ドコモとNTT東日本、自衛隊とのコンビネーションで「災害に強いNTT」を目指す(1/2 ページ)

» 2009年03月13日 16時57分 公開
[平賀洋一,ITmedia]

 陸上自衛隊東部方面隊とNTT東日本、NTTドコモは3月12日、首都直下型地震の発生を想定した共同訓練を実施した。訓練は、大規模災害で都市部の交通・通信が遮断された際、陸上自衛隊とNTTグループが相互協力のもとに早期に通信回線を復旧させる目的で行われた。

photophoto 陸上自衛隊のCH-47大型ヘリコプター(写真=左)。同じく陸自の衛星通信可搬局装置(高機動車に搭載)とドコモの移動基地局車(写真=右)
photophotophotophoto 訓練の概要

 陸上自衛隊とNTTグループによる共同訓練は、2004年に発生した新潟中越地震をきっかけに行われるようになり、今年で4回目を数える。また東部方面隊は2007年にNTT東西と、また2008年にはNTTドコモと相互協力協定を締結。災害時には被災地の状況に加えNTT関連施設の被災状況を相互に共有するほか、自衛隊施設が被災した場合にNTTグループが通信回線の補完を行ったり、野外通信回線の中継などを行う。また自衛隊は、NTTグループの災害対策機器をヘリコプターやトラックなどを用いて被災地に輸送し、避難所などでの通信回線の確保、復旧に協力する。

photophotophoto 群馬県にある相馬原駐屯地から、NTTのポータブル衛星通信システムを積んだ大型ヘリが避難所近くに到着。自衛隊トラックに機材を積み替え、避難所に向かった
photophotophoto 続いて立川駐屯地から、ドコモの衛星携帯電話や発電機などを搭載した中型ヘリが飛来し、同じく陸自車両に乗せ替えて避難所へ移動した

 東部方面通信群長の笹木明仁一佐は訓練に先立ち、「災害時における通信の確保は、自衛隊の活動だけでなく、被災者とその家族との安否確認にかかせないもの。また、陸上自衛隊が持つ野戦通信装備だけでは、被災地での部隊運用をカバーしきれず、NTTグループの協力は欠かせないと考えられる。さらに、被災地への災害対策機器の輸送は、民間の車両やヘリコプターでは限界があり、輸送するには自衛隊の装備を活用するしか方法がないケースもあるだろう。共同訓練を通じて連携体制をさらに強化し、われわれの能力向上を図りたい」とあいさつした。

 訓練では2007年2008年と同じく、NTT東の災害対策用ポータブル衛星通信システムやドコモの可搬式発電機と携帯電話用充電器、衛星電話などを自衛隊の大型ヘリ(CH-47)と中型ヘリ(UH-1)で輸送し、避難所と想定したエリアに機器を設置した。また今年は、被災したNTT施設の復旧に必要な通信ケーブルと、被災地で活動する部隊に野戦通信能力を提供する通信シェルターを、大型ヘリでつり下げ輸送するて訓練も新たに実施。さらに、神奈川県・横須賀では海上自衛隊の輸送艇を使ってNTTグループと陸上自衛隊の車両を海上輸送する訓練も同時に行われた。

photophotophoto 避難所では持ち込んだ機材の設置作業が始った
photophoto NTT東日本のケーブルドラムをつり下げて運ぶ大型ヘリ
photophoto 続いて、陸自のマイクロ波通信設備をおさめたシェルタが輸送された
photophoto どちらも地上で待ち受けたNTT職員と自衛隊員によって回収。ケーブルは復旧カ所へ移動し、通信シェルタはその場で展開された
photophoto 神奈川県・横須賀で行われた海上輸送訓練。海上自衛隊の輸送艇に、陸上自衛隊とNTTグループの車両を乗せ、島しょ部や沿岸地域を想定した避難場所に機材を運んだ。陸上自衛隊の訓練会場には、FOMA網を使ってリアルタイムに映像が伝送された
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