“10Mになっただけ”じゃない──AQUOS SHOTに込められたメッセージ荻窪圭が聞く「SH-06A」(1/3 ページ)

誰でも手軽に、構えてシャッターを切るだけできれいな写真が撮れる“フルオート”を目指した「SH-06A」のカメラ機能には、正直いろいろ驚かされた。画質や画素数だけではない、ケータイのカメラならではの使い勝手をしっかり追求しているのだ。

» 2009年06月22日 10時00分 公開
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 NTTドコモの2009年夏モデルとして登場したシャープの「SH-06A」は、10MピクセルのCCDカメラを搭載し、AQUOS SHOTという名称をつけて登場した。ちなみに2008年冬モデルとして登場した「SH-01A」や「SH-03A」は、国内で初めて800万画素のCCDを採用したケータイだ。ついこの間8Mピクセルになったと思ったら、今度はもう10M。あっという間である。すごいもんである。

 でも、大事なのは画素数だけじゃない。もっといえば、画質だけじゃない。ケータイのカメラに求められているのは、画質もそうだけれども、それ以上にケータイならではの使い勝手なのだ。なんてことを思いつつ、東広島にあるシャープまで話を聞きにいってきた。取材に応じていただいたのは、シャープ 通信システム事業本部 パーソナル通信第一事業部 商品企画部 主事の坂口昭夫氏、要素技術開発センター デバイス開発部 係長の高橋芳文氏、プラットフォーム開発センター 第1ソフト開発部の河野広岳氏のお三方。

Photo 左からシャープ 通信システム事業本部 パーソナル通信第一事業部 商品企画部 主事の坂口昭夫氏、要素技術開発センター デバイス開発部 係長の高橋芳文氏、プラットフォーム開発センター 第1ソフト開発部の河野広岳氏

 今回の端末のポイントは3つあるとわたしは思ってる。1つはもちろん10Mピクセルの高画質と最高ISO12800という超高感度だが、2つめは「AQUOS SHOT」というブランド名の誕生、3つめはレビューでも書いたけれども「フルオート指向」の撮影機能だ。

“AQUOS SHOT”誕生の経緯

荻窪圭 実はこの端末を見て一番最初に目に付いたのが、この「AQUOS SHOT」という文字なんです。なぜ今新しい名前をつけたのでしょう。CCD 8Mピクセルで高画質のカメラを作りながら、デジカメブランド名を冠してるケータイに知名度で及ばなくて悔しかったとか……?

坂口昭夫氏(以下敬称略) 本音でいえばそういうところもあります(笑)。デジタルカメラのブランドを持っている会社は、そのブランドを出すことで、カメラの強さを表現できますから。その点、シャープはデジタルカメラを持っていません。ですから、SH-06Aが本格的なカメラケータイであり、カメラの良さを分かっていただきたいと思いました。そのためには高い商品性と同時に、分かりやすいブランド名をつけて、ブランド全体としてアピールしたいと考え、今回AQUOS SHOTという名称を付けました。“本当のデジタルカメラを作りました”という気持ちの現れと思ってください。

荻窪 AQUOS SHOTはいい名前ですよね。まったく新しい名前にしちゃうと、認知に時間がかかりますし、なかなかシャープと結びつかない可能性もありますが、この名前なら誰でも「あ、シャープだ」って分かります。

坂口 そのほかのネーミングも当然いろいろ出てたのですが、一番シャープの製品であることが伝わるものとなると、やはり「AQUOS」が浸透しやすいと考えて選びました。AQUOS自体もかれこれ10年くらいかけて浸透させてきたブランドですから。

荻窪 今後、カメラを重視したシリーズはAQUOS SHOT、サイクロイド系はAQUOSケータイとなるんしょうか?

坂口 細かく言うと違うんですが、ディスプレイが大きくてワンセグなど映像視聴を楽しむことをメインのコンセプトにした端末にはAQUOSケータイ、回転2軸型のようにデジタルカメラのように写真が撮れて、カメラは10M以上でそれにふさわしいディスプレイを採用した、デジカメのような使い方ができるものをAQUOS SHOTと呼ぶことにしようかと考えてます。

回転2軸にはタッチパネルが合う!

Photo 「フルオート嗜好の撮影機能がAQUOS SHOTの大きな魅力です」(荻窪圭)

荻窪 今回のSH-06Aは、SH-03Aの後継機という位置づけですよね。個人的に、これまでの回転2軸スタイルのケータイってあまり好きじゃなかったんです。ディスプレイを表にして折りたたむと、操作系がサイドキーだけになるじゃないですか。そうすると細かいメニュー操作が面倒になります。でもSH-03Aを使ってみて、タッチパネルならそういうデメリットもないし、使い勝手がぐんとよくなるな、と感じました。

坂口 そうなんです。デジタルカメラはディスプレイの横に十字キーやボタン、モードダイヤルなど、カメラならではのユーザーインタフェース(UI)があるんですが、ケータイではそういう場所がありません。ボディのサイズの制限がありますから。そこでタッチパネルで全部やってしまおうと考えたわけです。むしろタッチの方がグラフィカルなUIで分かりやすく直感的に操作できるではないかと。おかげで側面のボタンはシャッターボタンだけにできました。これも議論があったのですが、今回はシャッターキーを目立つ形にしてワンボタンにしました。

荻窪 そうですよね。機能を知らなくても、画面に書いてあるものにそのまま触ればいいのですから、誰でも使えるんですよね。それがタッチパネルの偉大なところだなと。

坂口 シャープでは、デジタルカメラとはまったく違う、タッチUIでのカメラ機能というのを特に意識してやってきたと思っています。特に今回のSH-06Aではカメラのフル機能をタッチで操作できるようにしました。これが意外に使いやすいんですよね。

