さを実現した。

 そのほか、GPSの現在位置取得が高速だったり、いちいち「はい」「いいえ」の確認を繰り返す国内ケータイとは一線を画した操作画面など、インタフェースが独特なところも特徴だ。

 そして最も重要なのが、キャリアではなく携帯メーカーのAppleがiPhone向けのアプリを配信する「App Store」を用意した点だ。仮にiPhoneが現在のソフトバンクモバイルだけでなく、仮にドコモから販売されても、App Storeは共通なので同じアプリが使えるというメリットがある。また、国内だけでなく世界に向けてアプリを配信できるのもポイントだ。それだけに、App Storeで配信するアプリはAppleの審査を通さなくてはならないという、開発の自由度アプリ開発の自由度に疑問が残る難がある仕組みになっているのが残念だ。

 個人的にAppleの囲い込み戦略は好みではないが、イノベーションを起こそうとするその取り組みは、これまでの国内ケータイにはなかった世界観といえる。国内の携帯メーカーも技術や底力では負けていないはずなので、キャリアとメーカーの新たな展開に期待したい。

一人気を吐くシャープ――「AQUOSケータイ FULLTOUCH 931SH」

photo 「AQUOSケータイ FULLTOUCH 931SH」

 携帯電話業界に漂う閉塞感に対してがんばりを見せていたのがシャープ。ここでは最新のソフトバンク向け端末「AQUOSケータイ FULLTOUCH 931SH」を取り上げたが、正確には“今年のシャープ端末すべて”としたい。

 931SHは、シャープの集大成といってもいい1台だ。iPhoneのようなフラットなタッチパネルは3.8インチと大きく、1024×480ピクセルのハーフXGAという高い解像度を誇る。その反応も悪くないうえ、ボディの横幅も小さく持ちやすい。iPhoneにはないダイヤルキーを備えているのも高く評価したいだ。

 シャープは、独自路線で積極的な製品展開を行っている。現在のスマートフォンブームに火を付けたウィルコム「W-ZERO3」や、サイクロイド型のAQUOSケータイ、液晶で全面をディスプレイとした覆った「FULLFACE 913SH」「FULLFACE 2 921SH」、スマートフォンではなくケータイとしてQWERTYキーボードを搭載した「インターネットマシン 922SH」と、ドコモから2009年に発売される「SH-04A」も興味深い。

 日本の携帯は独自の進化を遂げているが、機能面で非常に優れたものがある。シャープがその最先端を進んでいるのは、確かなことといえるだろう。

シンプルに使う「WILLCOM 9」

 ウィルコムの「WILLCOM 9」は、シンプルさと優れたデザイン性を兼ね備えた端末だ。そのコンセプトは大ヒットした「9(nine)」のものコンセプトを引き継いでおり、コンパクトな折りたたみボディも目を引く。

photophoto 「WILLCOM 9」(写真=左)と「HONEY BEE 2」(写真=右)。どちらもシンプル携帯として人気を博した

 ケータイの割賦販売が主流になったことで、1つの端末を利用する期間が長期化している。高機能端末は長く楽しめてるし便利だが、今後は“シンプルで飽きがこない”というのも重要なポイントだろうになる。その中でウィルコムは、070番号(PHS)同士なら24時間通話無料、PCメールもケータイも送受信無料という定額プランを用意した。端末も2台目需要を見越した小型のなものが多く、絵文字やデコメ(デコラティブメール)にも対応している。ケータイはシンプルでいい、電話とメールができればいい――という層に受け入れられているのだろう。

 “全部入り”端末が多くなった国内ケータイの中で、シンプルケータイは目立たない存在だ。だが、大人にもマッチするWILLCOM 9と若者向けの「HONEY BEE」「HONEY BEE 2」と、というウィルコムが示した2台の端末には、今後のシンプルケータイへの可能性を感じずにはいられない。

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