インタビュー
» 2009年04月22日 20時37分 UPDATE

開発陣に聞く「Cyber-shotケータイ S001」(前編):キレイを簡単に、でも機能は“本家”級――「Cyber-shotケータイ S001」の進化と変化 (1/2)

au向けCyber-shotケータイの第2弾「S001」は、8.1Mピクセルカメラや本格的な撮影機能を搭載し、また1歩デジタルカメラに近づいた端末だ。外観も「W61S」から大きくリニューアルし、ラグジュアリー感が強調された。S001が目指したものとは――ソニー・エリクソンの開発チームに聞いた。

[田中聡,ITmedia]

 “カメラ付きケータイ”というよりは“ケータイ付きカメラ”――そう言っても過言ではないほど、「Cyber-shotケータイ S001」はデザインと機能ともにカメラに注力したモデルだ。

photophoto ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製の「Cyber-shotケータイ S001」。本体カラーはマゼンタ、オリーブ×ゴールド、ブラックの3色

 S001は、ケータイでは最大クラスの808万画素カメラはもちろん、ケータイ初の「おまかせシーン認識」や、バージョンアップした「スマイルシャッター」「顔キメ」「おすすめBestPic」、ISO1600の高感度撮影など、デジカメに迫る撮影機能を備える。

 au向けCyber-shotケータイの初号機である「W61S」から何が変わったのか。前編では、カメラ機能の進化点にスポットを当てる。

photo S001の開発チーム。左から商品企画担当の冨岡氏、ソフトウェア担当の間下氏、電気設計担当の福田氏、カメラ設計担当の山本氏、デザイン担当の定月氏

使いやすさを重視してカメラUIを一新

photo 商品企画担当の冨岡氏

 S001の前モデルW61Sは、カメラ性能をCyber-shotに近づける一方で、使いやすいUI(ユーザーインタフェース)や「フォトビューアー」、ブログアップ機能など、ケータイならではの機能も積極的に採用した。S001も基本コンセプトはW61Sを継承しているが、「もっと簡単に、きれいに撮れることに重点を置きました」と商品企画担当の冨岡氏は話す。

 「W61Sのカメラは機能や設定が多すぎて使いこなせない、難しいという声が多く挙がっていました。そこでS001では、高画質な写真を簡単に撮れるよう、ハードルを下げました」(冨岡氏)

 例えば、W61Sのオートフォーカスは決定キーを押すと自動では作動せず、メールキーを押してフォーカスロックをするか、側面のシャッターキーを長押しする必要があった。ズーム操作も(ほかのau端末のように)十字キーではなくアプリキーとEZキーに割り当てられていた。W61SのUIは、どちらかというとデジタルカメラに近いものだったので、S001では決定キーでAF+シャッター、十字キーでズーム操作ができるなど、ケータイとしての使い勝手も考慮した。

 なお、S001とW61Sのカメラ操作の違いについては、こちらのレビュー記事も参考にしてほしい。

photo S001(上)とW61S(下)。W61Sのカメラは電動レンズカバーを採用し、ボディは全体的に丸みを帯びている

 開閉と連動してカメラが起動、終了するスライド型のレンズカバーを採用したのも、“使いやすさ”が大きな理由だ。「W61Sは女性の持ちやすいカジュアルなデザインで統一しましたが、S001ではカメラ周りをできるだけ消し込むよう、スライド型のカバーを採用しました。カバーなら、W61Sのように小さいキーを狙って押さなくても簡単にカメラを起動できるので、こちらの方が利便性が高いと思います」(冨岡氏)

 ちなみに、NTTドコモの「Cyber-shotケータイ SO905iCS」もスライド型のレンズカバーを採用するが、(本体を横向きにしたときに)横方向にカバーが開くS001に対して、SO905iCSのカバーは縦方向に開くタイプだった。この理由についてデザイン担当の定月氏は、「S001の内部構造やデバイス配置の観点から、横スライド方式が最も薄くコンパクトにできたため」と説明する。「レンズカバーが縦スライドだとボディに凹凸ができてしまうので、S001ではカメラ面をすっきり見せるというコンセプトのもと、横スライドにしました」(定月氏)

photophoto S001(左)とSO905iCS(右)では、レンズカバーの開く向きが異なる

 カバーの開けやすさにもこだわり、どの程度の強さにすれば開けやすいか評価を行って調整を重ねた。「カバーにカーブを付けながら薄くするのは大変でしたが、設計チームに頑張ってもらいました」と定月氏は苦労を話す。

解像感が向上した新しいカメラ

photo カメラ設計担当の山本氏

 機能の主役となるカメラには、どんな工夫を凝らしたのだろうか。カメラ設計担当の山本氏は「8Mピクセルという画素数は他社に先を越されましたが、機能は最先端のものを搭載しました。ただ、S001のカメラデバイス自体は、レンズとイメージセンサーについては“変化”、画像処理エンジンは“進化”しています」と話す。

 「S001では光学ズームの搭載を見送ったのでレンズが違います。また、画素数も5Mピクセルから8Mピクセルに増えたので、より大きなCMOSセンサーを採用しました。S001の仕様に合わせたレンズとセンサを採用し、さらに画質を最適化したということです」(山本氏)

 画質の目標は、本家“Cyber-shot”と同等という高いレベルに設定した。「ケータイのカメラとデジタルカメラは画像処理エンジンやレンズの性能が異なるので、本来は比較すべきではありません。しかしS001は“Cyber-shotケータイ”なので、開発当時8Mピクセルのセンサーを搭載していたCyber-shot『T100』の画質を目指しました」(山本氏)

 カメラとソフトウェアの試作ごとに実施したテスト撮影の写真は、1000枚以上にも及んだという。こうして評価と改良を重ねていった結果、「最終的にはT100に迫る画質を実現できました。ほかの8Mカメラ搭載のケータイと比べても、自信を持って一番きれいといえる画質に仕上がりました」と山本氏は胸を張る。

 S001の画質で特にこだわったのが、細部まで鮮明に見せる“解像感”だ。「例えばビルと空を撮影した風景画は、端に写っている窓もはっきり見えます」(山本氏)

 「ケータイのカメラは、自然な発色よりも隅々まではっきり写っている方がいいという人が多いんです。解像感はW61Sから大きく進化した部分ですね」(冨岡氏)

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