インタビュー
» 2009年07月27日 19時30分 UPDATE

10万会員を突破したドコモコミュニティ──身近な人との気軽なコミュニケーションに

NTTドコモがiモード契約者向けに提供している、家族や友達を対象とした無料のコミュニケーションサービス「ドコモコミュニティ」が徐々に会員を増やしている。7月22日には10万人を超え、「特定の人にだけ見せたい」という情報を公開・共有する場として利用されている。

[ITmedia]

 NTTドコモが3月2日に開始したコミュニケーションサービス「ドコモコミュニティ」が徐々に会員数を増やしている。7月22日には、会員数が10万を突破したという。

 ドコモコミュニティは、ドコモの携帯電話ユーザーを対象に、日記や備忘録、スケジュール、アルバムなどをサーバ上に登録し、iモード対応端末から閲覧したり、iモードユーザー同士で情報を共有したりできるSNSのようなサービスだ。iモードから会員登録をすれば、無料で利用できる。最大の特徴は、メンバーの登録をiモードのメールアドレスをもとにした招待制としている点。ユーザーの検索機能などはないため、自分が招待した人しか自分のページを見ることができず、プライベートな情報共有にも活用できるのが特徴だ。登録した内容の公開範囲は「自分だけ」「友達まで」「友達の友達まで」の3種から設定でき、初期状態では「友達まで」になっているので、公開範囲を変更しなければ、ほかのメンバーに情報が公開されることはない。

 7月7日には、これまでiモード対応の携帯電話からしか閲覧できなかったページをPCからも読み書きできるようにするなど、ユーザーのニーズに応える形で細かく利便性を向上させている。10万会員突破という節目を迎えたドコモコミュニティは、どのように使われ、今後どのように進化していくのか。NTTドコモ ユビキタスサービス部 IPサービス企画 担当部長の中村雅彦氏、IPサービス企画 IPサービス企画担当課長の入鹿山剛堂氏、IPサービス企画 ドコモコミュニティ推進担当の末次達弘氏、長崎和志氏に話を聞いた。

Photo 右からNTT ドコモユビキタスサービス部 IPサービス企画 IPサービス企画担当課長の入鹿山剛堂氏、IPサービス企画 担当部長の中村雅彦氏、IPサービス企画 ドコモコミュニティ推進担当の末次達弘氏、長崎和志氏

主なユーザーは20代から30代の女性

 ドコモコミュニティの構想は、ケータイメールと同じように、身近な人との気軽なコミュニケーションができる場として、ドコモ社内ではSNSに関心が集まる前から検討されていた。その理由を入鹿山氏はこう話す。

Photo ,「身近な人との気軽なコミュニケーションが可能な場をドコモとして提供することは、以前から検討をしていました」と入鹿山氏

 「ケータイメールは、PCのEメールとは違う性質のものだと考えています。Eメールの場合、いつでも好きなときに読んで好きなときに返信できます。一方、ケータイメールはかつてのポケベルのようなもので、電報のようにリアルタイムでプッシュ配信されますから、何となくすぐ返信を返さないといけないように感じてしまいます。このリアルタイム性が、人によってはストレスに感じることもあり、気軽にコミュニケーションが取れる場としてSNSの隆盛につながっていったのではないかと考えています。ドコモでも、通信会社の責務として、こうしたコミュニケーションの場が必要だと考えていました」(入鹿山氏)

 既存のSNSは広告モデルで運営されているものが多いため、どうしても会員数やページビューを増やす方向に向かってしまいがちだ。会員登録が招待制から自由登録制に変わったり、友達が検索できるようにしてあったりと、本当に安心して、個人的な情報を書き込んだりできるほど安全な環境とは言えないサイトもある。だからこそ、クローズドなドコモコミュニティに魅力を見いだすユーザーも多いのだろう。

 ドコモコミュニティでは、前述のとおりiモードの契約がある人しかページを持てない上、iモードメールを持っている人だけが閲覧できる仕組みのため、別の人間になりすましたり、知らない人のページを見たりすることが難しい。また、日記や写真、スケジュールなどのデータは、1つ1つ個別に公開設定が変えられる。特定の写真だけは家族にだけ公開する、プライベートなことを書いた日記は友達にだけ見せる、といった指定が可能だ。

 こうして安心・安全に配慮したしようにした結果、現在の主なユーザーは20代から30代の女性が多いという。10代や20代前半のユーザーが多いケータイ向けのSNSサービスと比べると、やや年齢層が高く、子どもの成長記録などを家族や友達に見せたい主婦や、プライベートな出来事を織り交ぜながら近しい友人向けの日記を書きたい独身女性が中心となっている。また、主婦の投稿した日記や写真を閲覧する30代から40代の男性も多い。

