コラム
» 2009年12月31日 17時30分 UPDATE

ITmediaスタッフが選ぶ、2009年の“注目ケータイ&トピック”(ライター神尾編):“iPhone旋風”の中で、頭角を現した実力派たち (1/2)

2009年が「iPhoneの年」だったことに異論を挟む余地はない。しかし、その一方で、着実に実力を付け、頭角を現してきた実力派がいた。Appleにも負けない物づくりができると感じたメーカーとは。

[神尾寿,ITmedia]
Photo 「iPhone 3GS」

 2009年は終始「iPhoneの年」だった。

 と書くとこれで終わってしまいそうだが、iPhone 3G/3GSが巻き起こした旋風は、実際の販売規模以上に大きいものだった。他国の例に漏れず、iPhoneの周りにはアプリやアクセサリーの市場が成長し、iPhoneユーザーの裾野の拡大とともに一般メディアが取り上げることも増えてきた。最近では女性誌がiPhone向けケースやバッグの特集を組むなど、この1年でiPhoneを取りまく環境は大きく変わった。

 またiPhoneは、モバイルIT業界の「メートル原器」にもなった。業界関係者とスマートフォンやケータイの話になると、必ずといっていいほどiPhoneとの比較や評論になる。“iPhoneと比べてどうか”・“iPhoneならばどうなのか”が、共通のキーワードになったのだ。その点でiPhoneは、自動車業界でいう「BMWの3シリーズ」や「フォルクスワーゲンのゴルフ」のように、グローバルでの“基準”を考える上でのモノサシになったのだ。

 しかし、その一方で、iPhone旋風の中で頭角を現す実力派が出てきたのも、2009年の特長だと思う。

Appleに負けない!? 実力派メーカーの潜在力

 「モバイル端末向けのユーザーインタフェース(UI)でAppleに勝てる企業があるとすれば、それは富士通だ」

 今年6月、サンフランシスコで開催されたWWDC2009に参加する道すがら、同行したITジャーナリストとこの意見で意気投合した。もちろん、ビジネススキームや商品コンセプトが違うから単純比較はできない。しかし、富士通が「らくらくホン」を筆頭に、日本市場で10年をかけて蓄積した“分かりやすさ”や“使いやすさ”を高めるノウハウはすばらしく、Appleに比肩するものがあると筆者は考えている。最近はUIだけでなく商品企画や外観デザインの作り込みもうまくなり、らくらくホン以外でも堅調な伸びを示している。シャープのように自社ブランドの訴求やマーケティングは下手だが、隠れた実力派として成長しているのだ。

 富士通の強さはIDC Japanの調査にも現れており、2009年第3四半期の調査では市場シェアで2位に躍り出ている。これは販売不況期にも堅調に売れるらくらくホンや「キッズケータイ」を擁していたことも理由としてあるが、富士通のラインアップ全体の実力値が上がっていることも確かだろう。2010年はドコモ・ソフトバンクモバイルの“2Gユーザー巻き取り”も控えており、国内市場における富士通はさらに存在感を増しそうだ。

 一方、端末メーカー最大手のシャープは、堅調に国内シェアナンバー1を守っている。同社は今年の市場環境にあってめずらしく、“ハイエンドモデルもそれなりに売れた”。筆者も「SH-01B」などを試したが、実際に使ってみると、単純にスペックが高いだけでなく「分かりやすさ向上」への工夫が随所にあり、その強さもなるほどと納得した。商品企画力やブランド訴求力も高く、丹念にマーケティング活動を行っていると感じる。その実力は他の日本メーカーより一歩秀でており、来年も同社のリードは続きそうである。

 そしてもう1つ、今年筆者が注目したメーカーが京セラだ。同社は国内端末市場において地味な存在だが、「分かりやすさ・使いやすさ」の工夫やアイディアの優秀さでは光るものがある。

 特に筆者のお気に入りなのが、京セラのau向け端末に搭載されている「すぐ文字」だ。これは待受画面からダイヤルキーを押すと、対応する「日本語」と「数字」が同時に表示されるというもの。日本のテンキー入力文化をうまく生かした画期的なUIだ。また、商品企画の巧みさと使いやすさの両立ではウィルコム向けの「HONEY BEE 3」もすばらしかった。

 京セラも、富士通やシャープ同様に、スペック表に現れない“使い心地のよさ”を高めるノウハウを持つ実力派と言える。

 AppleのiPhoneが範を示したとおり、今後のモバイル端末で重要なのは「デザイン」「分かりやすく使い心地のよいUI」「使いやすい機能」のバランスだ。その観点でみると、シャープ・富士通・京セラなどは新時代への対応力を持ち始めている。もちろん、他のメーカーもこの数年、デザインやUIの向上に努めているが、2009年の段階では、まだその成果を感じなかったというのが正直なところだ。来年はぜひ頑張ってほしいと思う。

PhotoPhotoPhoto 富士通の「らくらくホン6」、シャープの「SH-01B」、京セラの「HONEY BEE 3」
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