“10Mになっただけ”じゃない──AQUOS SHOTに込められたメッセージ荻窪圭が聞く「SH-06A」(3/3 ページ)

» 2009年06月22日 10時00分 公開
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フルHDサイズならISO12800!

荻窪 前回、SH-01AやSH-03AではISO2500相当をうたっていましたが、今回はISO感度の上限がぐっと上がっていて、10MモードでもISO3200まであってびっくりしました。ずいぶん上げてきたなと。なぜそんなことができたんでしょう。普通は画素数が増えると画素ピッチが小さくなりますから、感度は下がりそうなものですが。

Photo 「新しい10M CCDは、8M CCDと同等のISO感度を維持しています」(高橋氏)

高橋 今回の10MピクセルのCCDは、前の8MピクセルのCCDと同等の感度を維持しているんです。画像処理エンジンのProPixも中身はほぼ同じものなので、CCD回りは10Mピクセルに対応するためにメモリを増やしたくらいで、そのほかに大きな変更はしなくてすみました。それでいて感度を上げることができた一番大きな要素は、やはりアナログフロントエンド部分の性能向上ですね。

荻窪 アナログフロントエンドというのは、CCDから出たアナログ信号を処理する回路ですよね(CCDから出る信号はアナログ信号なので、それを「アナログフロントエンド」で処理し、その結果をデジタルに変換(A/D変換)して、画像処理エンジンに渡してデジタル画像を作り出すというのが基本的な構造)。

高橋 そうですね。アナログ信号の時点で増感処理をして、そのあとでデジタル化して画像処理エンジンのProPixに渡しています。そのアナログ信号処理の性能が上がったので、感度を上げることができるようになりました。CCD自身の画素数は増えていますが、感度は同等を維持していますから。感覚的には約1.3倍くらいですね。従来のISO2500の絵が、今回はISO3200で撮れるという感じです。

荻窪 実際にはISO800くらいなら十分使えるな、という印象でした。さすがにISO3200まで上げちゃうとノイズが出ちゃいますが、これは本職のコンパクトデジタルカメラでもそうですから。

河野 厳しい目で見るとまだまだだと思っていますが、そういっていただけるとうれしいです。今回は画像サイズを落とすことで最高ISO12800まで上げられるんです。それはもう自分でやってて大変でした。ものすごく苦労しました(笑)

荻窪 ISO12800は何がなんでも実現しろ、といわれたんですか?(笑)

河野 この感度なら画像サイズはこれが上限、という目安をつけ、数値目標をおきました。実際の処理は、ISO感度に応じて、ノイズ低減や縮小処理などのデジタル処理を施しています。

坂口 前回は最高ISO2500だったんですが、今回は画像サイズを縮小すればISO12800までいけるよね、と(笑)。そこまでいこうよ、というのが目標だったんです。

荻窪 でもさすがにフルHDサイズで撮れるISO12800はすごいノイズですが(笑)

河野 さすがにそこが限界でした(笑)

荻窪 でもISO12800あれば、撮ろうと思えば何でも撮れますからね。いざというときどんなに暗くても撮れる、というのはすばらしいところです。

次のAQUOS SHOTは撮ったあとを充実させる?

Photo 「ケータイの気軽さを生かすためのフルオート系撮影機能がよくできていると感じました」(荻窪圭)

荻窪 最初にSH-06Aを見たときは、SH-03Aが10Mになっただけかと思っていましたが、使ってみると、それ以上に使い勝手がよくなっててびっくりしました。今回はその辺の話を中心にうかがってきましたが、やはり狙いは使い勝手の部分だったのでしょうか?

坂口 そうですね。8Mでも十分じゃないですかとなるところを、10Mにまでしているわけですから、今回は画素数が変わっただけといわれたくなかったんです。そこで、きれいになっただけじゃなくて、撮るところから見るところまでをバージョンアップしています。ケータイカメラの世界を新しくしようと開発したのがAQUOS SHOT、というところですね。

荻窪 最後になりましたが、新ブランドのAQUOS SHOTはどこへ向かうのでしょう。今回は10MのCCDという新しい高画質と、シーン自動認識やチェイスフォーカス、コンティニアスAFに代表されるフルオート系の機能がメインでしたが。

坂口 シャープとして、デジタルカメラのブランドを持ってないのが逆に強みになるよう、ケータイで新しいカメラの世界を作ろうと思っています。画質や基本性能は当然追求していきますが、やっぱりケータイのカメラの良さは撮った後のフローがつながっているところなんですね。ですから、そこの強化を図っていきたいです。撮って、見て、送るという流れや用途の広がりを考えています。ブログだけでなく、例えば撮影した動画をそのままWebに上げてしまうとか。見せ方でもタッチなのでメニューを選ぶだけじゃなくて……。あまり今しゃべってしまうわけにはいかないのですが(笑)、撮った後にもいろいろできるというのを次のステップでは考えていきたいなと思っています。ケータイならではの手軽なカメラをめざしたい。また来年、再来年と通信のインフラが整ってくるとアップロードの速度も速くなりますから、それに向けていろいろと考えているところもあります。


 今回話を聞いて印象的だったのは、開発陣の頭にあるライバルが、他社のカメラ機能重視ケータイではなくて、コンパクトデジタルカメラである、ということ。本職のデジタルカメラは写真を撮る機能だけに特化できるので、大きなフラッシュも搭載できるし光学ズームも付けられる。ケータイのカメラの場合は、ワンセグやおサイフケータイなども搭載する必要があるから、なかなかそういう大きな部品は入れられない。でもその代わりに、大きなディスプレイやタッチパネルを持っているし(タッチパネルを搭載したデジタルカメラもいくつか登場しているが、主流にはまったくもってなり得ていない)、何より強力な通信機能を持っている。常時身につけているのでいつでも撮りたいときに撮れるという強みもある。

 今回のチェイスフォーカスも、タッチパネルだから誰でもすぐ使えるし、ケータイの気軽さを生かすためのフルオート系撮影機能の充実もよくできていると感じた。AQUOS SHOTという名前をつけたことから分かるとおり、シャープは今後もカメラ機能に力を入れたケータイを作り続けていくはずである。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2009年6月30日