インタビュー
» 2009年01月08日 07時00分 公開

ケータイがダイエットをサポート:手軽さと見える化で“自分磨き”を応援――auの「Karada Manager」

いつも身近にあるケータイでダイエットをサポート――。auのKarada Managerは、食事内容や体重を記録して“理想のカラダ”を目指すサービスだ。携帯ならではのメリットをどのように生かし、続けるためのどんな工夫を盛り込んだのか。KDDIの企画開発陣に聞いた。

[石川温,ITmedia]

 いつの時代も、ダイエットは多くの人たちにとっての大きな関心事だ。新たなダイエット方法が次から次へと登場し、テレビでダイエットに効く食材が紹介されれば、すぐさま入手困難になる。2008年にはメタボリックシンドロームの該当者や予備軍に特定保健指導を行うことが義務づけられたことから、“健康な体づくり”への関心が一気に高まった。

 こうした中、auが2008年11月から新サービスとして開始したのが、食事の内容や体重を携帯電話で管理できる「Karada Manager」だ。利用者は目標とする体重や体脂肪率を設定し、日々の食事の内容を入力することで摂取カロリーを把握。食事や運動をコントロールしながら“なりたいカラダ”を目指すというものだ。

 ライフスタイル戦略を掲げるKDDIは、この携帯電話向けサービスをどのようなコンセプトの元に立ち上げ、どんなサービスに成長させようとしているのか。コンテンツ・メディア本部コンテンツサービス企画部 ライフスタイル企画グループのリーダーを務める荒井克己氏と、同グループの野又友視氏に聞いた。

Photo KDDI コンテンツ・メディア本部コンテンツサービス企画部 ライフスタイル企画グループのリーダーを務める荒井克己氏(左)と同グループの野又友視氏(右)

若いユーザーの“自分磨き”をケータイでサポート

 KDDIが「Karada Manager」のベースとなる新サービス「au Smart Sports」の開発に着手したのは、KDDIが取り込みを目指す若いユーザー層にアプローチすることが狙いだったという。

Photo KDDIは2008年1月、携帯電話を利用した“自分磨き支援サービス”の「au Smart Sports」を発表。第1弾としてランニングやウォーキングをサポートする「Run&Walk」を提供し、第2弾として11月中旬から「Karada Manager」を開始した

 「au Smart Sportを始めたのは、20〜30代の女性にauに振り向いてもらいたいと考えたことがきっかけです。かつてauは『ガク割』という学生向けの安価な料金プランで若いユーザーを獲得していたのですが、社会人になると同時に他キャリアに移行する人も少なくなかった。着うたフルなど若い層に訴求できるサービスを投入しているにも関わらず、流出が続く状況を変えたかったのです」(荒井氏)

 最近の20〜30代の若者は、昔ほどケータイのスペックや機能に関心を示さず、自分の生き方やライフスタイルを重視する傾向にあると新井氏。その結果、万人受けする他キャリアに移ってしまう傾向が強かったのではないかと考え、そこから“ユーザーの日常に訴える”サービスの開発が始まった。

 「“ユーザーの興味は何なのか”を突き詰めていったところ、『自分磨き』というキーワードが浮かび上がってきたのです。そこから、au Smart Sportsに行き着き、その第1弾として、『Run&Walk』というサービスを開始したわけです」(荒井氏)

 こうした背景から生まれた「Run&Walk」は、おりからのランニングブームも手伝って、11月には加入者が50万人を突破するなど好調に推移。特に20〜30代の男性に好評だったという。しかし、女性にはあまり受け入れられなかったと新井氏は振り返る。

 「やはり“走る”という行為にはストイックな部分があり、『そこまではやりたくない』という若い女性層の声も根強かった。自立的に物事に取り組む人には響いたのですが、そこまで考えていない人には響かなかったようです」(荒井氏)

 「いまの女性は『頑張る』という言葉があまり好きではない(笑)。“頑張ってやりましょう”ではなく、“自分のちょうどいいところを見つけましょう”というアプローチのほうがよかったりするんですね。

 こうした層にとって“走る”という行為を伴うRun&Walkは、自分のライフスタイルから遠ざかって見えてしまいがちなわけです。そこで、まずは『健康管理』をテーマに据え、“手軽に自分の食べたものをチェックする”というコンセプトでKarada Managerを始めたのです。“無理なくやれるところから始めましょう”という位置づけです。

 食生活を見つめ直して、『食べ過ぎましたね、じゃあ走りましょう』という流れにすると、普段運動しない人でも“やってみようか”という気になるものです」(KDDI、コンテンツ・メディア本部コンテンツサービス企画部ライフスタイル企画グループ野又友視氏)

食べたその場で検索して入力――ケータイならではの手軽さを生かす

Photo 2008年冬モデルの発表会に登場した2008年ミスユニバース日本代表の美馬寛子(左)さん、06年世界大会2位の知花くららさん(中)、07年世界大会1位の森理世さん

 若者層の取り込みを目指して開発を進めたKarada Managerだが、「健康管理」という言葉が、“年配の人向けのサービス”というイメージにつながりがちなところが難しかったと野又氏。こうしたイメージを払拭するため、いかにブランド色を強めるかに注力したという。発表会に知花くららや森理世といったミス・ユニバース・ジャパンを招いたり、モデルのSHIHOを起用したキャンペーンを展開したりといった施策もその一環だ。

