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» 2009年07月17日 17時27分 UPDATE

“フルタッチ”と“プレミアム”で全セグメントの勝者に――Samsung電子の戦略 (1/2)

今、携帯電話の世界市場で勢力を伸ばしているメーカーがSamsung電子だ。同社がさらに勢いを加速させるための方策とは。そして「まだギャップがある」日本市場で存在感を高めるために必要なものとは何か。

[田中聡,ITmedia]
photo サムスンテレコムジャパン 端末営業部 部長 オウ・チャンミン氏

 Samsung電子は世界で着実にシェアを伸ばし、存在感を増しつつあるが、世界シェア1位に君臨するNokiaの背中はまだ遠い。加えて、日本ではまだ“大成功”といえるほどの実績がないのも事実。Samsung電子が携帯電話事業の勝者になるために目指す戦略とは――。7月16日に同社が開催した「SAMSUNG "CommunicAsia 2009"出展端末説明会」で、サムスンテレコムジャパン 端末営業部 部長のオウ・チャンミン氏が語った。

まずは“Nokia、Samsung電子とその他”と言われたい

photo 2009年から電子機器事業とデバイス事業を分業化した

 Samsung電子は2009年に組織再編を行い、社内を電子機器事業とデバイス事業に分割した。オウ氏は「今までSamsung電子が海外で身につけてきた技術力を電子機器とデバイスに分けて集中させる」ことがその狙いと話す。

 2008年の売上は、Samsung電子全体で1000億ドル強(約10兆円)、テレコム事業は約260億ドル(うち88%がケータイ、12%がネットワークビジネス)を達成した。ネットワークビジネスには、au向けのCDMAネットワークインフラとUQコミュニケーションズ向けのWiMAXインフラが含まれる。オウ氏は「LTEも頑張りたい」と意欲を見せる。

 同社の携帯電話事業は右肩上がりに伸びている。端末の販売台数は2001年の2900万台から2005年には1億台を突破し、2008年には1億9600万台に達した。オウ氏は「1億台を超えるまでの2004年から2005年は特に苦労した。1億という数字は企業の哲学やロジックを変えないと突破できない数字だ」と、“生みの苦しみ”があったことを明かした。「1億の次のハードルである2億も目前に迫っている」(同)。

photophoto Samsung電子の2008年の売上は、88%が携帯事業、12%がその他の事業が占める(写真=左)。携帯端末の販売台数は、2008年には1億9600万台に達した(写真=右)
photo Samsung電子の2009年第1四半期のシェアは2位とはいえ、1位のNokiaには約20%もの差をつけられている。同社はローエンド端末にもプレミアム感を出すことで差別化を図るとしている

 携帯事業の市場シェアは依然としてNokiaがトップを維持している。「市場シェアは、これまでは“Nokiaとその他”で、その他の中で目立っていたのがMotorolaだった。同社が『RAZR』を発売したときは“Nokia、モトローラとその他”という勢力図になったが、RAZRの発売以降、Motorolaは失速してしまった」とオウ氏はこれまでの情勢を振り返った。

 一方、Samsung電子は2009年の第1四半期には18.7%の市場シェアを獲得し、Nokiaに続く2位につけ、3位のLG電子(9.2%)を大きくリードした。同氏は「これからは“Nokia、サムスンとその他”と言われるのでは」と自信を見せた。

 またオウ氏は2007〜2008年のブランドランキングでSamsung電子が21位を獲得したことにも触れ、「市場のシェアが上がるにつれて、ブランド価値も上がる。お客さんに認めてもらえるのが一番うれしい」と話した。

photo 世界のブランドランキングは、ここ数年、Samsung電子は20位前後維持している

これからは全セグメントでの勝者を目指す

 Samsung電子は、これまでは“worldwide”を事業のキーコンセプトとしてきたが、今後はよりユーザーの満足度を追求する方向にシフトするという。オウ氏は「これからのビジョンは“Meaningful Innovation, Wow Experience”。意味のあるイノベーションを出して、お客さんに素晴らしい経験をしていただきたい」と話した。

 意味のあるイノベーションとは何を指すのか。オウ氏は「世界のトップメーカーとして成長するためには、(ローエンドからハイエンドまでの)全セグメントで勝者になる必要がある」と説明する。「Samsung電子はこれまで“選択と集中戦略”を徹底し、2007年まではデザインの優れた端末として認められてきた。これからは、優れたデザイン性と世界最先端の技術を取り入れた端末を、どこよりも早く出したい」と意気込みを話した。

 「お客さんのライフスタイルとニーズを分けて、各セグメントでトップとなる端末を投入していく。この方向性がケータイビジネスの哲学として確立したのは2008年だが、実際は2007年から始動している」(同)

photophoto “Meaningful Innovation, Wow Experience”を今後のコンセプトとする(写真=左)。Samsung電子は2002年以降、エポックメイキングな機種をコンスタントに投入してきた。2002年に投入した「T100」は世界初のカラーディスプレイを搭載した機種。「これまではフラッグシップモデルに会社のリソースを集中させてきた」(オウ氏)が、2008年以降は「Style」「Information」「Multimedia」「Business」など、全セグメントに注力する(写真=右)

 すでに多くのセグメントで多彩な端末を投入しているNokiaとはどう差別化を図るのか。「Nokiaは端末を安く開発する技術がすごい。我々は安い製品を安く売るのではなく、ローエンドな製品にもプレミアムな価値をつけて差別化したい」とオウ氏は説明。その1つとして、同社はadidasやARMANIなどの高級ブランドとのコラボレーションを以前から展開している。日本ではEMPORIO ARMANIのコラボレーション端末「NIGHT EFFECT(830SC)」がソフトバンクモバイルから9月に発売される予定だ。

photophoto Samsung電子が日本市場に初めて投入するコラボレーション端末「NIGHT EFFECT(830SC)」。GIORGIO ARMANI氏が東京の夜景からインスピレーションを得てデザイン。内蔵グラフィックも同氏がデザインしている。ターゲットはファッションに敏感な18〜35歳の若者
photophotophoto オリジナルのケースやイヤフォン、イヤフォンジャック変換アダプタも同梱する
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