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» 2009年11月25日 22時28分 UPDATE

パーソナライズに手応え、ネット連携のさらなる強化も――NECの携帯戦略

ユーザーの消費マインドが“こだわり”と“割り切り”とで2極化している中、NECは「パーソナライズ」型の商品に注力することで利用者の心をつかもうとしている。

[山田祐介,ITmedia]

「パーソナライズ」で飽和市場を乗り切る

photo NEC 執行役員の山崎耕司氏

 「飽和した日本の携帯市場の中では、“ひとりひとり”のための端末を作ることが重要」――。NECは11月25日、冬商戦向け携帯電話の説明会を開催し、端末事業の戦略を説明した。同社執行役員の山崎耕司氏は、今後の端末事業において「パーソナライズ」型の製品や、機器・ネットワーク連携機能を重要視する姿勢を示したほか、将来的にはクラウドを活用した事業展開を目指していくと話した。

 パーソナライズに対する同社の取り組みの1つは「マイセレクトモデル」の展開だ。NTTドコモ向け2009年夏モデルの「N-08A」では、3パターンの背面パネルや31パターンのイルミネーションを自分の好みに合わせてカスタマイズできるマイセレクトモデルを展開したが、冬モデルでも「N-01B」のマイセレクトモデルを用意し、合計2701パターンという“カスタマイズの幅”を実現した。マイセレクトモデルは「ユーザー満足度がほかの機種と比べて非常に高いという調査結果が出ている」(モバイルターミナル事業本部 副事業本部長 小島立氏)と、手応えも感じているようだ。


photo N-01Bのマイセレクトモデルでは、2701の組み合わせが用意されている
photo モバイルターミナル事業部 事業部長の南洋一郎氏

 また、子どもに持たせても安心な端末としてソフトバンクモバイル向けに「コドモバイル 740N」をラインアップするなど、多様化するニーズにマッチする製品の開発にも注力する。同社モバイルターミナル事業部 事業部長の南洋一郎氏は、リーマンショック以降の不況によって、「大切なものにはお金を使うが、そうでないものには極力お金を使わないという消費マインドの2極化が進んだ」と指摘し、個人の価値観やこだわりに応える端末の重要性を説いた。冬モデルにおいては、ユーザーのライフスタイルに密着した「Lifeware(ライフウェア)」としての携帯を目指し、機能やサービスを盛り込んでいるという。


photophoto ユーザーのライフスタイルに密着した「Lifeware(ライフウェア)」としての携帯を目指し、「Media」「Feel」「Long Life」という3つのキーワードを軸に冬モデルの機能やサービスを作り上げた

 また、ネットワークやさまざまな機器との連係機能を強化し、「技術だけでなく、連係機能を使った新しいサービスを提案していくのが我々の使命」(山崎氏)という構えで開発に臨む。冬モデルでは無線LAN機能を備えた「N-02B」「940N」で、Wi-Fiならではの高速通信や、3G回線を使った無線LANアクセスポイントといった使い勝手をユーザーに訴求。さらに、BIGLOBEのオンライン写真共有サービス「フォトポケ」と連携し、“ケータイで撮った写真を自動でネット上にアップし、共有できる”サービスを提案している。

photo NECが考える端末の進化

 インターネットとの親和性を高めた先に見据えているのが、クラウドサービスを活用した端末だ。同社は情報処理技術と通信技術の融合を意味する「C&C(Computers and Communications)」を全社的に推進する中でクラウドサービスを積極的に取り入れ、インターネットを介してさまざまなサービスを得られるユビキタス端末の開発を目指していく。また、端末事業の海外展開においても、同社が掲げる“C&Cクラウド”への対応を1つの強みにしていきたい構えだ。具体的な内容や時期は語られなかったものの、山崎氏は「海外のあるキャリアとNECとでプロジェクトを進めている。携帯電話として出すか、シンクライアント端末として出すか、可能性はいろいろと考えられる」と、取り組みの一端を明かした。

 また山崎氏は、海外展開はカシオ日立モバイルコミュニケーションズとの統合が「あらためて海外に進出するスタートライン」になるとも話す。「カシオ日立が持つ商品力と、NECが持つプラットフォームの技術開発力が融合すれば、素晴らしい海外展開が実現すると信じている」(山崎氏)


photophoto カシオ日立モバイルコミュニケーションズとの統合で、国内市場での商品力の向上に加え、海外事業の拡大を狙う

「これからはデザインが事業を引っ張る」

photo クリエイティブスタジオ チーフクリエイティブディレクターの佐藤敏明氏

 多様なニーズに合わせて端末やサービスを総合的に提案しようとしているNECだが、そのために重視しているのが「デザイン」だ。山崎氏は「これからは、クリエイターが作るデザインを元に製品を創出していくことが重要」と話す。商品のターゲットユーザーや利用シーン、技術的な課題や新しさを見据えたトータルデザインが「事業を引っ張っていく」(山崎氏)という。こうした意識から、同社は2006年に商品のコンセプトからプロモーションまでを一貫してデザインする「クリエイティブスタジオ」を設立した。

 同部門チーフクリエイティブディレクターの佐藤敏明氏は会場で、「モノのデザイン」「コトのデザイン」「気分のデザイン」という3つの視点から同社のデザインを解説した。まず、同社は「モノ」としての価値をデザインする上で、オリジナリティやクオリティを重視してきたという。その結果生まれてきたのが多彩なイルミネーションやアークスライド、エレガントスリムといったコンセプトだ。「コト」のデザインに関しては、外部クリエイターとのコラボレーションや、感情予測機能の付いたイルミネーションなどで、NECならではの世界観をユーザーに提供してきたと佐藤氏は話す。そして現在注力しているのは、ワクワク感や安心感、癒しといった「気分」をユーザーそれぞれと共有するためのデザインだという。


photo 「モノ」「コト」に加え、「気分」をデザインすることに力を入れる

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