ケータイカメラを「もっと簡単に使いたい」というユーザーの声に応えるためには、ディスプレイを開いたり回転させたりする手間を省く必要がある――。そんな思いのもと、パナソニック モバイルコミュニケーションズ製の「P-07A」に搭載されたのが、端末を閉じた状態でカメラのファインダーになる、約2インチ(240×427ピクセル)の大型サブディスプレイだ。従来の“VIERAケータイ”が継承してきた、ディスプレイが横に開く「Wオープンスタイル」に、この大型サブディスプレイという要素を加えることで、P-07Aは「撮る」「観る」「伝える」の3要素をサポートする「トリニティスタイル」ケータイへと生まれ変わった。
今回の開発陣インタビューでは、新たに注力された「撮る」機能を中心に、“第4世代VIERAケータイ”P-07Aの進化点を聞いた。
「いかにカメラの機能を“デジカメ”に近づけられるかが課題だと考えていました」――そう語るのは、プロジェクトマネージャーの石川博也氏。P-07Aは有効約810万画素のCMOSセンサーや大型サブディスプレイを搭載することで、カメラの性能と使い勝手が大きく向上している。さらに注目したいのが、パナソニックのデジタルカメラ「LUMIX」シリーズでおなじみのシーン自動判別機能「おまかせiA」を搭載したことだ。
おまかせiAは、最大5人の顔を検出してピントや明るさを調節する「顔認識」や、被写体の動きに合わせて感度を調節して被写体ブレを防ぐ「動き認識」に加え、「風景」「接写」「夜景/夜景+人物認識」という計5種類のシーンモードを被写体に合わせて自動で判別する。「このおまかせiAでは、撮影中にどのシーンモードが選択されているか、画面のアイコンで分かるようになっています。このアイコンは、LUMIXで使われているものと同じです」(石川氏)
P-07Aではこうしたシーン判別を、専用ハードウェアなどに頼らずソフト処理で行う。そのため「いかに判定速度や精度を高めるかが、開発で苦心した点だった」と、カメラ機能を担当した村上敏裕氏は話す。また、ケータイカメラは被写体までの距離を測るセンサーを持っていないため、接写シーンの判定精度を高めることにも苦労したという。
さらに、ケータイカメラの不満点としてよく挙がる「暗い場所での撮影に弱い」「動作がもっさりしている」といった弱点の解消にも力を入れ、これまで以上に日常で“使えるカメラ”として進化したことを村上氏は強調する。
暗い場所での撮影に役立つのは、従来のフォトライトより大きな光量を持つ高輝度LEDフラッシュだ。「真っ暗な状態でも、最大で1メートルほど先を照らすことができる」(村上氏)という。フラッシュと聞くと消費電力量が気になるところだが、電気設計を担当した藤森一彦氏は「LEDを使っているため、電力面ではそれほど負担はない」と語る。むしろ懸念したのはフラッシュの発熱がモジュールに及ぼす影響で、初期段階から十分なシミュレーションを行い、熱に強い設計を施した。
動作の面では、カメラの起動とオートフォーカスの速度を従来の約2秒から約1秒に短縮し、シャッタータイムラグも約0.3秒から約0.1秒にした。「(従来に比べて)速すぎて、自分でも撮るとき違和感があります(笑)」と、村上氏は自信を見せる。また手ブレ補正をソフト処理からハード処理に変更することで、手ブレ補正を利用した際の撮影スピードも上がっているという。
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