インタビュー
» 2009年03月02日 14時53分 UPDATE

Mobile World Congress 2009:日本の技術を世界に――バリューとブランドで勝負する英Sony Ericsson (1/2)

Mobile World Congress開幕前夜に「Idou」を発表した英Sony Ericsson。景気後退によるコンシューマー市場の冷え込みを前に、ハイエンドな高付加価値端末を投入する狙いはなにか? 日本市場やソニーのゲーム部門との取り組みについても聞いた。

[末岡洋子,ITmedia]
photo 英Sony Ericssonポートフォリオプランニングトップのスティーブ・ウォーカー氏

 英Sony Ericssonは2009年も、「Mobile World Congress」開幕前夜にプレス発表会を行い、ハイエンドのWalkman携帯「W995」と「Idou」(コンセプト名)を引っさげてエンターテイメントの新ビジョンを打ち出した。

 だが、同社を取り巻く環境は厳しい。世界的な景気減速は消費者の懐を直撃し、端末販売は極めて低調だ。米IDCが発表した2008年度の第4四半期シェアでは、ライバルの韓LG Electronicsに3位の座を譲って4位となった(1位はNokia、2位はSamsung)。同社のポートフォリオプランニングトップのスティーブ・ウォーカー氏に、端末やサービス、プラットフォーム、シェアなどについて話を聞いた。

――(聞き手:末岡洋子) 今年のMWCで発表したIdouは、どのような位置付けの製品になりますか?

スティーブ・ウォーカー氏 Sony Ericssonのフラッグシップ端末となります。われわれは今年、“Entertainment Unlimited”というビジョンを打ち出しましたが、これを実現するものになります。

 機能的には、タッチパネル、12Mピクセルカメラ、音楽や動画などマルチメディア機能などを含みます。Sony Ericssonが持つすべての強みを1台に搭載したものになるでしょう。2009年後半に投入予定です。

photophoto 新たにフラッグシップ端末となる「Idou」は今年中に投入予定だ。

photophoto タッチパネルインタフェースを導入した

―― IdouではプラットフォームにSymbian OSを採用しました。UIはS60です。

ウォーカー氏 将来、Symbian FoundationになるOSを採用しています。S60をベースとしましたが、その上にSony Ericsson独自のユーザーインタフェースを乗せます。端末全体の操作感は、Sony Ericssonらしいものになります。

―― 昨年、2008年のMWCではWindows Mobile搭載のスマートフォン「Xperia X1」を発表しました。XperiaとIdouはどのように住み分けるのでしょうか。また、Xperiaの次期バージョンについても教えてください。

ウォーカー氏 Idouはわれわれが得意とするエンターテインメント端末で、ハイエンドの位置づけです。Xperiaは高機能、最新機能を求める技術に敏感なユーザーをターゲットにしています。市場の方向性を理解しているセグメントです。

 今年のMWCではXperiaについて目立った発表をしませんでしたが、開発は進んでおり、Xperiaの製品ラインを拡充していきます。

 初代のXperiaはWindows Mobileを採用しましたが、XperiaはWindows Mobileのブランドというわけではありません。次期機種については、年内に最新機種を発表する予定ですが、現時点ではお話できません。社内でさまざまなアイデアが出ています。革新的な端末になると思います。

Sony Ericssonのハイエンドケータイ「Idou」。2009年中に海外向けとして発売される予定。
(ムービーはこちらからでも参照できます)

Mobile World Congress 2009開幕前夜、スペイン・バルセロナで行なわれたSony Ericssonによる新製品発表会の様子。
(ムービーはこちらからでも参照できます)

―― Sony Ericssonは「Android」のOpen Handset Alliance(OHA)にも参加しました。今後のプラットフォーム戦略について教えてください。

ウォーカー氏 世界の携帯電話業界は、タッチパネル、リッチなインタフェース、ユーザーによるアプリケーションダウンロードの方向に向かっているとみています。これらを実現するすばらしいユーザーエクスペリエンスを実現できるプラットフォームの1つが、Androidだと思います。OHAに参加した理由はそれです。もちろん、Symbian Foundationも同じことができると思います。

 戦略としては、われわれが市場に投入しようとする製品の価値提案にあわせ、最適なプラットフォームを選択していくことになります。

―― さまざまなプラットフォームで開発する場合、製品開発の効率が損なわれるのではありませんか?

ウォーカー氏 それはありません。(Android、Symbian Foundationなどの)オープンソースプラットフォームを利用した開発は、これまでの開発とは異なります。

 これまでのように、すべてのソフトウェアをわれわれが開発するのではなく、共通で利用できるライブラリを組み合わせることができます。これが、オープンソースとコラボレーションするメリットです。その上にユーザーインタフェースを乗せていくわけですが、ソニーグループにはUIに対する共通の考えがあり、これによって独自色を出していきます。

―― Symbian Foundationでは、S60をベースに(Sony Ericssonの資産である)「UIQ」が統合されていくことになります。何か懸念はありますか?

ウォーカー氏 S60はあくまでコアであって、エンドユーザーはその上位にあるユーザーインタフェースやアプリケーションを通じてSony Ericssonらしさを体感できるでしょう。底辺のレイヤーでSymbian Foundationのものを利用し、上部のレイヤーで差別化を図る。われわれは、端末を差別する部分にのみフォーカスすることができます。

―― ビジネス向け端末を出す計画はありますか?

ウォーカー氏 Sony Ericssonのコアバリューはコミュニケーションとエンターテインメントで、これがわれわれの市場におけるポジショニングです。BlackBerryのような、ビジネス層をターゲットに絞った端末を出す計画はありません。

 だからといって、われわれの携帯電話がビジネス層に利用されていないというのではありません。「G705」などはビジネスユーザーが利用しています。

―― Appleの「iPhone」発売を契機に、タッチパネル旋風が起きています。御社は「P900」(2003年10月発表)など、いち早くタッチをパネル採用していますが、これは時期が早かったのでしょうか?

ウォーカー氏 “P”シリーズは熱烈なファンが多く、当時あの製品セグメントにタッチパネルをもたらしたことは正しい選択でした。われわれが早すぎたというよりも、市場が限定されていたというべきでしょう。現在タッチパネルは、マス市場に成長しました。これにはiPhoneが大きく貢献したことは言うまでもありません。

photophotophoto Walkman携帯「W995」。背面にスタンドを備える
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