Photo 夫婦間のコミュニケーション促進に役立つのでは、と笑う長崎氏

 実際のユーザーからは、やはり「クローズドなサービスならではの良さ」を指摘する意見が多いと入鹿山氏は言う。「ブログのように自由に閲覧できるものと違って、誰が見ているかがはっきり分かるので、子供の写真やプライベートな出来事なども安心してアップできるという声をいただいています。特に活発なのは、ママ友同士の交流に使われている方ですね。1人で1つサークルが作れる機能を活用して、子どもの様子や情報の共有などに使われていらっしゃるようです」(入鹿山氏)

 長崎氏はドコモコミュニティの利用シーンの1つとして、主婦が書いた日記や子どもの育児記録、成長記録を夫が見るようなケースを挙げ、「旦那さんが奥さんの日中の苦労や大変さを知るきっかけになると、より夫婦間のコミュニケーションも促進されるみたいです」と笑いながら話した。

PC対応でさらに使いやすく

 7月7日からは、docomo IDとパスワードを取得することで、PC版のWebサイトも利用できるようにした。これにより、ユーザー層の拡大と使い勝手のさらなる向上をめざす。

 「PC版は、家にいるときは見やすい大きな画面と入力しやすいキーボードを使っていただければと考え、サービスを開始しました。これにより、家でも外出中でも使いやすい環境がご提供できるのではないかと思います」(中村氏)

 PCで利用できるようにすることで、年齢の高いユーザーにも使いやすい環境を提供するという狙いもある。年配ユーザーの中には、携帯電話の操作に習熟していない人もいるが、PCなら使えるという人もいる。iモード契約をしてもらう必要があるものの、孫の写真などを見るためにドコモコミュニティにアクセスするようなユーザーも増やしていきたい考えだ。

Photo 写真が容易にアップロードできたり、盛り上がっている話題がすぐ分かったりと「PC版ならではのメリットもある」と末次氏

 さらにPC版のマイページ(トップページ)では、ケータイ版にはない「HOTな話題」コーナーを設け、自分の友達の日記やアルバムの中で、コメントが頻繁に書き込まれている記事を表示するほか、PCのブラウザから写真や動画を簡単にアップロードできるページを用意した。

 「デジタルカメラなどで撮影した写真が簡単にアップロードできるのもPC版の特徴です。写真は携帯電話で見やすいように、サーバ側で自動的にサイズを変更しますので、携帯電話向けやPC向けといったことを意識する必要もありません」(末次氏)

 画像のストレージは10Mバイト用意しており、圧縮後の写真は500枚から1000枚が格納できるとのこと。これだけの容量があれば、気軽に写真を共有できそうだ。

10代への対応はこれから

 「クローズドなサービスならではの使い勝手の良さを評価してくださる声が多いが、若年ユーザーへの対応は慎重に進める」と話す入鹿山氏

 クローズドな空間で、限られた人たちと気楽に安心なコミュニケーションができる──。ドコモコミュニティは、今までのコミュニティサイトとは一味違う、配慮の行き届いた空間だが、カテゴリーとしてはSNSに属するサービスなので、18歳未満のユーザーに対してはフィルタリングの対象となっている。そのため10代のユーザーは現状1〜2%程度と少ない。

 昨今は、青少年の安心・安全なネット/ケータイ利用に対するさまざまな取り組みが行われているが、中でもSNSには「危ない」「問題がある」というイメージを持つ人も増えている。友達の友達には情報を公開しないといった設定も可能な、身近な人にのみ開かれている点をウリにするドコモコミュニティでは、若年ユーザーの安心や安全に配慮したサービス提供も可能なように見えるが、若年ユーザーへのサービス提供について、ドコモとしてはどう考えているのだろうか。

 「ドコモコミュニティは通信事業者がやっているサービスだから安全です、と言うこともできませんので、若年層の利用については、政府や教育機関などの方針なども参考にしながら慎重に検討を進めていきます。利用していただきたい気持ちはありますが、複雑な問題もありますので、よりよい方法を模索していきます」(入鹿山氏)

将来はサービスのプラットフォームに

Photo 「ドコモコミュニティはメールよりもゆるいつながりが持てる」と中村氏

 ドコモが利用者の利便性に配慮して提供するサービスという位置づけのドコモコミュニティは、広告ビジネスで会員を獲得してきたほかのSNSサービスとは一線を画したサービスだ。閉じた空間だからこそ実現できる安心感や安全性は、「一部の親しい人にだけ見てもらいたい」という需要に対しての1つの回答と言えるだろう。

 今後はほかのサービスを融合するプラットフォームとしても、ドコモコミュニティを拡張していく考えだ。「ドコモコミュニティには、言ってみれば家族や友達同士の集まりですから、そういった家族や友達関係の方たちに向けた、独自のサービスなども展開できると考えています。もちろんドコモだけで手がけるのではなく、パートナーとなる企業と共同で何かしらのサービスを提供する可能性もあり得ます。また、パーソナライズの一環として、レコメンドエンジンとの連携なども考えられると思います」(中村氏)

 ドコモコミュニティは「ケータイメールほど密ではない、ゆるいつながり感が保てるのが特徴」だと中村氏。「メールとうまく使い分けていただいて、コミュニケーションが促進されるといいと思っています」

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