 また、サービスにアクセスするための導線についてもau oneポータルの「健康」や「ビューティー」といったカテゴリーからたどれるよう配慮した。こうした施策が功を奏し、Karada Managerは現在、「利用者の約7割が女性」(野又氏)だという。

 「レコーディングダイエットに近いサービスなので、ユーザーは日々、マメに記録する必要があります。最初はあまりユーザーが来ないかと思っていたのですが、実際は反響が大きく、有料会員になってくれる率も高い。ユーザー層もRun&Walkではリーチできなかった若い女性が多くなっています」(荒井氏)

 “食事のたびに入力する”という作業は面倒にも思えるが、ユーザーは積極的に食事の内容をきちんと記録しているという。荒井氏はユーザーがこまめに記録している理由について、「昼ご飯を写真に撮ってメールで送るというランチブログのノリで楽しんでくれているのではないか」と分析する。

 Karada Managerでは6000種類超の食事のカロリーがデータベース化されており、ユーザーは食べたものの名称を入力して検索することで、カロリーを入力できる。ファストフードやチェーン店などで食事をした場合は、商品名がヒットすることもあり、それが面白くてカロリーを記録し続けるということもあるようだ。

Photo 食べた食事の内容を検索すると、カロリー付きの検索結果が表示される。バーガー類は、マクドナルドやモスバーガー、ロッテリアなどの商品が候補として表示。カロリーは手入力にも対応する

 “続けてもらうための仕組み”として取り入れたという、“見える化”の工夫もユニークだ。入力したデータはレーダーチャートや棒グラフ、折れ線グラフなど、視覚的に把握しやすいデータとして表示され、カラダ作りをサポートする。

 「Web上でカロリーを管理するサービスはほかにもありますが、Karada Managerではその日に摂取した栄養素をグラフで分かるようにしているのが大きな差別化ポイントです。食べたものに応じた栄養素のグラフが出てくるので、『自分の食事は炭水化物が多くて、鉄分、ビタミンBが足りない』といったことまで把握できます。グラフや表を生かして“目で見て分かりやすく”することを意識しています」(野又氏)

 実際にサービスを使ってみると、摂取カロリーや体重、栄養素などのあらゆる数値がグラフ化して表示されるのに驚く。すべての数値を過去の経過と照らし合わせて把握するのは、ダイエットには欠かせないポイントで、確かに続けるための動機づけになる。

Photo グラフで視覚化されたデータは推移を把握しやすく、続ける動機づけにもつながる

 12月中旬からは、Run&Walkとも連携し、Run&Walkで記録された消費カロリーが自動的にKarada Managerに反映されるようになった。2つのサービスを使っていれば、摂取カロリーと消費カロリーをまとめて管理できるのだ。

 「これまでは消費カロリーは自分で入力するしかなかったのですが、Run&Walkと連携したことで手入力の手間が軽減されます。両方のサービスを利用している人は、より手軽に連携サービスを利用できますし、片方のサービスしか利用していない人が、もう1つのサービスに加入するきっかけにもなります。双方向で楽しんでもらえるようになったのではないでしょうか」(野又氏)

“使い続けたくなる”手軽さを追求

 最近の携帯電話には“健康”を意識したさまざまな機能が搭載されるようになり、歩数計で消費カロリーを把握したり、体組成計と連携してデータを管理したりといったことが可能なモデルも登場している。

 脈拍センサーや歩数計を搭載し、体重体組成計との連携が可能なドコモの「SH706iw」は、当然のことながら、Karada Managerのライバルとして研究対象となったようだ。

 「大きな違いは、SH706iwがアプリでデータを管理するのに対し、我々のKarada Managerは(アプリではなく)サイトでサービスを提供している点です。アプリのように機種に依存することなく、幅広い機種で使えるのが何よりのメリットといえるでしょう」(荒井氏)

 11月中旬のサービス開始からまだ日が浅いものの、ユーザーからはさまざまな要望が寄せられており、開発サイドではさらなる改善に向けた検討を進めているという。

 「要望として多いのが、検索結果の表示に関するものです。さまざまなファストフード店やチェーン店のメニューを網羅しているため、例えば『かつ丼』で検索すると結果が5件くらい出てくるのですが、それだと『多すぎて分からない』という声もあります。ただ、1つに絞り込んでしまうと、『自分の食べたものとは(量やカロリーが)違う』ということでフラストレーションを感じる人もいるでしょう。

 数が多いと迷うし、絞るとそれが不満につながる。カテゴリーに分ければいいのか、それとも何か別の方法があるのかなど、苦労しながら検討している段階です」(野又氏)

 Karada Managerの進化の方向性については、使いやすさを軸に検討を進める考えだ。

 「体組成計との連携はトレンドとして押さえていきたいところです。あとは、いかに手軽にデータを入力できるかを考える必要があると思います。どうやって実現するかは具体的に決まっていませんが、例えば“食事をカメラで撮影してメールで送るとカロリーが分かる”といった方法が実現できたら面白いですよね」(荒井氏)

 「現在、6000超のメニューを網羅していますが、さらに幅広くデータベースを強化したいですね。20〜30代がよく行くカフェなどのメニューは随時、追加する予定です」(野又氏)

 コアターゲットは20〜30代の女性ながら、メタボが気になる中年男性が使っても十分役立つサービスに仕上がっているKarada Manager。いつも身近にある携帯を生かした実生活との連携サービスが、今後どのような進化を遂げるのかに注目したい。

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