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» 2010年01月06日 19時30分 UPDATE

ネットもリアルも“ドタバタ”――大晦日の「エアノベル#15a24」奮闘記(前編) (1/3)

2009年の大晦日、小説とリアルがリンクした壮大な企画に参加すべく集結した“捜索隊”は、セカイカメラを使って東京各地に浮かぶ「男」の残留思念を探した。「裏切り者」に気を付け、ネット上で生暖かく見守る「みんなの力」を借り、寒空の中を12時間駆け回った彼らに待っていたものは……? イベントの様子を前後編でリポートする。

[きゅうり,ITmedia]

 iPhone向け拡張現実(AR)アプリ「セカイカメラ」と新城カズマ氏の小説「15×24」がコラボレートして実現した「エアノベル#15a24」――。同イベントは、現実の世界を舞台にユーザーが“物語の構成要素”となって作品を楽しむ代替現実ゲーム(ARG)として、2009年大晦日の東京で実施された。東京に潜む「ピンクのケータイを持つ男」を捕まえ、小説の登場人物を助けるために立ち上がった約20人(もしかしたらそれ以上?)の“捜索隊”と、ネット上で捜索隊を支援する無数の“協力者”が、セカイカメラやTwitterを駆使して情報を交換しながら真実に迫ったというエアノベルの様子を、mobile編集部から“一般参加”した「きゅうり」にリポートしてもらう。

photo 小説「15×24」では、ネットに流出した1通の自殺予告メールをきっかけに、自殺を止めるべく立ち上がった「捜索隊」が大晦日の東京で真相に迫っていく――。今回のエアノベルは、そんな小説の骨子を現実に拡張した試みだ。
(C)2009 新城カズマ/箸井地図/集英社スーパーダッシュ文庫

大晦日を待たず、エアノベルは始まっていた……

 きゅうりです。ゼロ年代の終わりを前に、とんでもないことに巻き込まれてしまいました。「毎年取材や出張で潰れていた正月を、今年は穏やかに迎えられるなぁ」と思っていた仕事納めの日、突然編集長から「正月ヒマでしょ? エアノベル、参加するよね?」と言われてしまったのです。

 悲劇です。僕は「15×24」を読んだことがないし、代替現実ゲームも参加したことがありません。セカイカメラの使い方は、セカイカメラに詳しいだけのY記者からしょっちゅう聞かされていましたが、自分のiPhoneは3Gだし(セカイカメラはiPhone 3GSの方がサクサク動き、電子コンパスとも連動して快適です)、正直言って参加するにはハードルが高いイベントでした。なので、「いやぁ、あはは」とはぐらかしながら、こっそり職場を後にしたわけです。

photo エアノベル #15a24 非公式まとめwiki

 しかし、エアノベルのことがどうにも頭から離れず、Twitterで公式アカウント「@15×24」のつぶやきやハッシュタグ#15a24をチェックしていました。新城カズマさんのブログに掲載された何十項目もある“エアノベルの基本ルール”を見て軽く思考停止した私でしたが、Twitterのつぶやきを見ていると「要はドロケー(ケードロ)みたいなゲームだ」ということが分かってきました。いつの間にか有志で非公式まとめWikiが立ち上がり、参加者用のメーリングリストも構築され、なにやら面白そうなことになっている。……気が付くと、“捜索隊”のメンバーとして名乗りを上げている自分が。うおーっ、後戻りできない……!

川を越えると、そこは「15×24」の世界だった――

 12月31日、2009年最後の日。エアノベルはお昼の12時にスタートし、イベントのタイムリミットは深夜12時――。冬の屋外を12時間も駆け回るなんて、あまりにタフなイベントです。全部参加するのはしんどそうなので、部屋の掃除を済ませ、ドトールのミラノサンドとマロンラテでほっこりし、午後3時頃から参加する……ぐらいの気持ちだったのですが、Twitterの#15a24のタイムラインを見ると……

「捜索隊ふぁいと!」

「総武線なう」

「東京で充電できるとこどこだろ……」

「1日乗車券買ったか?」

「池袋からスタートの予定!」

 ……すげー、盛り上がっている。

 前日は捜索隊に名乗り出る人が少なく、「イベントとして成立するのか?」と心配しましたが、フタを開けて見れば続々と参加者が増加。エアノベルを「観戦」しているうちに居ても立ってもいられなくなり、群馬から新幹線で東京に降り立った強者もいました。なんか、昨日とノリが違う……あっ、しかも一度新宿に集まる流れになっている……! 完全に自分、乗り遅れてるし!

 ナイフ、ランプ……ではなく、iPhone、予備バッテリー、ノートPCをカバンに詰め込んで、すぐさま家を飛び出します。ああ、そういえば昼飯食べてないや……。でものんびり食ってる時間はないぞ……。

photo 昼飯
photo 渋谷に着いて即効買った東京メトロの1日乗車券。主戦場がJRだったため、ほとんど活躍しなかった……

 なぜこんなことになってしまったんだろう……。いや、昼飯などどうでもいいではないかっ! 駅のベンチでカロリーメイトをポカリスエットで流し込み、田園都市線の急行に飛び乗ります。二子玉川を越え、徐々に物語の世界に没入する筆者。「新宿集合には間に合わんな……よし、オレは渋谷から『男』を探す!」――こうして、12時間(ある意味それ以上)に及ぶエアノベルの旅が始まったのでした。

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