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» 2009年04月30日 17時54分 UPDATE

「Doccica」ロードテスト:第2回 通信速度はそこそこだが、使えるエリアが“広くて深い”

「Doccica」ロードテストの第2回は、気になる通信速度について場所と時間帯をいくつか変えて調べてみた。定額データ通信の代名詞になったイー・モバイルと比較したが、速度よりもどこで使えるかを重視する人もいるだろう。

[平賀洋一,ITmedia]

 人口カバー率100%のNTTドコモ網を、手軽なプリペイド方式で使える日本通信のデータ通信サービス「Doccica」(ドッチーカ)。前回は手始めに製品の概要やセットアップの様子を取り上げた。

 今回は、データ通信サービスとしては最も重要な通信速度の実力に迫ってみた。前回も触れたが、DoccicaのサービスはドコモのFOMAネットーワークを日本通信が借り受け、独自に負荷分散をすることで効率的な通信サービスを提供している。できるだけ多くのユーザーを効率よく収容するため、通信速度はドコモが提供する通信サービスよりも低くなりがちだが、その分安く手軽に使えるのが特徴だ。

photo Doccica専用端末(ZTE製)とイー・モバイルのD12LC(Longcheer製)

 DoccicaのZTE製USB端末はHSUPAにも対応しており、仕様上は下り最大7.2Mbps、上り最大1.4Mbpsでの通信が可能だ。しかし、ドコモはHSUPAサービスをまだ提供していないため、当然ながら上りの速度は最大でも384kbpsにとどまる。また、前述のとおり日本通信が帯域管理を行っているため、下りも7.2Mbpsに迫る通信速度は出ない。これは前回も触れたが、日本通信はDoccicaやb-mobile3Gの最大通信速度をうたっていない。最大通信速度と実測値は別もので、実際の利用シーンに即していないという考えのためだ。

 以上を踏まえた上で、その計測値をイー・モバイルの「D12LC」(Longcheer製)と比較して見ていこう。D12LCを選んだのは、編集部にあったデータ端末のなかで、一番Doccicaの端末と利用形態が近いと考えたため。なお測定サイトは前回同様「Radish Network Speed Testing」を利用し、3回測った平均を出している。念のため、1度測定したら切断して数分後に再接続して次の測定を行った。

 まずは、平日の昼休み時間(12〜13時)の平均速度を比較してみる。測定はJR中央線荻窪駅の駅前で行った。Doccicaの平均値は下り183.1kbps/上り370.8kbps、イー・モバイルは下り1.051Mbps/上り362.9kbpsと、特に下りで大きな差が出た。Doccicaはかろうじて上り速度がイー・モバイルを上回ったが、5倍以上の速度差はちょっと気になるところだ。

 次に+D Mobile編集部(千代田区丸の内のビル8階)で平日夕方(18時前後)に平均速度を調べてみた。ここではDoccicaの平均値は下り542.5kbps/上り354.5kbps、イー・モバイルは下り1.098Mbps/上り360.7kbpsとなった。下り速度が500kbps以上になり、たいていのWebサイトが快適に見られる速度に落ち着いた。しかし、上り速度は昼間と比べてわずかに遅くなった。

 続いて平日夜(23時前後)の平均値を見てみよう。数値は前回測定したものと同じだが、Doccicaが下り317.3kbps/上り368.1kbps、イー・モバイルが下り1.504Mbps/上り322.4kbpsと昼休み時間並みの差が出た。最後に深夜(午前1〜2時)の杉並区住宅地で計測してみたところ、Doccicaは下り1.033Mbps/上り369.1kbps、イー・モバイルは下り1.127Mbps/上り364.1kbpsと、いい勝負になった。

 全体を通してみると、Doccicaの下り速度は183.1kbps〜1.033Mbpsまで大きく変動するが、日中は良くて500kbps止まり。上り速度はかなり安定していて、コンスタントに360kbps前後を記録している。

  平均 1回目 2回目 3回目
モデル名 下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り
平日昼(荻窪駅前)
ドッチーカ 183.1kbps 370.9kbps 140.4kbps 370.4kbps 199.5kbps 370.9kbps 209.5kbps 371.3kbps
イー・モバイル「D12LC」 1051kbps 362.9kbps 1122kbps 360.8kbps 1015kbps 365.2kbps 1017kbps 362.7kbps
平日夕方(国際ビル8階 屋内)
ドッチーカ 542.5kbps 354.5kbps 578.5kbps 368.9kbps 511.3kbps 369kbps 537.8kbps 325.7kbps
イー・モバイル「D12LC」 1098kbps 360.7kbps 1149kbps 353.9kbps 1062kbps 361.6kbps 1083kbps 366.5kbps
平日夜(国際ビル8階 屋内)
ドッチーカ 317.4kbps 368.1kbps 283.5kbps 368.7kbps 265.5kbps 367.1kbps 403.1kbps 368.5kbps
イー・モバイル「D12LC」 1505kbps 322.5kbps 1486kbps 251.2kbps 1503kbps 357.9kbps 1525kbps 358.3kbps
平日深夜(杉並区住宅地)
ドッチーカ 1033kbps 369.1kbps 907.6kbps 369.5kbps 1123kbps 368.3kbps 1069kbps 369.4kbps
イー・モバイル「D12LC」 1127kbps 364.1kbps 1189kbps 363kbps 1325kbps 364.4kbps 867kbps 364.8kbps

イー・モバイル圏外でも使える

 速度ではなかなか勝てないが、エリアとなるとDoccicaの圧勝だ。イー・モバイルのサービスエリアも日々拡大しており、課題だった地下鉄や地下街などでもだいぶ使えるようになってきた。しかし、高層ビルや建物の奥まった部屋、地下駐車場などではまだまだ圏外も多く、地方のカバー範囲も人口密集地に限られる。一方のDoccicaは、人口カバー率100%のドコモ網を使うことができる。

 最近取材で訪れた千代田区にある高層ビルの会議室(33階)は、イー・モバイルが圏外(アンテナが1本立つが接続しない)だったが、ドコモはしっかりつながるという場所だった。当然Doccicaも使えるので速度を計測してみると、平均速度は下り439.8kbps/上り369.1kbpsとなった。また編集部のあるビルの地下4階駐車場もイー・モバイルは入らず、ドコモが使えるエリア。ここでの平均測定値は下り498.1kbps/上り369.1kbpsになった。

 どちらも1Mバイトを超える速度は出なかったが、500kbps弱のスピードがあれば大抵のWebサービスは不都合なく利用できる。外回りが多い仕事をしている人であれば、訪問先の会議室や駐車場の営業車からデータ通信する機会も多いだろう。こうしたエリアの“深い”部分でも、安く安定的に使えるのがDoccicaの良いところだ。

  平均 1回目 2回目 3回目
場所 下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り
高層ビル33階の会議室(霞が関) 439.8kbps 369.1kbps 402.6kbps 368.4kbps 444kbps 369.7kbps 472.9kbps 369.1kbps
地下4階の駐車場(国際ビル) 498.1kbps 368.1kbps 550.9kbps 367.8kbps 487.8kbps 368.6kbps 455.7kbps 368.8kbps
photo こうした地下駐車場などは、やはりドコモのほうが頼りになる

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