荻窪 それは実感しました。前のモデルよりさらによくなっている気がします。

坂口 SH-03Aでは、タッチで操作できるのは限られた機能だけだったのですが、SH-06Aではほぼすべての機能で使えるようにしました。もう1つ、「SH-04A」で搭載した待受タッチランチャも追加したのですが、SH-06Aでは画面の右側にカメラに関する機能を集めてすぐアクセスできるようにしました。静止画・動画・名刺リーダー、そしてピクチャテーブルがワンタッチで呼び出せます。

 SH-06Aはカメラがメインのモデルなので、撮影する写真の枚数もこれまでの機種より多くなると考えました。そのため、端末内に保存した写真が簡単に見付けられるように、素早くサムネイルが並ぶピクチャテーブルを採用しました。このピクチャテーブルは、縦位置でも横位置でも使えて、2本指でつまんでやると縮小、広げてやると拡大(ピンチインとピンチアウト)ができるようになっています。

荻窪 おお、2本指で縮小・拡大できるマルチタッチなんですね。しばらく使わせていただいたのですが、2本指での縮小・拡大ができたとは気づきませんでした。しまった(笑)

坂口 2本指で大きくしていくと、最後は1枚だけが拡大表示されるんです。ここにはこだわりました。今回のピクチャテーブルは、単純にデータボックスを表示させて見せるのではなく、タッチの象徴的なUIを取り入れました。これはデジタルカメラではまだ実現されていないものです。

荻窪 特にタッチパネルが生きるのは撮影時ですよね。

坂口 狙った被写体にピントを合わせ続けるチェイスフォーカスで被写体を選ぶ場合や、ピントを合わせたい部分を画面にタッチで選ぶ際など、よりタッチパネルが生きるUIにしています。

荻窪 チェイスフォーカスには驚きました。とうとうケータイのカメラもここまできたか、と思ったのと同時に、けっこう実用的で。

坂口 SH-06Aは、カメラの機能を追求するのはもちろんですが、「シャッターチャンスを逃さない」というテーマもあったんです。それにはシャッターボタンを押してから実際に撮れるまでの時間を極力短くする必要がありました。SH-03AとSH-06Aを並べて「用意ドン」で撮ってみると違いがよく分かるんですが、今回の方がずっと速いんです。撮りたいと思った瞬間に撮れる感覚です。被写体が中央にいないときは、それをタッチするとチェイスフォーカスになりますから、追いかけてもらって撮りたいときに撮れます。チェイスフォーカスとコンティニアスAFは、どちらも初期状態でオンになっていますので、あらゆる被写体を撮り逃しません。

荻窪 カメラに慣れている人だと、シャッターを半押しにするか、AFロックキーを押してピントを合わせてからタイミングを見計らって撮りますが、多くの人はそんなことはしないでいきなり撮っちゃいますものね。

坂口 実は、以前もカメラにコンティニアスAFを搭載したことがあったんです。ただ、今だからいえますが、当時はすごく遅かったんです(笑)。コンティニュアスAFをオンにしていても、ピントが合う前の写真が撮れてしまうことがけっこうあったんですね。でも今回はかなりAFが速くなって、しっかり追随するので、ぱっと合ってくれる感じになっています。

荻窪 それはわたしも驚きました。コンティニアスAFってコンパクトデジカメでもなかなか思ったようにいかないものなんですが、SH-06Aはちょっと待つだけでもうピントが合っているんです。思ったより速いなあと。

坂口 お客様からのご要望として、シャッターを押してから撮れるまでの時間をもっと短くしてほしいというのがあったんです。でもどういうシチュエーションでどういう写真を撮って“時間がかかる”と感られたのか、というところまでは分かりません。そこであらゆるシーンを想定して、この場合はこのAFを、この場合はこちらのAFを、という具合に使い分けて、あらゆるシーンで速くなるようにしました。特にケータイで撮る被写体は、ちょっとした瞬間を撮る、ということが多いんです。それをうまく撮れるようにと考えています。

荻窪 AF自体もけっこう速くなってます?

坂口 なっています。SH-01AやSH-03AのAFは、明るいところでは問題なかったのですが、少し暗いところではAFに時間が少しかかっていました。SH-06Aではどんな状況でもシャッターを押せばすぐ撮れるようにと、かなりチューニングしました。AFのみならず、カメラの起動からAFの時間、レリーズタイムラグまでデジタルカメラ並みにしようと、さまざまなテストを行いながら、デジタルカメラを追い越したいくらいの勢いで目標を立てました。完璧に目標に達したかというと、まだそうとはいえない部分もあるのですが、その分コンティニアスAFで補ったりしています。

 実は、SH-06AではチェイスフォーカスもコンティニアスAFも通常のAFも持っていますから、さまざまなAFが複雑に絡み合っていてかなり苦労したんです。通常の撮影だけでもチェイスフォーカス、コンティニアスAF、顔認識AFが複雑に絡み合うので調整がけっこう大変でした。

荻窪 こうした処理をしながら、その上でAFに時間がかかる原因の1つであるシームレスマクロまでやっているのは感心します(AF時に近距離から遠距離までピントが合うところを探すので、マクロの距離にまで対応すると、その分AFに時間がかかるようになる。だから多くの製品で、マクロモードが別途用意されているのだ)。特に料理を撮るときなどは、昔はマクロモードにしないとダメでしたから。

坂口 料理に限らず、ケータイは室内で写真を撮ることが多いので、広角とCCDにはこだわりました。CCDはやはり暗いところでもきれいに撮れますから、メリットは大きいです。広角もSH-01AやSH-03Aの29ミリ相当から、やっと28ミリ相当のきれいな数字になりました。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2009年6月30日