今回ご紹介するのは天気アプリ「ウェザーニュース タッチ」。App Storeから無料でダウンロードできる。ケータイやWeb、あるいは山手線の社内などでおなじみ、ウェザーニューズが提供する気象情報をiPhoneやiPod touchで楽しむことができる。これもまた、iPhoneらしいアプリに仕上がっている。
アプリを起動すると、天気予報Ch.を表示。PC向けのWebサイト(http://www.weathernews.com/)と同じデザインの日本地図が読み込まれ、程なくそこに全国の天気が出てくる。詳しく見たいエリアをタッチしていくと、だんだん細かい地域の天気予報を見ていくことができる、という仕組み。
例えば東京をタッチすると、お台場や新宿など、さらに細かいエリアが選べ、3時間おきだけでなく1時間おき、週間天気など、時間のスケールを変えて時系列を横方向にスライドさせて、天気・気温・風向風力をチェックできる。Webブラウザで見られるFlash版と同じか、それよりも直感的に利用できる筋の良いインタフェースで気象情報をチェックできる。
しかも各都市をクリックすると、なんとお天気カメラ(ライブカメラ)の映像を見ることもできるのだ。東京はもちろんだが、例えば新潟県・湯沢のお天気カメラはどうやらスキー場に設置されているようで、滑っていくスキーヤーが映っていて何とも楽しい。レジャーなどでこれから行く場所の空模様をチェックしたり、ちょっと故郷の様子を見てみよう、なんていうときにも楽しめるのではないだろうか。
また、天気予報のほかにも、雨雲レーダーや衛星といったチャンネルが用意されており、こちらにも興奮の機能が組み込まれている。雨雲レーダーや気象衛星の写真も、天気予報と同様にエリアを拡大できるのだが、これには時系列を指で自在にスライドさせて動かすことができる仕組みが搭載されているのだ。天気予報で気象キャスターがやっているのと同じように、自分の指で雲や雨雲が動く。これもまたiPhoneのインタフェースをうまく生かした遊び心を、心地よい動きで実現してくれる。
そして、これらどの画面でも、画面左下の吹き出しのアイコンをタッチすると、気象予報士のコメントを読むことができる。天気予報だけでなく、雨雲レーダーや気象衛星の画面でも、表示している領域についてのコメントが出てくるから気が利いている。
さらに、日本全国、もしくはエリアごとの天気予報表示の際には、ウェザーニューズが力を入れているお天気動画番組を視聴できるのもうれしい。台風などの気象が荒れる際には、頼もしい情報源となりそうだ。
現在利用することができるチャンネルは、天気予報Ch.、雨雲レーダーCh.、衛星Ch.の3つだけだ。チャンネル選択の画面、そして画面一番下のメニューバーはスカスカ。ウェザーニューズのトランスメディアコンテンツ事業部 広報・マーケティングセクションリーダー 上山亮佑氏は、「まだまだ機能を追加していきます。今後は、こんなもんじゃありませんよ」と、大幅なバージョンアップを予告している。
以前僕は、別の記事でウェザーニューズに取材しており、その際の記事もぜひ参照してほしいのだが、そのときに聞いた話などを踏まえて、このウェザーニュース タッチに今後盛り込んでほしい機能をリストアップしてみた。
わがままなようにも見えるが、ほとんどがiPhone以前のケータイサービスで提供されているものだ。またウェザーリポートの投稿は、iPhoneアプリなら写真を撮影し、自動的に位置情報を埋め込み、フォームに従って情報を入力するだけでOKになるので、ケータイよりも簡単に、正確な位置情報付きのリポートが作成できるようになるはずだ。
これは、ゲリラ雷雨を予測したり、10分天気予報を提供したりする際の精度アップに直結する。欲を言えば、そのリポートがTwinkleなどのアプリを介してTwitterに飛ばせたら……などと思ってしまうが、それは欲張りすぎだろうか。ほかのアプリに頼れば、別段難しいことでもないかもしれない。
ほかのアプリと言えば、駅探エクスプレスなどの路線検索アプリや、30min. おでかけ(関東)などのエリア情報アプリから、その場所の天気をウェザーニュース タッチで表示する、といった連携だってあり得るはずだ。──ちょっと想像が広がりすぎるので、このあたりでやめておくことにする。
ただ、これらを実現していくためには、通常のケータイコンテンツのような、月額課金の仕組みでサービスを提供をしていかなければビジネスとして成り立たないことも理解できる。iPhoneアプリは売り切りであるため、なかなかApp Storeを通じて月額課金モデルのサービス提供が難しく、独自に決済を行う必要がある(ウェザーニューズのWebサイトでは、同様のサービスを行っている)。
もしもApp Storeが購読モデルでのアプリ課金を提供するか、ソフトバンクがそのようなサービスを組み込んでくれれば、既存、新規も含めて、より簡単にiPhoneアプリによってビジネスを成立させる機会が生まれるのではないか、と思うのだがいかがだろうか。
東京、渋谷に生まれ、現在も東京で生活をしているジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ(クラブ、MC)。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。1997年頃より、コンピュータがある生活、ネットワーク、メディアなどを含む情報技術に興味を持つ。これらを研究するため、慶應義塾大学環境情報学部卒業、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。大学・大学院時代から通じて、小檜山賢二研究室にて、ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性について追求している。
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